第十三幕 昔話
色々と落ち着いた頃。
「そういえば3人はどんな関係なの?」
《わ、私達?》
〈まぁ、幼馴染って感じだな〉
〈先祖代々、私達の家系は仲いいんだ〉
『そうだったの?』
〈そそ〉
《なんだっけ、すごい昔に私の御先祖様がりなちゃんの御先祖様を助けて、そこからずっと仲いいんだよね?》
〈そうらしいね〉
「ふーん…」
〈それで、私達が小さい頃に矢形に出会って、よく3人で遊ぶようになった〉
《懐かしいね〜》
《毬ちゃん、森の中で泣いてるんだもん!びっくりしたよね〜!》
〈な、あん時は本当にビビった〉
〖ちょっ、その話やめて!恥ずかしいから!〗
昔話をしていた2人が笑う。
そう話していると、外から声が聞こえてくる。
(いやだ!!やめて!!こないで!!)
『えっ、何!?』
「え!?」
〈…もしかして〉
外に出ると、子供がオオカミに襲われていた。
(こないで!!こないで!!!)
〈おい!!それ以上近づくんじゃねぇ!!〉
オオカミが唸る。
《1匹だけ…?…おかしい、周りは?》
〖いないみたい、その1匹だけ〗
『怖い怖い怖い!!』
「無理無理無理!!」
冷静に状況を判断する3人と、怯えて後ろの方にいる2人で別れている。
〈フリーズオオカミ…やっぱり〉
〈改造されたヤツだ。最近増えてる〉
「改造されたヤツ!?」
《ニュースにもなってるよね》
《改造された生物はそこら辺の動物よりも強いの。人間にも余裕で勝ってくるよ》
〈フリーズオオカミは貴重じゃない。生きてるヤツだって普通に輸入できる〉
〈だから改造に最適なんだ。それで生息できる場所も変えれるし食べ物だって何を食べるかコントロールできる〉
〈きっと造ったやつを野放しにしてるヤツがいるんだ〉
〖だろうね〗
《毬ちゃんは子供の保護してくれる?》
〖了解〗
「なんでそんなに冷静なんだよ!?」
『オオカミだよ!?相手オオカミだよ!?』
〈いやお前らが耐性無いだけだろ〉
《私達は慣れちゃったからね〜、ここら辺はそういうの多いし》
そんな話をしている彼女らに、オオカミは吠える。
『「うわぁぁあ!!!」』
〈一旦黙ってほしい〉
《子供より怯えてるね》
〈とりあえず、麻酔銃あるか?〉
《あるよ〜、ちょっと待っててね》
「麻酔銃!?かっこよ!!」
『そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!』