真央を調子に乗らせるとスタンピードが起こるのですー高等学園卒業(貴博と真央)
「これ、どうする?」
と、男子生徒の一人がホーンウルフを指さす。
「うーん、燃やしちゃう?」
と、貴博が言うと、
男子生徒は、お互いに目を合わせて、討伐証明の角を集め出した。
それを見て、貴博も一緒に集める。
そして、魔法を撃てる生徒でファイアボールを撃ちこんでホーンウルフを燃やした。
「貴博さん、これ」
と、男子生徒達が集めたホーンウルフの角を貴博に手渡してくる。
「これ、みんなで分けていいよ」
「いや、全部、貴博さんの倒したものだから、僕らにはもらう資格がない。よかったら、次にホーンウルフが出てきたら、倒し方を教えてくれないか?」
「わかった」
五人は、湖に向かって歩き出した。
貴博班は湖につき、そして、帰路につく。
その間、何匹かのホーンラビットとホーンウルフの討伐に成功した。魔物を討伐するたび、男子生徒と貴博は、ハイタッチを交わしていた。
貴博班がスタート地点に戻ると、全班がすでにゴールしていた。
全生徒が、結構汚れていたが、一部を除き、皆笑顔だった。
「最後だったか」
「貴博さん、いいじゃないですか。無事に戻って来られたし、魔物を討伐することもできました。貴博さんのおかげです。順位じゃなく、討伐数でもないんでしょ。とても身になった訓練でした。ありがとうございました」
他の三人も貴博に頭を下げた。
「クラスメートなんだし、さん付けも頭を下げるのもやめようよ。みんなお互い様だし、助け合いだから」
「わかった。何かの時は言ってほしい。助けになる」
「ありがとう」
二人は握手を交わした。
そこへ、真央がやって来た。
「私、一番だったのです」
むふー、と得意げだ。
「真央の班員は?」
「あそこで倒れているのです」
笑顔でない、その一部の生徒を指さし、真央が言う。
そこへクラリスがきて、真央の頭に拳骨を落とした。
「いっ!」
真央が頭を押さえてうずくまる。
「真央は走って行ってきただけじゃないか。マラソンじゃないんだぞ」
「だって、みんな逃げるんだもん」
「あはははは、真央、そんなことしていたんだ」
貴博が笑う。しかし、多くの生徒はジト目だ。
真央は知らない。自分のせいで魔物が騒いだことを。
「ま、みんな無事で何より。よかったね、真央」
よくないわ! バカップルめ! と、誰もが心の中で突っ込みを入れた。
休みを挟んで、学園にて。
「貴博、おはよー」
「おはよー」
「シーナさん、おはようございます
「おはようございます」
貴博もシーナもクラスメートのみんなから声をかけられるようになった。
一方の真央。
「おはようございます、真央の姉御」
「姉御、おはようございます」
「うむ。おはよう」
「ねえ、真央。なにその姉御って」
「わかんないけど、なんか、今朝からそう呼ばれてる」
「真央、どんだけクラスメートに恐怖心を植え付けたのさ」
「えー、何もしていないけど」
真央班だった生徒は、当然真央に恐怖を感じている。それに、クラスメートは知っている。真央を調子に乗せると、スタンピードが起きると。そして心に誓った。絶対に森を走らせてはいけないと。
こうして、貴博と真央はSクラスで、しかも、放課後木剣クラブも継続して三年間を過ごした。貴博たちの年齢は十五歳。高等学園を卒業した。
(わ)申し訳ないです。中途半端な文字数となりました。どうしてもキリが……。




