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第一章 第4話 新しい技(6/7改稿)

もうなにがなんだか分からないな。

カプリシアスがどうしてエリスを襲うのか?

そもそもアイカの正体が誰なのか?

訳が分からなさすぎて頭が痛くなる。

気付いたら頭を両手で抱えていた。

「なあレイキ。俺が思うになんだが。アイカはセプテ家の研究所の生き残りなんじゃないのか」

「俺もミプリヴァリナーって聞いたときそう思ったよ。──だけどあの施設は8年前に俺達が潰したじゃないか。仮に生き残りだとして。その後の8年どこで育ったんだよ」

「レイカと一緒に居たとしたら」

「ちょっとまて。それならどうしてエリスを襲う必要が有るんだい」

「それは分からないが。エリスの夢は当たる。近い内にエリスの元に必ず現れるだろう」

一度俺は深く呼吸をし。

「話が飛躍し過ぎていて訳がわかんねえわ」

ボソッと独り言の様に言った。

「あくまで俺の妄想だと思ってくれ。」

「そこまで考えてあるならどうして城でエリスを護らないんだ」

俺が言うと。エドは顔を曇らせる。

「エリスが城に居たままじゃ。カプリシアスが城に来るからかい?」

「そうだ」

「・・・。」

キッパリと言われたので思わず黙ってしまった。

「俺には、先代から受継いだ城を護る義務がある

。あんな化物じみた女が城に来る可能性を潰した方が良いだろう」

「だからって娘を危険な目に晒すのかよ」

「それは違うぞ」

「何が違うって言うんだい?城の外よりは内側の方が安全だろうが」

「それだけでは無いから困っているんだ」

今度はエドが頭を抱えだした。

「レイキ。お前には言っていなかったが。エリスには魔力制御リミッターを付けさせているんだ」

魔力制御リミッター。

その名の通り魔力を制御するアクセサリーだ。

物によって効果はまちまちだが。主に罪人に使われるものだ。

「どうしてそんなもの付けさせてるんだい」

「エリスには自分で抑えられないほどの魔力が有る。一度城内で暴走したんだ」

初耳だ。エリスにそんな事があったなんて。

「その時多くの兵が傷付いた。それから魔力制御リミッターを付けさせている」

「ならそれで解決じゃないか」

リミッターを付けてさえいれば魔力による暴走は食い止められる。

「だがそうはいかなかったんだ。S級の魔道士が簡単な魔法を唱えられない程の重たいのを付けさせてるんだ。それなのにあいつは平気で魔法を使える」

「なんだって」

「それと。医者に言われた。このままエリスの魔力が上がり続ければいずれ体が保たないと」

涙を流すエド。

「クリスタルの加護を受ければ多少魔力が抑えれるのではとも考えた」

クリスタルの加護。

各国に1つあるクリスタル。

そのクリスタルの光を浴びると人は強くなる。

ギルドに入ってるソルジャーの殆どが。学生時代に全ての国をまわり。クリスタルの加護を受けている。

「エリスはまだ受けていないのかい?」

「他の国もそうなのだが王族は受けても意味が無いからな」

クリスタルはダンジョンと呼ばれる魔物の巣窟の奥にある。

そしてクリスタルを護るクリスタルガーディアンを倒した者にしか加護は受けられない。

どういう訳か知らないが。護られるだけの者にはクリスタルは答えてくれないみたいだ。

なので基本的に学生時代に年の近い人と共に加護を受けに行く。

たまにベテランのソルジャーを護衛に付け。

楽に加護を受けに行こうとする奴が現れるが。

もちろんクリスタルは答えてくれない。

更に言うと。一度加護を受けた人と一緒に攻略しても加護を受けれなかったりもする。

「そこで頼みがある。確かレイナはまだ、加護を受けて居ないんだろう。エリスと一緒に受けてくれないか」

エドが言うように、レイナはまだクリスタルの加護を受けていない。

別にサボった訳でもなく。娘のクレアとアオイの為だ。

二人は事情があって学校に通えていない。

そんな二人がある程度大きくなったら一緒に行ってもらうつもりだったが。

「別に良いと思うが。その間にカプリシアスに襲われたらどうするんだい?」

「そうならない事を祈る。それしかあるまい。いずれにせよ。カプリシアスはエリスの魔力を使って、何かをしようとしている。エリス自身には、強くなってもらわなくては困るのだよ」

「分かったよ。ダンジョンの攻略以外ではギルドから護衛を付ける。もちろんその料金はちゃんと貰うからな」

「ありがとう。恩にきる」

「どうせ最初からそのつもりだったんだろ。ミナが居れば猛反対されるだろうしな」

ギルドに加入する事さえ反対していた。ましてやクリスタルを巡る為に国外を王女が巡るなんてもってのほかだ。

反対しないほうがおかしい。

「カプリシアスが何を企んでるのか分かんねぇが。何かある前に打てる手は打つに越したことは無いな」





223/01/3 11:30

ギルド フォレストセイバー

ギルド内訓練所

アイカ視点


あれから1時間ほどリリアさんに魔法を教えて貰っていた。

魔法っていっても少し違く。

自分の持っている魔力を武器に纏わせてその魔力を前方に飛ばす初級技『ソードショック』だ。

この技は近接攻撃主体のソルジャーが。魔法主体のソルジャーに対抗する為に作られた技と教えて貰った。

それに相手への牽制にもなると

「いい感じだね。もっと剣を力強く振ってみて」

「こうですか?」

言われた通りにやったが。

俺の放った魔力は的に当たる前に弾けた。

「的まで届かねえ!どうしてだよ!」

かれこれ1時間こんな感じなので。

段々とイライラしてきた。

「ほらイライラしない」

そう言い。何故か背後から抱きつかれた。

「ちょ。いきなりなにをするんですか!」

背中に柔らかい感触がして。かなり恥ずかしいんですけど。

そんな俺を気にしてないのか。そのまま俺の手に手を重ねる。

それだけで体がビクッと反応をする。

後ろでクスッと笑われた気がした。

「お手本を見せる」

「お手本って」

更にギュッと抱きつかれる。

背中越しに伝わる温もりがより熱くなる。

「まあ見てて」

そう言って魔力が俺の手を伝わり武器に流れ込む。

さっきまでは薄っすらと光るだけだったが。

今回はかなり強い光を放っていた。

「それで振ってみて」

言われた通りに武器を振る。

すると的目掛けてかなり速い魔力の衝撃波が放たれ。

的は砕け散った。

「あーあ。また壊しちゃったわ」

「す、凄い」

俺がただただ驚くばかりだった。

「今のを忘れないでね」

リリアさんが俺から離れる。

「あれ。もしかしてもう少し抱きついて欲しかった?」

「そ、そんなんじゃないですよ」

「照れ無いで良い。私まで恥ずかしくなる」

リリアさんの顔も赤くなっていた。

「今の感覚を忘れない事。いいね」

そう言い。俺は一人にされる。

「ちょっとリリアさん!」

俺が呼び止めるが。

すたすたと足早に外へ行かれた。

「今のって言われても」

背中越しに伝わる柔らかい感触しか思い出せない。

「俺は何を思い出してるんだ」

煩悩を振り払うかのように。もう一度武器を強く握る。

魔力を武器に大量に流し込むイメージで、それを振る瞬間に前に飛ばす。

俺が放った衝撃波が。壊れた的に追い打ちをかける。

「やった。上手くいったぞ。これでレイナに勝てるかも」

「それだけで勝てる程。戦いは甘くないぞ」

振り返るとサミサさんが立っていた。

「お疲れ様ですサミサさん」

「おつかれ。なあアイカ──その技実践で試したくないか?」

「試してみたいです!」

「なら、ウチと実技訓練だ!」

そう言われ施設内の別の訓練所に移動した。


「さあ、いつでも掛かってこい!」

ファイティングポーズを取り。準備万端のサミサさん。

「本気で行きますよ!アミュレットデバイス『トリッカー』起動!」

俺の身体に鎧が装着される。

俺がアミュレットデバイスを装備したが。サミサさんは、何もしてこない。

「アミュレットデバイス使わないんですか?」

「ハンデだよ。ハンデ」

舐められてるのか。

少しカチンと来た。

「後悔させてあげますよ」

「そいつは楽しみだな」

トリッカーで機動力が上がっている俺は、一気に詰め寄り。横に剣を振るう。

「甘いよ」

紙一重でしゃがまれて回避され。

「これでも喰らえ!」

そのまま流れる様に回し蹴りを喰らった。

「ぎゃあ!」

情けない声を発し、派手にこけてしまった。

「そいやぁ!」

その隙を逃がすまいと。追撃の拳が飛んでくる。

「あぶなっ!」

ギリギリかわすことが事が出来たが。

拳の位置を見ると床がかなり凹んでいた。

喰らわなくて良かったと俺が安堵していると。

「氷の第5魔法『スノーフリーズ』」

追撃の氷塊が俺を襲う。

「クハッ!」

「どうした。この程度?」

余裕そうな顔で俺に言う。

だが。どうしてだろう。

身体から魔力が溢れてきた。

「これがレイキが言っていたやつか──本当に身体が光ってるな」

サミサさんが言う通り俺の身体が光っていた。

なんだこの光。

白くて黒い?そんな光だ。

「っいててぇ」

かなりダメージを受けた筈だが。

羽根の様に身体が軽い。

楽に立ち上がる事が出来た。

それに意識もちゃんとある。

「これでも喰らえぇ!『ソードショック』」

先程習得した技を放つ。

しかしさっきまでと威力は段違いだ。

人ひとり分の幅がある斬撃波が飛んでいく。

「ハァァァァ!」

そのまま直撃するかと思ったが。

両方の拳に魔力を溜め。そのまま地面をぶん殴る。その衝撃で宙を舞い、避けられた。

「当たらないわッ!」

「ならもう一度。喰らえ!」

急いでもう一度ソードショックを放つが。

今回は不発に終わった。

「なんでだよ!」

驚き慌ててしまうが。

そんなものは構うものかと。

「戦いに集中しろ!」

サミサさんからぶん殴られた。

「グァヮ、ゲホッゲホッ!」

腹部を殴られうずくまる。

アミュレットデバイス無しで。しかも素手でこの威力って。

どうなってんだよ。

「もう終わりか?」

「降参です」

呆気なく負けを認めた俺。

諦めたくないが、勝ち目が全く無い。

「そっか。いい判断だ」

手を差し伸べられた。

「立てるか?」

「ええ、なんとか。ありがとうございます」

手を取り立ち上がる。

いつの間にか俺のアミュレットデバイスは、元に戻っていた。

「どうしてソードショックが発動しなかったかわかる?」

「いや、分からないです」

ふっ。と軽く鼻で笑われた。

「お前バカだろ」

「そんな言い方ないでしょう」

「あのな。よく考えろ。魔力を貯めてないのに斬撃波が飛ぶと思ったのか?だとしたらバカだろ」

言われて気付いた。

確かに一発目が当たらず。慌ててただ単に剣を振った。

「戦いで一番大事な事は常に冷静でいる事だ。技を避けられただけで慌てるな。」

「すみません。気を付けます」

「攻撃は基本当たらないと思え」

「どういう事ですか?攻撃を当てないでどうやって勝つんですか?」

「当たるまで攻撃を続けろ」

「えっ」

いや確かにそうだけど。

「何か変な事を言った──いやちゃんと説明するならば。コンボを放て」

「コンボですか」

「そうだよ。例えばだけど──そうだな。ウチがアイカの左半身に攻撃するとしよう」

ゆっくりと俺に攻撃しようとする。

それを俺が右に避けてかわすと。

「そこを左手ですかさず。こうだ!」

「ぎゃあ!」

避けた方向に攻撃された。

「これが簡単なコンボだ」

「実際に殴らなくてもいいじゃないですか」

「ははは。ごめんごめん。──だけど実際にやらないと分からないだろう」

「それはそうですけど」

殴られた所が痛い。

「そんな顔をするなって。やり過ぎたウチが悪いんだけどさ」

罰の悪そうに笑う。

「ちなみに僕が避けたらどうしたんですか」

「簡単だよ。そのまま左手を振り抜いて。右足で逆回し蹴りかな」

悪魔みたいにニタァと笑う。

多分避けなくて正解だったな。目がマジで怖い。

「コンボのコツは、常に現状を冷静に分析する事。この攻撃が避けられたら。次はこの攻撃って考えてなが戦う事かな」

「それってかなり難しいんじゃないですか」

「慣れだね、焦る事は無い。今の実力で出来る最大限の行動を心掛ければいつか勝てるさ。闇雲な行動は敗北に繋がる。ちゃんと頭で考えて戦え。それだけさ」

俺の肩にポンッと手を当て。

「じゃあまたな。強くなったらまた戦おう」

そう言って帰って行った。

世界設定解説その2


・アミュレットデバイスその1

通信デバイスとしてだけではなく。

使用者の能力を上げる鎧にもなる。

ただし使用者の魔力が低下すると自動で元に戻る。

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