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マイナン領(優香と恵理子)

 そうして、三日間が立ち、マイナンの街が見えてくる。


「えっと、まずは服だよね。うーん」

「オリティエ、リシェル、二人は私達と背格好が似ているわよね。私達の服を着て、四人で街に入りましょう。それで、まず、皆の分の服を買って来ましょう。その後に、皆で街に入るって言うのはどう?」

「それがいいね。そうしようか」


 と、優香が返事をすると、

 オリティエとリシェルは、


「お二人の服を着られるのですか?」


 と、目を輝かせた。


「あの、変な感情は捨ててね」


 と、優香はお願いをした。




 四人は、歩いて城門を目指す。

 城門では門兵が商人や旅行客をチェックしている。

 四人の番になった。


「身分証を出して」


 門兵に声をかけられる。


「身分証?」


 優香が逆に聞く。


「住民票や冒険者を示すプレートやカードなどです」


 と、そっとオリティエが教えてくれる。

 が、持っていないものはもっていない。もちろん、オリティエ達も持っていない。


「持っていない場合は?」

「……一人銀貨一枚だ」

「わかった」


 優香は門兵に銀貨四枚を渡した。


「通っていいぞ」

「ありがとう。ところで、服とか旅の買い物をしたいんだけど」

「とりあえず、街の中心近くにあるキザクラ商会に行け。その後、その周りの店に寄ればいいだろう」

「助かります」


 四人は歩き出した。

 優香と恵理子は思う。何だろう「キザクラ」商会。




 四人は歩いてキザクラ商会を目指す。


「あ、あれじゃない? 猫のマークなんだね」

「そうね。なんていうか、親近感がわくわね」


 優香と恵理子はそう会話をしながら、キザクラ商会に入る。


「ようこそキザクラ商会へ、ご必要なものは何でしょうか。おそろえいたします」


 と、店員が声をかけてくる。

 あれ? スーツ? この世界にスーツがあるんだ。それに、きれいな人だな。女性としても憧れる。

 と、優香は日々の特訓でたくましくなってしまった腕をさする。

 優香と恵理子はポンチョのフードをはずす。

 フードの中から覗く団服を見て、店員は目を見開く。が、プロとして接する。


「あの、お客様。もしかして、その中に着ているような戦闘服をお求めですか?」

「はい。買えますか?」

「もちろんです。というか、おそらく、当社でしか扱っておりません。サイズは、合わせてよろしいでしょうか。何着必要でしょうか」


 四人は、相談しながら、十二人分の団服やポンチョ、下着などインナー類などを注文していく。


「ご注文ありがとうございます。ただ、大変申し訳ありませんが、二日ほどお時間をください。明後日には出来上がっていると思います」

「わかりました。それでは明後日、取りに来ます」


 と、四人はキザクラ商会を後にする。

 次いで、食料を買い込み、さらに、馬を二頭購入して、街を出た。




「みんな、ごめん。服ができるのが明後日だから、明後日、服を取ってきたら、皆で街に入ろう。それまで、ここで野宿でお願い」

「「「かしこまりました」」」

「私どもは、お二人と一緒であれば、どこでも」


 と、ミリーが締める。




 そうして二晩野宿したのち、優香はまた四人で街に入る。銀貨四枚を払って。

 四人は、まっすぐにキザクラ商会へ行き、注文した服を受けとり、いったん街を出て、馬車に戻る。

 そして、皆に服、団服を配る。


「うわー」

「かっこいい」

「素敵」

「タカヒロ様とおそろい……」

「おそろい……」

「おそろい……」


 ほほを染めるもの多数。


「いいから、みんなで街に入るよ。馬車は馬にひかせて、ヨーゼフとラッシーは、馬車の中ね。さあ、行こう」


 十四人は、街に向かって馬車と共に動き出した。




 今度は、銀貨を十四枚払って街に入る。

 門兵の、「最初に冒険者登録しとけばよかったのに」というつぶやきに、優香はがっくりとうなだれる。


「仕方ないわよ。ドンマイ」


 と恵理子が優香を慰めた。


「タカヒロ。まずは宿屋を確保しましょう。大所帯ですもの。それから、せっかくだから冒険者登録を済ませましょう。街に入るたびに銀貨ではいくらお金があってもたりないわ。私達は十四人もいるのだから」

「マオ、わかった。それじゃ、宿を確保したら冒険者ギルドへ行こう」


 十四人は、何とか宿を確保する。馬も馬車も預かってくれるところを見つけた。

 馬車の中には、貴重品が載っているが、それの警備はヨーゼフたちにお願いした。


 十四人はそろって冒険者ギルドへ向かう。

 全員が団服を着て、その上からポンチョをかぶっている。

 冒険者ギルドに入ると、優香と恵理子だけがポンチョのフードを外す。

 受付に行き、お姉さんに告げる。


「冒険者登録をお願いしたい。十四人分。それから、パーティ登録もお願い」

「え、えっと、十四人とも新規ですか?」

「はい」

「わかりました。まず、個人登録を行いますので、皆さんお名前を」


 受付のお姉さんに全員が名前を告げる。


「それでは、十四人皆さま全員、カッパーマイナスランクから始まります。全員がカッパーなので、パーティランクもカッパーになります。あそこの掲示板にクラスごとの依頼が貼ってあるので、ご確認ください」

「あの、お姉さん。パーティーランクを上げるにはどうしたらいいですか?」

「すぐにですか? いやな方法だと、パーティの上位者のみでパーティ登録する。そうすると、メンバーに応じて、パーティランクも上がります。ただし、パーティで受注した依頼を達成しても、登録した人にしか、ポイントが付かないというデメリットがあります。とはいえ、皆さんは全員がカッパーですから、この方法ではカッパーにしかなりえません。後は、地道に依頼をこなしていただきます」

「わかった。じゃあカッパーでいい」

「ちなみに、パーティメンバーの半分が達成しているクラスがパーティランクになります」

「ちなみに、個人のマイナスとかプラスは?」

「個人のランクは、カッパー、アイアン、シルバー、ゴールド、プラチナとなっています。プラチナを除いて、カッパーからゴールドまでは、マイナス、ゼロ、プラスがあります。ゼロは通常言いませんん。よって、カッパーマイナス、カッパー、カッパープラスとなります。ちなみにプラチナだけは、プラチナ、プラチナEからA、そして、プラチナSが今のところの最上位です」


 受付のお姉さんは、気づいたように、聞いた。


「そういえば、パーティ名はどうされます?」

「クサナギでおねがい」

「クサナギですか?」

「はい。それで」

「変わった発音ですけど、家名ですか? それとも意味があるんですか?」

「あ、家名だし、剣で草を刈る者という意味です」

「草刈りですか?」


 と、お姉さんが言うと、

 聞き耳を立てていた冒険者たちが言い出す。


「あっはっはっはっは。新人が草刈りだと。お似合いのパーティ名じゃないか。薬草採取でもいつまでもやっていたらいいんじゃないか?」

 その一言に、「ちげえねえ」と、ギルド内にいた冒険者中に笑いが広がる。


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