表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/441

貴博と真央の念願のウェディング(貴博と真央)

「貴博、真央、一緒に来てくれ」


 グレイスは、屋敷の玄関先に止めておいた馬車に乗り込む。中にはすでにシャルロッテとソフィリアが乗り込んでいた。


「パパ、どちらへ行くのですか?」

「帝城だ」

「何をしにでしょうか」

「お前、もうすぐ家を出るだろう。その前にすることがある」


 うーん、なんだろう。と、貴博は想像するが、やらなければいけないことが思いつかない。やりたいことはありはするが。




 帝城につくと、貴博はグレイスと二人で来賓室に通される。真央は、シャルロッテとソフィリアと一緒だ。

 

「さあ、貴博。着替えろ」

「え?」

「そこに、タキシードがあるだろう」


 貴博が振り返ると、そこに、真っ白なタキシードが掛けてあった。


「えっと」

「お前な、王女を結婚もせずに連れ出すのか?」

「? もしかして、僕の結婚式です?」

「そうだよ。王女、しかも家名を偽っていた王女だ。こんなところでこじんまりとやらざるを得なかったんだ。関係者以外招待していない。国王をなだめるのが大変だったんだからな。国を挙げて盛大にやるとか言い出してな。三公爵家と一緒に止めたんだ」

「そうでしたか。ご配慮ありがとうございます」


 貴博は、タキシードに着替える。




「それじゃ、行こうか」


 と、グレイスは貴博を教会へと連れて行く。そして、教会の入り口に貴博を立たせると、グレイスは、


「頑張れよ」


 と言って、教会の中に入っていった。


 教会の入り口で立っていると、係の女性がやって来て、


「それでは、入場いたします。ついて来てください」


 と、貴博に入場を促す。


 貴博は、女性について行き、祭壇の前に立つ。

 すると、後ろから、花嫁が入場してくるのが気配でわかる。


 花嫁が貴博の後ろに立つ。


 貴博は、振り返る。


 すると、そこには、純白のウエディングドレスを着た、真央が立っていた。


 貴博の目から涙がこぼれる。


 真央の目からも涙がこぼれる。


 ついに、この日が来た。


 函館で真央に出会い、真央を思い、真央のために生き、真央を追いかけた。


 真央と一緒に全国を旅し、そして一緒に転生し、およそ十六年をこの世界で共に生きた。


 ようやく、ようやくこの日が。


 貴博と真央はどちらともなく、一歩、二歩と近づいて、抱き合った。


「真央!」

「貴博さん」


 そして、貴博は真央のベールをあげると、キスをし、真央もそれに応じた。

 二人は、唇を離すと見つめ合い、微笑み合い、そしてまたキスをする。


「んん」


 神父がわざとらしい咳払いをする。

 貴博が振り向くと、祭壇の神父が言う。


「段取りってものがありまして」

「あ、ごめんなさい。うれしくて。この日が来たのがうれしくて」

「私もです。ずっとずっと待っていましたから。この日が来るのをです」


 貴博と真央は手をつないで神父の前に立った。


「タカヒロサン、あなたは、やめるときも……」

「ずっと一緒にいます。絶対に!」

「マオサン、あなたは……」

「絶対にはなれません」

「……」


 神父は、二人のフライングにたじたじだ。


「それでは指輪の交換をしてください」


 神父は貴博に指輪を渡す。

 貴博はその指輪を受け取り、左手で真央の手を取る。そして、真央の左手の薬指に指輪をはめた。

 真央の目から涙が流れる。

 神父は、真央に指輪を渡す。

 同じように、真央は貴博の左手の薬指に指輪をはめた。

 貴博は、真央のベールを上げ、そして、キスをした。抱き合いながら。

 こうして、二人は、念願の夫婦となった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ