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優香と恵理子 第一期卒業試験

 優香と恵理子サイド。

 二人にとって転生四年目


「優香、恵理子、君達は三歳になりました。お誕生日おめでとう」


 ジェシカが二人に言う。


「「はい。ありがとうございます」」

「三歳児にしては、かなり動けるようになったと思います」

「はい、私達が知っている三歳児より、体も大きく能力も高いと思います」

「私もそう思います」

「それは、ご主人様がやってくれた魔力ぐるぐるによる体の強化によるものです。将来、子供が出来たら、魔力ぐるぐるをやってあげてください」

「将来……」

「考えてなかったわ。まだ三歳児だし」


 首をかしげている二人に、ジェシカが話を進める。


「さて、今日から、剣の練習を始めます」

「剣?」

「はい。基本ですから。剣の型と足さばきを覚えてください」

「は、はい」

「それじゃ、子供用の小さな剣をもって」


 と、二人は小さな両手剣を渡される。


「はい。握り方はこうです。かまえ方は、こうです」


 ジェシカが手とり足とり、型を決めていく。


「まずは、この型を瞬時に取れるようにしましょう。じゃあ、型を崩して」


 二人が剣を下げる。


「はい、型!」


 二人は、ピッと、かまえる。


「うーん。優香、もうちょっと足を開いて。恵理子は剣をもうちょっと高く」


 剣の練習が終わったら、ビビアンによる槍の練習。それが終わったらベティの素手での戦闘の練習と、一日中戦闘訓練となった。




 さらに一年がたつ。

 優香と恵理子は四歳になった。


「ほら優香、足さばきがなってない。フェイントはどうした? 恵理子、優香との連携を考えて」


 ひたすら、戦闘訓練を続ける。




 千里と桃香サイド。

 千里と桃香も三歳になり、戦闘訓練を開始する。


「君達も三歳になったことだし、戦闘訓練を始めます」


 と、マーレ。


「かなり体は動くようになっていると思うので、まずはナイフの扱い方から。戦闘の基本だが、スピードに勝るものはないと、私は考える。だから、これからも、このビーチでの訓練を続ける」

「うへぇ。マーレ先生、ビーチは遊ぶところで訓練するところじゃないと思うんですが」

「はい、千里。そういうこと言わない。ビーチは足腰が鍛えられるんだから」

「はーい」




 貴博と真央サイド。

 さらに一年経つと、貴博と真央も戦闘訓練が始まる。


「ほら、貴博、二人で攻撃をしているんだから役割分担」

「真央も、とにかく突っ込むのはやめなさい。フェイントだって大事だから」




 優香と恵理子サイド。

 さらに時は過ぎ、優香と恵理子が六歳になる。


「はい、二人とも。六歳おめでとう。今日から、魔法の訓練を行います。午前中はこれまで通り戦闘訓練をし、午後は、魔法の訓練をします。魔法の訓練は海でします」


 ジェシカたち黒薔薇は魔法も鍛えられている。よって、魔法も人並み以上だ。


「それと、週に一度、お肉の確保のため、野生動物の肉を解剖してもらいます。人とは構造が違いますが、それぞれの組織などの機能は共通なので、よく観察してください」

「ジェシカ先生。それは何の役に立つのですか?」

「二人はもともと病気やけがを治すところで働いていたと聞いています」

「はいそうです」

「グレイス様から、二人には治癒魔法を習わせるように言われています。治癒魔法を使うためには、体の構造を覚えておいた方が、イメージしやすく、より強力な治癒魔法が使えるとのことです。ですが、人の解剖をしてもらうわけにはいきません。なので、動物の解剖でとりあえず、勉強してもらうわけです」

「治癒魔法? 怪我や病気を治す魔法です?」

「はい。そうです」

「そんな夢のような魔法が……」

「二人とも覚えてもらいます。ですので、午前午後はさっき言った通り。夜は治癒魔法について勉強しましょう」

「「はい」」




 千里と桃香サイド。

 翌年には千里と桃香がラミとルミから魔法を習い始めた。




 貴博と真央サイド。

 その翌年には、貴博と真央がグレイスから魔法を習い始めた。

 貴博と真央は、さらにその翌年、七歳になる年から帝国学園に通い始め、そこでも武術や魔法の授業を受けた。

 ただし、グレイスに習う方がよっぽどか効率もよく、学校での練習は、あまり身になるものではなくなっていたが。しかし、学校に通うのも目的がある。真央が通いたいと言った。それで充分である。




 優香と恵理子サイド。

 優香と恵理子が十二歳になり、その翌春。


「それでは、第一期卒業試験を始めます」

「「はい。お願いします」」

「試験に際して、先生方を呼んでいます。まず、武術に関して。剣については、一人ずつリーゼロッテ様と対戦してもらいます」


 と、ジェシカが二人に説明をしていく。


「次いで、槍でソフィリア様、素手でこはる様と対戦します」

「その後、魔法の試験ですが、先生と二対二の魔法の試合をしてください。先生は、特別に来ていただきました、ドライア様とディーネ様です。それから、最後に治癒魔法の試験があります。それでは、砂浜に移動しましょう」


 優香と恵理子は砂浜に移動する。


「まずは、リーゼロッテ様との対戦をしてもらいます。優香、いい?」

「はい」

「先生もお願いします」

「わかっている。いつでもこい」

「両者いいですか?」


 優香とリーゼロッテがうなずく。


「両者、それでは、はじめ!」

「うわー!」


 優香が体をかがめて、低い体勢からリーゼロッテにとびかかる。

 優香は、その小柄な体型を活かす、というより、不利な状況を覆すため、基本通り重心を落とし、足元を這うように近づき、切り上げる。

 が、リーゼロッテは一歩後ろに下がるだけでよけてしまう。

 優香は切り上げた勢いをそのままに体を回転させ、中段で切り込む。

 リーゼはそれを剣で簡単に防ぐ。


「優香、その程度か?」


 リーゼロッテがあおる。


「こちらからも行くぞ!」


 リーゼロッテは、優香よりも速いスピードで間合いを詰め、剣を打ちこむ。

 そのスピードから、優香は防戦一方になってしまう。


「ほらほらどうした。もうへばったか? おい、ジェシカ、体力づくりをさぼったわけじゃないよな?」


 ジェシカに飛び火する。


「いえ、そんなことはないです。毎日ちゃんと訓練を行っています」


 結局、剣を大きくはじかれた上で体勢を崩され、優香は首に剣を突きつけられた。


「まいりました」

「まあ、見どころはある。これからも精進しなさい」

「はい。ありがとうございました」


 次いで、恵理子がリーゼロッテに向かっていくも、同じようにあしらわれた。

 結局、槍も素手でも同じ結果になった。


 さらに、魔法の試合では、ディーネとドライアが無数の魔法陣からウインドカッターやウォーターバレットを撃ちだし、魔法で迎撃するも、二人は耐えきれずに倒れた。


「まだまだですね」


 というドライアの言葉を聞き、二人はうなだれた。

 試験はそこで終わらない。


「それでは優香、恵理子、そこに立ってください。治癒魔法の試験を行います」

「リーゼロッテ様、お願いします」

「は? なんでリーゼロッテ先生?」

「治癒魔法の試験って?」


 優香と恵理子が疑問を口にするが、リーゼロッテは容赦ない。


「二人とも、早く治せよ」


 そうリーゼロッテは言い、瞬間的に二人の手首を切り落とした。


「「うわっ!」」


 二人は切られた手首を反対の手で握り、痛みをこらえる。


「ほら、早く治癒魔法でくっつけろ。もしくは新しくはやせ」


 リーゼロッテがあおる。


「手が、手がー!」

「痛い痛い痛い!」

「だから、早く治癒魔法をと」


 リーゼロッテは二人が痛がる様子を見ながら、魔法を発動させるように促す。

 しかし、いっこうに魔法が発動しない。いや、パニックになって、発動することが出来ていない。

 リーゼロッテはため息をつき、


「ソフィリア!」


 と言った。


 ソフィリアは、二人の手首を持って二人の前に立つと、


「ヒール!」


 と魔法を唱える。すると、切り落とされた手首が元通りにくっついた。

 二人は手首を押さえたまま涙を流しながら、リーゼロッテをにらむ。


「ほう。まだやる気力はあるのか。もう一度切り落としてやろうか?」


 そういうと、二人は顔を伏せた。


「はい。優香、恵理子、試験終了です。お疲れさまでした」


 優香と恵理子は顔を伏せたまま、立ち上がる。


「二人の卒業試験ですが。合格も不合格もありません。この試験の目的は、あなた達より、圧倒的に強い相手がいる、ということを知ってほしかっただけです。ですので、はじめの約束通りとなりますが、十二歳で働くことができるので、ここから目的を果たすために旅立っていただいて構いません。それか、もし、希望されるのであれば、あと三年間、ここで特訓することが出来ます。その場合の先生は、私達ではなく、このリーゼロッテ様達になります。ちなみにあなた達の名誉のために言いますが、グレイス様の奥様方は正直化け物クラスです。勝てなくても仕方がありません。あなた達はちゃんと強くなっていますし、そんじょそこらの人間であれば、負けることはないと思います」


 ジェシカは、二人に告げる。


「明日まで考えていただいて構いません」


「やる! やります。強くなります」

「私も、私も強くなりたいです。ですから、あと三年間お願いします」


 ジェシカは微笑む。


「即決ですね。いいことだと思います。それでは、リーゼロッテ様、お願いします」


 リーゼロッテが前に出る。


「明日からだが、これまでの木剣を使った甘い訓練ではなく、実践訓練を中心にやる。だからな、さっきみたいに、腕を切られても動揺するな。即ヒールをかけろ。お前達にはそれができる。つまり、不死身だ。思いっきりこい」

「「はい!」」



「嬉しいのです!(わんも)」

「何が嬉しいのさ(千里)」

「初めて、初めて「いいね」をもらったんです(わ)」

「そ、よかったね(千)」

「だって、これまでで初めてですよ。第一弾も第二弾もやってきて! 初めて!(わ)」

「ふーん。文才が無かっただけじゃないの?(千)」

「……(わ)」

「そんなことよりさ、私達のパート、端折りすぎじゃない?(千)」

「そんなこと……(わ)」

「剣も魔法も砂浜から出られないんだが(千)」

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