ストーンバレットは土属性魔法、だぞっ(優香と恵理子)
「ベルは冒険者なのか?」
ベルはどこからどうみても町娘の恰好をしている。間違っても魔物討伐に行く冒険者の恰好ではない。
オッキーが未だ、自分の腕にぶら下がっているベルにそう聞く。
「一応登録してあるの。だって私、魔導士養成高等学園卒なのよ、こう見えても」
魔導士だったのか……オッキーとマティが思う。ベルは探査魔法をヴェルダとメリッサに対して使ったので、姫様隊以外のクサナギ内では周知の事実。
魔導士養成高等学園って、私が誘われたところ……、エヴァが思い出す。
「ベルって今いくつなの?」
「あー、女の子の歳を聞いちゃう?」
ベルはオッキーの腕から手を離してオッキーに向き、両手を腰に当てて口をとがらせる。
「あ、いや、やっぱりいい」
「ぷー。なんで? そこまで聞いておいて」
ベルが頬を膨らませる。
「私、十九だよ。オッキーは?」
「十六」
「あ、そうだったそうだった。王女様だもん。知ってるよ。忘れていたけど」
あはは、って笑うベル。
「マティちゃんとエヴァちゃんは?」
「「十三」」
「そうなの? じゃあ、高等学園に行っていないんだ。なのに、エヴァちゃんの魔法すごかったー」
昨日のアイスランスのことだろう。
「で、なんで 魔物討伐なんだ?」
「私、しばらく魔法を使うことなかったけど、エヴァちゃんの魔法見て、まだ魔法使えるのかなーって。それで、魔物討伐。でも、一人で行く勇気もないから、ね、付き合って」
首をこてんとするベル。
「えっと、魔物討伐に行く服装だとは思えないけど」
「そう? だって、私魔導士だし。杖使わないし。それに、魔物の討伐をしなくても、ちょっと魔法の練習だけでもいいんだ」
ベルは先頭を歩いてくるんと回り、ついてくるオッキー達に向いて笑った。
四人は、南の門から街の外へと出ていく。そして一時間ほど歩いて森に入る。
「順番どうする?」
「私、エヴァ、ベル、マティの順番で」
ベルの問いにオッキーが提案する。
「オッケー。マティちゃん、後ろお願いね」
両手を腰に回して、お願いするベル。
「え、ええ」
四人は、オッキーを先頭に森の中を歩いて行く。
ベルはなぜか時々かがんでは、小石を拾ってポケットに入れている。
その様子はマティにしか見えない。
だが、マティはその理由を聞けずにいる。
しばらく歩いて行くと、オッキーが足を止める。
そして、振り返って、シー、っと、人差し指を口の前で立てた。
「あそこの池、ホーンラビットが何匹かいる」
「あ、本当だ」
ベルが草むらからオッキーに並んで顔を出して確認する。
「それでどうする? ベルが魔法でやる?」
「いい? 私、一発しか撃てないから、狙ったホーンラビット以外逃げちゃうと思うけど」
「まあ、今日はベルのために来ているからいいんじゃないか?」
「え、その言われ方、うれしい」
ベルはほほを染める。
「それじゃ、魔法を撃つね」
ベルは、数歩下がって三人から距離をあける。
そして、ポケットから小石を一つ取り出す。
右手に持ったその小石をホーンラビットに狙いをつける。
「え、もしかして?」
オッキーが疑問に思ったことが起きる。
ベルは大きく振りかぶって、
「ストーンバレット!」
と言って、小石をぶん投げた。
バシュン!
だが、確かに魔法だ。
小石は重力に負けることなく、ホーンラビットの頭に突き刺さった。
「「「……」」」
オッキーもマティもエヴァも、ベルの魔法を見て固まる。
一方、ベルに撃たれたホーンラビットが倒れ、その周りにいたホーンラビットは一斉に森の中に逃走した。
「やった! ホーンラビット倒せた! まだ魔法撃てた!」
ベルは両手を握り、ガッツポーズをする。
「べ、ベル? 今の、何魔法?」
気持ち的にまだベルと距離を置いていたエヴァだったが、目を点にしたまま思わず聞いてしまう。
「え? エヴァちゃんはおかしなこと聞くねー。ストーンバレットだから土魔法に決まってるじゃん」
ベルは腰に手を当て、フフン、と、得意げだ。
「もう一つ聞いていい?」
「なに?」
「高等学園では、今のを土魔法として教えてくれるの?」
「エヴァちゃん、だからおかしなこと聞くね。土魔法は土魔法だよ。ストーンバレットだもん」
「……」
エヴァは思う。会話が通じないと。
絶対にあれは土魔法じゃない。風魔法だ。
風魔法で小石に回転をかけ、超高速で飛ばしている。
「よーし、解体しちゃおう」
ベルは、飛び跳ねながら倒したホーンラビットへと近づく。
「あ、ナイフ忘れちゃった。このまま持って帰らなきゃ?」
と、人差し指を口元に当てた。
「いい。私が解体する」
オッキーがナイフを取り出して、ホーンラビットを解体していく。
「オッキー、ありがとう。でも、王女様なのに、解体もできるなんてすごいね」
「あのパーティでは末席だからな、私達は。素材採集を兼ねた魔物狩りもなかなかやらせてもらえなかった」
「そうなんだね。でも、オッキーもみんなも強いよね」
「それだけ訓練してきたから」
マティが会話に加わる。あまりのベルのフランクさにマティは慣れてきたようだ。
「あ、マティちゃん、うれしい。マティちゃん、十三歳なのにそんなに訓練したんだね」
「……」
少し照れてしまうマティ。
「解体終わったよ」
オッキーがナイフを拭いてそれをしまう。
「ありがとう。うれしい」
「で、どうする。まだ奥に入る?」
オッキーの言葉遣いも少しずつ軟化していく。
「ううん。お昼にしよう。ね。私、サンドイッチ作って来たよ」
ベルは持って来ていた、魔物討伐には似つかわしくないバスケットを差し出してくる。
みんなで石の上に座ってサンドイッチをいただく。
「おいしい」
オッキーが一口かじって思わず声を上げる。
マティは、無言で二口三口と口に入れていく。ちなみに、マティはすでにベルに素顔をさらしているので、仮面を外して。
エヴァも一口食べて、そのおいしさの秘密を探るかの如くサンドイッチを見つめる。
「うれしい。朝から作って来てよかったー」
三人が食べる様子を見ていたベルが喜びの声を上げる。そして、自らもサンドイッチを口にした。
「ごちそうさま。ベル。おいしかった」
「んー、ほっぺについてる」
ベルは、オッキーの口元についているソースを手で取って、パクッと食べてしまう。
「……」
三つも年上のベルのその行動に、思わず照れてしまうオッキー。
「あ、ありがとう」
「どーいたしまして」
ベルが目を細めて笑う。
「さて、これからどうしようか」
照れを隠すようにオッキーがベルに聞く。
「私、魔法を使えることがわかったから、ちょっと満足。みんなが狩りをするところをちょっと見てみたいけど」
「じゃあ、もうちょっと奥に入る?」
「うん。もうちょっと行ってみよー」
わんも「皆さんにお知らせです」
千里「えっと、まあ、おおよそ予想はついているけど。さあ、言ってみ」
わ「ep.300達成……だぞっ」
千「……」
わ「あれ? そこは、「やったー」とか「イェイ!」とか「ぱふぱふ」とかじゃないの?」
千「えっと、なにから突っ込んでいいのかだけど、まず、「ぱふぱふ」のところで桃ちゃん見るのやめて」
桃香「……(ジトッ)」
千「それから、「だぞっ」って、タイトルもなんかおかしいな、って思ったけど、わんもがやってもリアクションに困るし、某アイドルのファンたちに何を言われるか……」
わ「私だって、ファンなんだが!?」
千「だからってやっていいことと悪いことが」
わ「じゃあ、千里、やってみて」
千「え? 私? ……えっと、うん。行くよ」
千「ep.300達成だぞっ! (きゃぴっ)」
わ「おー」
桃「……」
千「桃ちゃん、反応薄いんじゃない? ちょっとやってみてよ」
桃「私ですか? 行きますよ」
桃「ep.300達成だぞっ! (きゃぴっ、きらんっ)」
わ&千「「おー、さすがだ」」
千「じゃあ、次は優香さんと恵理子さん……は飛ばして」
優香「ちょっとまって、千里ちゃん。何で飛ばした?」
恵理子「そうよ。もしかして歳? 歳なの? 私達と千里ちゃん、今は一つしか違わないのよ?」
千「じゃあ、やります?」
優&恵「「いえ、やりません。真央ちゃんどうぞ」」
真央「えへっ。じゃあ、行きますね」
真「ep.300達成だぞっ! (きゃぴっ、てへぺろっ、いやん(テレ))」
ズキュン!
千「あー、センセが撃たれたー! 誰かー、救急車ー!」
桃「最強ヒーラーの千里さんが治癒魔法かけたらいいじゃないですか」
千「あ、こういう時は、お姫様のキ……ぼふん!」
千「んー」
ガバッ!
貴博「真央、ナイス照れだったよ。最高にかわいい!」
真「えへっ! (てれっ)」
貴「んん-! かわいい」
千「……」
優「くだらないことであとがきを使って申し訳ありません」
恵「とはいえ、まだまだ私達のターン」
優&恵「これからもよろしくお願いしまーす」」
優「ところでわんもさん」
わ「……」
優「最近、私達のターンなのに、私達の出番が少ないの、なんで?」
恵「そうよ。シーブレイズの時もそうだったけど、姫様隊ばっかり……」
ぴゅー!
優&恵「「あ、逃げた」」
優「ファイアラーンス!!」
恵「アイスラーンス!!」
ズドドドドドーン!
千&桃「「雷鎚!!」」
ドォン!
わ「なんでー!?」
千&桃「「なんとなく?」」




