第十幕 ヤブ医者
天野呂奈《》
矢形毬〖〗
〈ここ〉
「ここって…町の病院…??」
〈うん。ここに用がある〉
病院の裏の扉から病院へ入る。
〈天野ー??〉
《はーい?》
《あ、りなちゃん!定期検診だよね!》
そう言って元気にこちらへ駆け寄ってきたのは、町で有名な「天野病院」の医者であった。
〈定期検診っていう名の毒採取な〉
《そんなこと言わないで…》
《そ…れで》
《お友達?》
〈まぁね。カッピーと迷い込んだ人間だよ〉
《そっか!》
〈そういえば矢形は?〉
《毬ちゃんは今ね〜いつものお仕事!》
〈お、そうなのか〉
「に…人間??」
〈そ。仲いいんだよ〉
《あ、天野呂奈って言います!よろしくね!》
「あ、初めまして、弓門衣吹です」
『カッピーと申します』
《本当は助手の毬ちゃんがいるんだけどね〜別の仕事が忙しいみたいで》
〈あぁ、まぁあとで紹介しておくわ〉
《ありがと〜!》
《そういえば…りなちゃん、誰かと喧嘩した?》
〈えっ〉
《なんかそんな気がして〜》
〈あー…まぁしたっちゃしたけど〉
「そういえば結果聞いてないわ、どうなったんだよ」
『〈あー…〉』
〈まぁ?妥協してやったというか??〉
『仕方なく?許してやったけど??』
2人は肩を組みながら言う。
「仲直りしたんだな」
《仲良しでいいね〜》
〈そういえば天野、これやるわ〉
《え!クマの皮とお肉!?》
〈うん、2匹ぐらい狩ったから余ったんだ〉
《やったぁ!これで実験できる〜!!》
『実験…???』
「病院で実験…???」
〈知らなかったか?〉
〈ここ有名な病院だけどな、ヤブなんだわ〉
《ヤブとは失礼な!》
《ちゃんと診察はしておりますよ!》
〈病名とか症状とかよく分かんないくせに〉
《それはまぁ…ね?》
「えぇ怖っ!!」
〈本来は別の仕事だろ?ここは〉
《まぁね》
《表は(ヤブ)医者、裏はいろんな器具で実験…フフフフ…》
「『いろんな器具で実験!?』」
〈いろんな器具で実験という名の凶暴って言われて避けられてる獣人のお手伝い、な〉
《も〜〜全部言わないでよ〜〜!!》
〈じゃないとこいつら勘違いしたままだろ〉
そんな話をしていると、先程入ってきた裏の扉から別の人物が入ってくる。
〖ただいま〜〗