第十二幕 毒入り
「う"っ!?」
喉が焼けるように熱くなり、少し飲んだだけなのに倒れ込んでしまう。
『どうした!?』
めちゃくちゃ喉痛い!!
咳が止まらない…!!
〈おい!!大丈夫か!?〉
大丈夫じゃねぇよ!!
咳のせいで喋れない!!
医者がオオカミを押さえつけていた腕を離す。
〈おい矢形!!なんで私の毒から出来た粉入れたんだよ!!〉
『は?』
えっ
〖呂奈に言われたから〗
《そ!私が入れてって言ったの〜》
《でもちゃんと理由あるんだよ?》
ヘラヘラとして悪びれている素振りがない。
『は、吐き出して!!早く!!』
「無理だっつの…!!!」
〈……いや、こんな反応出てる時点で耐え切れるわけが無い…〉
絶望した顔で口を覆う。
毒から出来た粉は、毒と同じ効力があり、体内に取り込むと死んでしまう可能性があるのだ。
《分かんないよ?ほら見て?》
〈お前…!!〉
「あ…あ?」
オオカミが医者に掴みかかろうとする寸前で体が少し軽くなった。
収まった?
『大丈夫??体調は??』
「あー…まぁ大丈夫」
〈は??〉
《ほらね、言ったでしょ〜?》
〈いや、なんで…なんであの反応が出て生きてる??〉
混乱した様子で問いかけられる。
「何が?」
〈いやおかしいだろ、だって私の毒飲んだんだぞ??〉
「まぁ…」
弓門は何が起きたかよく分かっていないようで、キョトンとしている。
『初めて見た…』
《私はね〜、長年こういうのやってきてるから慣れてるの》
〈まだ3年だろ、ドヤれることじゃないぞ〉
《3年も長年だもん!!》
「なぁ、これどうなったってことだ??」
〖君は今不死になったってこと〗
「は??」
〈そりゃそうだろ、私の毒飲んでんだから〉
〈てかなんで飲ませた?〉
《それはね〜、勘》
〈『「はぁ!!?」』〉
〈お前っ…またコイツと喧嘩する所だったぞ!!〉
『そうだぞ!!』
《冗談だって!》
悪質な冗談がすぎる。
《血管だよ、血管》
「血管?」
《手首が一番分かりやすいけど、一本だけ絶対変に浮き出てるの》
《その血管が浮き出てるとね〜、ドクバオオカミの毒に強い証拠なの!》
〈それ初耳なんだが〉
《あとその証拠の見つけ方なんだけど》
〖私たちの手首、見て?〗
『一本浮き出てる…』
「ってことは、二人で試したのか?」
〖そ。〗
《あとはりなちゃんが送ってくれた"棺"も調査して分かったの!》
《あとはお母さんとお父さんも》
〈は、お前マジか〉
《りなちゃんから採ったって言ったらいいよって言ってくれたの〜》
〈なぜ…??〉