表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

第一章 第2話 俺を知っている子(6/7改稿)

13/29 15:00

フェニックス王国 フォレスティアタウン

ギルド「フォレストセイバー」内アイカの部屋

アイカ視点



結局あの後エリスと何も話すことが出来なかった。

というのも。あの後すぐにレイキさんがやって来て。

「身体に異常が無いかしっかり調べよう。それとついでに能力検査も行ってくれ。準備が出来たら呼ぶから──はい、これ部屋の鍵。自由に使ってくれて構わないから」

そう言われ。おとなしく部屋で待っていた。

「あー。暇だな。」

部屋はギルド内にあり。ここのギルドに所属している人の寮だと。

部屋はそこそこ広くて。ベッドがあっても邪魔にならない程度に広い。

「本当にこれからどうなるのかな──」

俺が考えていると部屋のインターホンがなった。

「ヤッホー。レイナだよ!おまたせー」

元気な声が聴こえてきた。

おかげて不安はどっかに行った気がした。

「あれ。居ないのかな?」

「すみません。居ます、居ます!」

俺は慌ててドアを開けた。

「検査に行くよ―」

「あっ、ちょっと!」

昼間の時の様に、腕を引っ張られて連れ去られた。


ギルド内の検査室


俺が検査室で待っていると。茶髪でロングヘアーの女性が入ってきた。

「始めましてアイカさん。今日の検査を担当する。ジェシカと言います。どうぞよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

これから検査という事で少し緊張していた。

「あはは。アイカ君かたーい。ほぉら。リラックス。リラックス」

後ろからレイナさんが俺の肩を揉んできた。

「ちょっと。恥ずかしいですよ」

「やけに仲が良いね?実はレイナの知り合いかな?」

「いやいや違いますよ。同い年位の子と話す機会があんまり無かったんで」

「そうか。──そういうものか」

そう言い白衣からアミュレットデバイスの様な、何かを取り出す。

「なんですかそれ」

「ああ。これを使って君の身体を調べるんだよ」

取り出した物に触れると。レーザーが俺に降り掛かった。

「この光で君の現在の能力と。潜在能力を測定しているんだよ」

「そうなんですね」

「結果が出たようだ」

映像が写し出され。それをじっくりと確認するジェシカさん。

「ふむふむ。っ!これは──」

驚いた表情で俺と映像を交互に見る。

「どうしたのジェシカ姉ぇ?」

「いやすまないね。──本当に何者なんだ君は」

そんな事言われてもわからない。

だって記憶が無いのだから。

「知りませんよそんなの」

俺が素っ気なく返すと。

「そうだよね。そうなんだ。だけどね思わず言いたくなるよ。こんなのって」

「勿体ぶらずに言って下さいよ。気になるじゃないですか!」

「そうか。そうだよね。──」

一息ついてから。

「ミプリヴァリナーって聞いたことがあるかな?」

ミプリヴァリナー?

なんですかそれ?

「どうやらその反応だと知らないようだね」

「それってお兄ちゃんの事だよね」

レイナさんが割って入ってきた。

「うーんとね。ミプリヴァリナーっていうのは。ミプリヴストーンで出来た武器を使って。皆と違うスキルを使える人の事を言うんだよ」

目を輝かせて言った。

「そのミプリヴァリナ―が、どうかしたんです

?」

「どうやら君も。ミプリヴァリナーだと。検査結果に出ている」

「えっ!」

驚いた。

俺がミプリヴァリナーだって。

なら俺もレイキさんみたいに空間転移とか出来るのだろうか。

「凄い。凄い!流石あたしが見込んだ男の子だぁ。お兄ちゃんに報告しないとね。あっ。今夜は、お赤飯だぁ」

まるで自分の事の様に喜ぶレイナさん。

そんなに兄と同じ能力を持った人が居て嬉しんだろうか。

「じゃあ。早速お兄ちゃんのとこに行こーう!」

また俺の腕を掴んで走っていく。

「あっちょっと!まだ話さないといけない事が」

ジェシカさんが制止するが。そんなことは構わず。部屋を後にした。



13/29 15:10

ギルド長室

アイカ視点


ノックもせずに中に入ったのがいけないんだろうか。

それとも昼間の件が悪いのだろうが。

いやそうじゃないな。

「お前はもう少し落ち着きを持て!」

レイキさんがレイナさんに怒っていた。

瞳に涙を浮かべながら。正座して俯いていた。

「落ち着いて下さいレイキさん。わたくしは、もう気にしてませんから」

むしろ昼間暴言を言われたミナさんが止めている。

「まあ、ミナが言うなら辞めるが。──俺の妹と言ってもやって良い事と悪いことが有るからな。覚えておけよ」

「ごめんなさい」

呟くように言った。

「それで。話ってなんだい?」

先程とは打って変わり。ニコニコしながら聞いていた。

「アイカ君がミプリヴァリナーだってさ」

「なんですって!アイカさん、それは本当ですか?」

ミナさんが俺達の前に飛んできた。

「はい本当です。ジェシカさんからそう言われました」

俺が答えると。

レイキさんが頭を抱え。

「どうやら俺は、俺達は。とんでもない子を拾ってきたみたいだね。」

全く話が見えてこない。

ミプリヴァリナーだとしたらなんなのだろうか。

「ミプリヴァリナーについて説明しよう」

「そうですわね」

レイナさんの方をチラって見て。

「レイナさんにも聞かせても良いのであれば。わたくしは止めませんわ」

「ちょっとどうゆう事よ。あたしは、ミプリヴァリナーについて知ってるわよ。それに──」

レイナさんの言葉を遮るように。レイキさんが俺の前に来る。

「実はミプリヴァリナーって言うのはね。独自の強化処理をされた人間なんだよ」

「どういう事ですか?」

「そうだよ!あたし聞いてないよ。えっ。そしたらお兄ちゃんも強化処理されたって事なの?」

俺よりもレイナさんの方が驚いていた。

「ああそうだ。俺の父。レイア・ノイアロは、特殊能力を持つ人間を独自に作り出そうとしていたんだ。」

「お父さんがそんな事していたの?あたし知らないんだけど!」

レイナさんが詰め寄る。

「いつか話さないと行けないと思っていたんだけどね。話をしたってさ。もう父も母もこの世に居ないのだからさ。別に良いのかなって」

「それは、そうだけどさ」

明るく振る舞っていたのが嘘みたいに、しゅんとなるレイナさん。

「最後まで聞いてくれるかい?」

「聞く。聞くから続けてお兄ちゃん」

俯いたまま返事をする。

「それでその研究をミナの両親と共にセプテ家の研究施設で行っていたそうだ。君がミプリヴァリナーとしたら。セプテ家の研究所に居たと言うことになるんだ」

「だったら連れて行ってくださいよ。そこに行けば俺の事を知っている人が居るはずです」

「もう無いんだよ」

「えっ!」

「8年前に無くなっているんだ。その研究所はね」

「そんな」

折角、自身の手掛かりが掴めたと思ったのにな。

「そんな暗い顔をするな。これからの生活は俺達が面倒をみるからさ」

「そうですわ。アイカさんさえ良ければわたくし達のギルドに入りませんか?ソルジャーとしてギルドに入れば給料も出ますし。生活に困る事は無いですわ」

いきなり言われも困る。

が、このまま何もせずにここにいられるとも思ってない。

「分かりました。ギルドに入れてください」

「そうか。ありがとう。そうと決まれば。これをあげるよ」

「っと。これはアミュレットデバイス」

「そうだよ。それを使って俺と闘え。テスト代わりだよ」

そう言って俺達は地下へと連れて行かれた。



13/29 15:30

ギルド内地下訓練場

アイカ視点


ギルドの地下に連れて行かれ。

通された部屋はかなり広かった。

「ここが我がギルド自慢の訓練施設だよ」

「凄く広いですねそれに天井も高いですね」

横に広いだけじゃなくて。縦にも広い。

「だって地下5階だからね」

まるて当たり前かの様にレイキさんが言った。

「前から思っていたけど。こんなに高さいる?」

唇に指をあて兄に聞くレイナさん。

「なに言ってんだよ。ここに空を飛ぶやつが居るだろう」

「ああそういえばそうだね」

「どういうことですか」

「ああ。アイカ君に行ってなかったな。ミナって空を飛ぶことが出来るんだよね」

「だから高さがいるんですね」

「そういう事。レイナは分からなかったみたいだけど」

「むぅー。そうやってまたあたしをバカにして」

唇を尖らせるレイナさん。

正直可愛いと思ってしまう。

「こぉら。そうやってかわいこぶらない」

「ぶってないし」

「それでアイカさんの武器はどうするのですか?まさかと思いますが素手で戦わせる気ですか?」

「あはは。そんなわけ無いよ。」

そう言い武器を取り出す。

「これはミナが俺にくれたミプリヴァリナー専用の武器だ。ミナさえ良ければこれをアイカにやろうと思うんだが」

「レイキさん」

ミナさんが、ニコッと小悪魔的に笑い。

「歯を食いしばって下さいな」

「えっ。なんで──」

そう言って派手にぶん殴られた。

「イテテ──なにすんだよ」

「もう知りません。勝手にすれば良いのです」

そう言い残し訓練場を後にした。

「なにも殴らなくても良いのにな」

服を払い立ち上がる。

「でも今のはお兄ちゃんが悪いよ。お兄ちゃんの為に作った武器を簡単にあげるだなんて」

苦笑いを浮かべるレイナさん。

「お前はどっちの味方だよ」

「あたしは家族の味方だよ」

「そうかい。っと話が逸れたね。アイカ君。これをどうぞ。」

「どうも」

先程の武器を俺に手渡す。

というか本当に貰って良いのだろうか?

「その武器の名前はミプリヴソード。ミナの自信作だ。大事にさ」

そんなものを簡単にもらって良いんだろうか?

俺が困惑してると。

「今回の模擬戦は、俺に一撃を与えればクリアって事にしようか」

「そんなんで良いの?」

「ああ。それとレイナはアイカのサポートを頼むよ」

「別に良いけどさ。2対1で良いの?」

「構わないよ。更にハンデとして俺は武器を使わないから」

両手と腕をを広げ笑うレイキさんに対して。

「前から思っていたけどさ」

「どうしたレイナ?」

「あたしの事バカにしてるでしょう?」

レイナがイライラした口調で言う。

「してるけどそれが」

顔を紅くして眉間にシワを寄せ。

「後悔させてやるわ」

鋭く兄を睨んでいた。

そんな表情を気にせず。レイキさんは続ける。

「じゃあ早速模擬戦を行うが。アイカ」

「はい」

「アミュレットデバイスを取り出してくれ」

そう言われアミュレットデバイスを取り出す。

「そのデバイスの名はトリッカー。使用者のスピードを上げてくれる。さあアミュレットデバイスに魔力を流し込んでおくれ」

「こうですか」

言われた通りに魔力を流し込む。

あっているかどうか分からないけど。

「そしてアミュレットデバイス『トリッカー』起動と言うんだ」

「アミュレットデバイス『トリッカー』起動!」

無事に起動したのだろう。

アミュレットデバイスの星型の突起部分が飛び出し。それが俺に纏わりつく。

それはまるで鎧の様になった。

「おお。凄い」

「本当に記憶がないんだな」

「最初からそうだと言ってますよ」

俺は剣を構える。

「じゃあ始めようか」

そう言って白いオーラを身に纏う。

「武器がないから少し本気出すよ」

どんどんオーラが濃くなる。

「アイスヴァースト!!」

アミュレットデバイスの様に白い氷の鎧を、身に纏う。

「俺から行かせて貰うよ。氷の第7魔法──」

白い魔法陣が浮かび上がる。

「ブリザード!」

魔法陣から氷の大粒が俺達に向かってきた。

「避けてアイカ君!」

軽々レイナさんは避けるが。

俺は間一髪でかわすことが出来た。

「おっと!」

しかしその拍子に転んでしまう。

「アイカ君!」

「氷の第9魔法『グレイシャルブリザード』!!」

さっきよりも大粒の氷が俺に向かって来たが。

「うわぁぁぁぁぁ!」

まともに喰らいそのまま意識を失ってしまった。




13/29 19:30

フォレストセイバー内医務室

アイカ視点


「うーん。ここは?」

「あらやっと起きましたわね」

目が覚めると側にエリスがいた。

「どうしてここにいるんだ」

「いちゃだめなんですか?」

「そうじゃないけど。そういえば聞きたいことがたくさんあったんだよ」

昼間に聞きそびれた件だ。

どうして俺がここに居ることを知っていたのか。

「どうしたのですかアイカ君?」

俺はもう一つの疑問を思い出した。

「どうして俺の名前知ってんだよ」

言うかどうかを迷っているのだろうか。

少しの間悩む素振りをするエリス。

そして。

「夢で見たから」

意外過ぎる返事が帰ってきた。

「夢で?」

夢ってどういうことだ?

寝てる時に見るやつだよな。

「私って予知夢を見れるんですよね」

「予知夢ってなに?」

「簡単に言うと。未来で起こることを、夢で実際に体験することが出来るんです」

「凄いなそれ」

「凄いでしょう」

えっへんと。腰に手を当てて凄む。

「それでどうして俺が夢に出てきたんだ」

「夢の中で私はあなたとクエストに行ってました。」

「ちょっと待って。どうして俺と王女のエリスが一緒にクエストに行っているんだよ」

「あら私。今日お父様。いえ現国王様に勘当されましたわ」

サラッとトンデモない事を表情を変えずに言う。

「それで私もフォレストセイバーに入る事になりましたの。それで一緒にクエストを受けたのでしょう。」

何故かここでエリスの表情が暗くなる。

「どうした急に」

「いえ。すみません。──それでクエストの中で私を庇って──その──」

余程言いづらいのだろうか。

一度深く呼吸をして。

「私の目の前で殺されました」

「嘘だろ──あ、でも」

そもそもエリスと一緒にクエストいかなければ良いのでは無いかと思ってしまった。

だってそうだろう。エリスが居なければ庇う相手も居なくて。俺が死ぬ事は無いんじゃないか。

「エリスがここに来なければ、俺が死ぬ事無いんじゃないか?」

俺の発言に顔を紅くするエリス。

「半年間アイカ君が夢に出てきたんですよ」

自分で言うのも変だけど。

もうそれは呪いじゃないか。

知らない異性が夢に出るのはただの恐怖だ。

「それで。夢の中で一緒に色んなクエストをこなしていってですね──」

モジモジしだすエリスの表情は、更に紅くなり。

「好きになったの」

「はっ!今なんて言った?」

「だからアイカ君の事を好きになったんです!」

大声で面と向かって好きと言われ。エリスと同じ位俺の顔も紅くなった気がする。

二人共黙ってしまう。

しばらく黙っていると。

エリスがそっとキスをしてきた。

俺が驚いていると。

「そ、それでは私はこれで」

エリスは紅くなった顔を合わせる隠しながら。急いで部屋から出ていった。

「なんなんだよ急に……」

「あららエリスっちも大胆な事すんだね」

クスクスと笑いながら。緑長い髪のミナさんを大人にした様な人が入ってきた。

「誰ですかあなた」

「あたしの名前はナミ・セプテ。ミナのお姉ちゃんだよ。ミナの違って大人の女でしょう」

ニコッと笑いながら。

持ってきた食事を机の上に置いた。

「食べれる」

「ありがとうございます」

「そっ。なら良かったわ。──ごめんね。いきなりレイキが本気出したってね。後で締めとくから許してね」

「いや、そこまではしなくても」

「甘いよアイカ君。お砂糖みたいに甘々だよ」

「そうですかね」

「そうだよ。いくらヒーリング装置が有るからって。大ダメージを受けると死ぬんだからね。──レイキは、本当に気をつけて欲しいよ全く!」

「それて僕がやられた後どうなったんですか?」

俺が言うと不思議そうな顔をされる。

「どゆこと?」

「いや。言ったままの意味ですけど」

「勝ったのは君だけど?」

俺がレイキさんに勝っただって。

どういうことだ。

確か氷魔法を受けて。そこから何も覚えてない。

「暴走したんだってさ」

「暴走ですか?僕が」

「そうだよ。レイナが言うには、やられた君の身体が急に輝きだして。レイキを圧倒したんだと。いやぁ〜アイカ君って凄いね」

そんなニコニコしながら言われてもまるで実感が無い。

「そうなんですね」

「本当に覚えてないか」

「はい。全く記憶に無いですね」

「そっかぁ。まあここのギルドのソルジャーになるんだったら。持ってる力は使いこなさないとイケないよ」

そう言ってナミさんは部屋を後にした。

それから俺は食事を取ってまた眠った。




13/29 19:30

フォレストセイバー内セプテの部屋

レイキ視点


俺としたことが油断した。

まさかアイカがあんな力を持っていたなんてな。


〜4時間程前〜


俺が放った魔法がアイカにクリーンヒットして。

それにビビり散らかしたレイナを倒せば終わると思っていた。

だがアイカは不思議な光を身に纏い。

ゆっくりと立ち上がった。

「これは驚いたよ。まだ立ち上がれるなんてね」

最強クラスの氷魔法を喰らったんだ。

ランクBのソルジャーでも一撃で倒れるんだけどな。

「お兄ちゃん。なんか変だよ」

「ああ。そうだな」

「なんとかしてよ!」

「今は、模擬戦中だ。それに俺とお前は敵同士だ。そんなことも忘れたのか」

「そうじゃないけど。ただ」

「なにを言いたいんだい。あまり待てないよ」

膝を震わせて。構えてる剣先も定まらないレイナ。

まだこの子がソルジャーになるのは早かったのかな。

「ギガググガァ!」

どっから出したのか分からない雄叫びをアイカが上げた。

「完全に暴走してるね」

「暴走ってなんでよ」

「分からないよ」

魔力の制御が出来なくなったのか。

あるいは。

「とにかく今は模擬戦中だ。容赦はしない。もう一度喰らえ『グレイシャルブリザード』!!」

アイカに向け。俺の最も得意な魔法を放った。

「ガァゥァア!」

「なに!」

声を上げ。剣で俺の魔法を斬り裂いた。

そして、その斬撃波が俺に向かって来る。

「アイスシールド!」

氷の盾を展開させて、その斬撃波を防ぐ。

……事が出来なかった。

「お兄ちゃん!」

久しぶりにこんな大ダメージ受けたな。

もう立てないや。

駆け寄るレイナよりも。アイカを確認しないと。

(ああ良かった。アイカも気絶してる)

ここまでは覚える。

後は大方レイナがミナに連絡したんだろうな。

「寝てなくてよろしいのですか?」

俺の隣で添い寝するミナ。

その手は、俺の手をずっと握って居たのだろう。

互いの手は汗ばんでいた。

「付き添いありがとう」

俺が言うと。

よっぽど自身の回復能力に自身があるんだろうな。普通だったら自分達の部屋じゃなくて医務室に連れて行くべきだ。

そんな事を思っていると。

「パパって実際は、弱いよね」

俺の背後に小さいミナ(ミナもそうとう小さいが)。ミナにそっくりな娘のアオイが俺に言う。

「やーい。ザコ」

その双子の姉で俺に似た青髪のクレアが指で突きながら言う。

俺泣いて良いですかね。

娘にザコって言われてメンタルが持たないんだけども。

「駄目ですわよ。本当の事だからってパパの悪口を言ってわ」

お前が1番酷い事言ってないか?

少しイラッとしたので。

ミナの頭を小突いた。

「あらあら。子供に負けた腹いせですか?良いですわよ。身の程を教えてあげても」

それは勘弁してもらいたい。

まあでもあれだよ。

本気出せばミナより俺の方が絶対に強いからね。

本当だよ。

「叩いてごめん」

実際に悪いのは俺なので謝った。

「お返しです」

そう言われて何故かキスした。

「わぁ!」

クレアが声を出して驚く。

アオイにいたっては顔を両手で覆い恥ずかしそうにしていた。

「恥ずかしいから私達の前でチュ~しないでよ」

クレアがポカポカと俺の体を叩く。

俺やられて傷ついているんですけど。

「心配したんですよ」

ミナが、俺にだけ聞こえる声で言った。

すかさず俺は、

「ごめん」

そう言ってミナを抱きしめた。

一体何だったんだろうなあの力は。

考えてるこっちの気も気にせずに。

双子が俺達のベッドに入ってくる。

「ちょっと狭いって。それにお前らのベッドはあっちだろうが」

俺は反対側にある双子のベッドを指差す。

「今日はこっちで寝るもん」

「クレアが寝るなら俺もこっちで寝る」

そんな双子を気遣ったのか。ミナはベッドを出た。

「どこへ行くんだい?」

「わたくし。まだやらないといけない仕事が残っていまして」

「そんなの明日で良いだろ。今日は家族4人で寝ようよ。」

「そうしたいのは山々ですが。そういう訳にいかないのですよ」

そう言い。ミナは部屋を出た。

「久しぶりに皆で寝れたのに残念だよ」

つられるかの様に双子が揃って。

「ママとも一緒に寝たかったな」

背中越しでも二人が寂しそうにするのが伝わってくる。

「ママは忙しいんだって。そうだ。久しぶりに絵本でも読んでやるよ」

俺が言うと二人は満面の笑みを咲かせた。

アイカの事は明日考えよう。

まずはこの子達を寝かしつけないとな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ