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第2章 第3話 双子の企み

223/02/05 16:10

フォレスティアタウン

裏山

レイキ視点


ライズ達を見送った後。

俺は、ミナとあたりの見回りをしていた。

2人とも念を入れてアミュレットデバイスを起動させていた。

「魔物が居ないですね」

俺の後ろを歩くミナが言うが。

「そうだな」

俺は、振り返らずにそのまま進む。

「ミナの顔を見て下さいよ」

俺の前に、立ち塞がるように立つミナ。

その顔を直視せず。先へ進もうとする。

「ごめん。正直言うと。今、すげえイライラしてるだよね」

先程の事で。まだ仲直りをしていないからだ。

回復はされたが。

それもライズから緊急の通信が入ってからだ。

後が残ったらどうしてくれるんだよ。

普段はすぐにでも回復させてくれるのに。

今日はそれが無かった。

なので。いつもならミナに甘い俺も、流石に許せなかった。

これは、いけない考えだけど。

どうせミナが泣きながら謝って。

それを俺が許して終わる。

だけどまだ、顔面をボコボコに殴られた事の謝罪を受けていない。

「回復しなければ良かったわ」

「えっ」

意外な事を言うので、俺は驚いた。

「お前から殴られて、ぐちゃぐちゃの顔の方が良かったのかよ」

「ええ、そうですわよ」

その一言で俺のスイッチが入った。

「言ったな」

「ええ。言いましたわよ。もう一度言いましょうか」

ミナがキッと俺を強く睨む。

「大体ですね。身体にコンプレックス抱えてますのに。いつもいつも平気で悪口を言って。楽しんでますわよね」

「それがどうした。事実だろう」

悪びれもなく言い切る俺。

「また殴られたいの?」

拳を力強く握るミナ。

「良いよな。理性を持たない女は。簡単に暴力に訴えれてね。まるで魔物じゃないか」

嘲笑うように俺が言うと。

グシャァと鈍い痛みが左頬から伝わり。

少し吹き飛ばされてしまう。

「痛ぇじゃねぇか!」

どうやらミナもイライラしてるみたいで。

昼間みたいに甘えた顔をしてくれない。

「あら。痛くしたのよ」

刀を取りだすミナ。

「安心しなさい。あなたが謝るまで殺し続けるから」

安心できるか!

治してもらえても痛いんだよ。

「クリスタルの加護受けてこれかよ」

大きく溜息を吐く俺。

「ええ、そうですよ。けれども、フェニックスの呪いじゃなくて。ミナの意思でレイキに怒ってるから」

子供みたいに。いや見た目通り子供だよ。

無邪気に言い放たれて。俺も段々と理性のストッパーが効かなくなる。

「そうか。背だけじゃなくて。器も小さいんだな──」

今度は蹴りを喰らう。

「グハッ!……ゲホッゲホッ」

「ミナが闇のクリスタルの加護受けてから。ずっとだよね」

うずくまる俺を見下ろすミナ。

「ずっと試すように。意地悪をしてくれて。ミナ、もう限界だったのよ!!」

確かに試すような真似をした。

完全にクリスタルの加護を受けたミナが、実際にフェニックスの呪いに抗えるのか。

俺はただ心配だった。

「レイキがもう長くないって言うから。ミナは、死んで欲しくないから。すっごく我慢したのに」

涙目で訴えられる。

けどそれがどうしたんだ。

俺がお前の理不尽さに耐えて来た時間を考えろよ。

「たかが1ヶ月でなんだよ!俺はずっとミナの暴力に耐えて来たんだよ!」

「耐えるだけのあなたが悪い」

「なんだよそれ!」

「嫌だったら抵抗すれば良かったのよ」

ミナが再び俺に殴る。

「っ!」

「あははは。やり返さないって。あなた本当にドМなのね」

流石に我慢の限界だ。

ミナの首を両手で掴む。

「あははは。なんだ。……殺したいほど……憎かったのね」

少しだけ、にこやかに話すミナが憎い。

「黙れよ!本当に殺すぞ!」

それでも無抵抗のミナは。

「どうせなにも出来ないくせに」

更に俺を煽って来た。

「マジで殺す」

段々とミナの顔が、青く染まっていく。

血が止まってるからなのか知らないが。

「死ねよ!」

俺は、そう言って。より一層力を込めた。

「こ……れで……いい……のよ……。あな……た……も、ミナの……辛さを……」

パタリとミナの意識がなくなった。

そこでやっと我に返った。

「お、俺は、なに……して」

呼吸がないミナ。

グッタリとしたその姿が俺を元に戻させた。

「おい!ミナ!しっかりしろ!ミナ!」

揺さぶるが変わらないミナ。

俺は慌てて人工呼吸と心臓マッサージを施す。

ついでに初級クラスの回復魔法をかけたり。

治癒効果のあるライフポーションを飲ませたりもした。

しばらくして。

ようやく胸の鼓動が聞こえ始めた。

「ああ。俺はなんてことを」

前にもあったんだ。

ミナを俺が殺しかけた事。

クリスタル王蛇で腹部を貫いてしまった。

もちろん喧嘩などではない。

シンプルに訓練中の出来事だった。

その時の事を、俺は凄く後悔していた。

それなのに俺は、俺は!

だから今まで無抵抗だったんだろうがよ!

「う、うーん」

ようやく目を開けるミナ。

「ミナ!」

俺は持ち上げて強く抱き締めた。

「あれ。……レイ……キさん、わたく……し、どうして、生きますの」

か細い声で言うミナ。

「ごめん。本当にごめん」

最初は、こんなつもりは無くて。

気づいたらこうなっていた。

「レイキさんも。……暴走、するんだね」

頭を撫でられる。

「ミナの事嫌いだからだね。仕方ないよ」

虚ろな目でそんな事を言われる。

「そんな訳あるかよ!」

俺は全力で否定した。

「ミナもレイ君の事嫌いじゃないよ。けど、時々暴走して。殺したくなるんだよね。その気持ち分かるから」

「……」

何も言い返せなかった。

「ねぇレイ君。ミナの気持ち分かってくれた?」

ただ頷くだけの俺。

「許して欲しい?」

今度はミナが俺の首に手を掛ける。

「痛めつけてくれて良いから。許してくれ」

「嫌ですよ。だってレイ君の事。凄く愛してるのだから。普段は出来ませんわ」

立ち上がったミナから口づけをされた。

だが俺は、そんな物を求めていなかった。

ミナを拒絶するように跳ね除けてしまう。

「暴走しても良いから。俺に罰をくれよ!」

許されないのが怖い。

いつもはミナが今の俺の立場だ。

俺が許す側だったからだ。

「いつもと真逆だね」

立ち上がりミナは言い。さらに続ける。

「こうやってミナの弱味を握っていたのね。利用しやすい様に」

「違う」

「ミナはレイキさんの操り人形ですよ」

「ヤメロ」

「お金もあるから。あなたの都合の良いお財布」

「黙れよ!」

その口を塞ごうと。手を伸ばしたら。

不意にミナが前に来て。

「ぎゃ!」

顔に俺の伸ばした手が当たった。

「ご、ごめん!」

唇に当たったのか。そこから軽く血が出ていた。

ミナはその血を手で拭い。

「本当の事を言われると怒るんだね」

真顔で言い放ち。

そのまま翼を広げ飛び立つ。

「待てよ!」

俺が止めるがミナは遠くへと行く。

そのまま俺は日が暮れるまで。

その場に立ち尽くした。


223/02/05 19:00

ギルド フォレストセイバー

アイカの部屋

アイカ視点


あれから部屋に戻り。

シャワーを浴びてこの時間まで、死んだように眠っていた。

部屋で寝てると。エリスが、

「アイカ君。ご飯食べよ」

と部屋にやって来た。

疲れていたからだろう。鍵をしていなかったみたいで。エリスがドアを開け入って言う。

いや、ちゃんと鍵をしていたよな?

まあ良いや。

怖いから聞かないでおこう。

「未来の彼女が来たのに嬉しくないんですか?」

誰が未来の彼女だよ。

と心の中でツッコミを入れ。

「どうしたんだ」

と悪魔でも聞こえないふりで対応する。

「アイカ君に嫌われる事したかな?」

「別に嫌っていないよ。ただ」

ベッドから降りて。

「俺はレイナが好きだからな」

はっきりと言ってやった。

悲しそうな顔をするエリス。

「なんで夢の通りにならないのよ」

そんな事を言われても知らない。

「アイカなんかカプリシアスに殺されれば良いんだよ!」

部屋を飛び出すエリス。

俺は追いかける訳でも無く。

飯を食べに食堂に向かった。

食堂に着くと。

「あら、アイカ。今からご飯?」

先にレイナがご飯を食べていた。

「うんそうだよ」

旅で親しくなって。

俺は恋をした。

だけどこの気持ちは隠しておく。

目的不明に作られた人間と恋なんて。

こんなにいい子と、してはいけないからね。

「なら一緒に食べよう」

「ああ、そうするよ」

俺も食事を受け取りレイナの元へと戻る。

「最近エリスと居ないね」

「どうしてそんな事を聞くんだよ」

「だって仲が良いから」

レイナから見たらそうなのか。

俺は、別に仲が良いとは思っていない。

それに夢の話も正直信用していない。

アイツは、嘘を付いてる。

俺はそう思ってる。

「別に、仲良くないよ」

「えぇー。エリスが聞いたらショックだろうな」

「アイツは、ただの仲間だよ」

「もしかして、あたしもそうなの?」

少し悲しい顔をするレイナ。

「レイナとは仲良くしたいよ」

「あはは、なにそれ」

輝くような笑顔で言われ。

その可愛さに。正直照れた。

「レイナとは、仲良くありたいんだよ」

「そっかぁ。それは嬉しいね」

そんな話をしながら俺達は飯を食べ。

「ねぇ。この後久しぶりに特訓しない?」

「別に良いけど」

「なら決まりね。最近のアイカ強くなったから。今日はあたしに勝てるかもね」

ニヤッとした顔で言うレイナ。

「そうだと良いな」

「本当に強くなったよ。あたしなんかじゃ足元に及ばないくらいにね」

「ここに来た時みたいに、負けないからな」

俺達は準備をして訓練場へと向かった。


223/02/05 19:00

ギルド フォレストセイバー

ギルド長室

レイキ視点


俺が珍しくちゃんと仕事をしていた。

実は、あれからミナと話をしていない。

話をしようと探していたら。

シアに呼び止められ。

「今回の件の報告書を、早急にまとめて下さい。国の対策チームに提出しますので」

と言われ。

最優先で国に提出しなければならなかったので。

俺は先に仕事をしていた。

書類を完成させ。軽く伸びをしていたら。

ドアがノックされた。

「どうぞ」

俺が言うと娘達が入ってきた。

「パパちょっと良い?」

「ママからね。パパに、どれだけ強くなったのかを見せて来なさいって言われた」

どんなタイミングでだよ。別に明日でも良いだろう。それよりも先に謝らせてくれよ。

ずっと心がモヤモヤしてるんだから。

「そうか、別に構わないよ」

だが。これは、ミナが今は会いたくないって、事なんだと。俺の中で納得したので。

2人の言う事を聞いた。

俺が言うと2人は、やったぁ!と喜んでいた。

「かわいいやつらめ」

俺は、娘達と一緒に地下の訓練所へと向かった。

「僕ちょっとトイレ行くね」

「分かった先に行ってるよ」

アオイはトタトタとトイレへ向かう。

先に訓練所に着いた俺とクレア。

するとここで突然ヒーリング装置が止まった。

「あれっなんで止まったんだ」

不思議に思ったが。

「ねぇパパ」

不敵な笑みを浮かべるクレア。

それを見てアオイが停めたんだと察した。

「何のつもり?」

「何って……パパに分かって貰うんだよ」

そこでトイレに行ったはずのアオイが来て。

「僕達の強さをさ!」

そしてそのままクレアの隣に、いや前に行き。

「お姉ちゃん」

「アオイ」

2人はキスをした。

それも割と濃厚な物をしていた。

「ちょっとお前ら」

姉妹の百合って。

いやコイツらまだガキだぞ。

そういう事は、年齢が2桁いってからにしろよな。

2人の体が輝き出す。

そして2人は、1人になっていた。

「これが私達の本当の姿よ」

何がどうなってんだ。

意味がわからない。

2人を足した存在。

背も俺と変わらない位に伸び。

髪はそのままだけど。色が濃ゆい紫になっていた。

「なんて呼べば良いんだい」

それどころではないが。

こいつらの目的が分からない。

なので話をして時間を稼ぐ必要がある。

「クレアとアオイだから。クレオイでいいわよ」

名前決めていたのかよ。

「そうかい、そうかい」

さて、どうしたもんか。

娘達の衣類は弾け飛んでおり。

今服を着ていない。

この状況をみられたら。どこから説明したら良いんだろうか?

なんて俺が考えていると。

クレオイは、不気味な色のアミュレットデバイスを服の中から探し出し。

「私達の事を子供だと。油断したパパが悪いのよ!アミュレットデバイス『デスフェニックス』起動!」

知らないアミュレットデバイスを使う。

不気味な色をした鎧を身に纏う。

その色は、まるで。血が固まった後の色のように、非情に汚い紫色。

「そんなので俺を倒せるのか──」

話している最中に、いきなりソードショックが飛んできた。

いつも通りブレイドシールドで防いだが。

「クッ!」

腕が痛い。

かなりの威力だったらしく。ちゃんと防げなかった。

「あらら、防がれちゃったか」

小悪魔のように笑われた。

「当たり前だろ、俺を誰だと思っているんだ」

「ママの寄生虫だよね」

小バカにする様に言われた。

ミナを利用してる訳が無いのに。

本当にミナの事が好きで結婚したんだよ!

なのに、娘にもそう思われていたのか。

俺は、こんな小さなガキ共にも。バカにされていたんだな。

「親に向かってなんて事を言うんだい」

イライラしながら、アミュレットデバイスを取り出し構える。

「アミュレットデバイス『ミプリヴトリッキーカスタム』起動」

少し前の事。ミナに作って貰ったアミュレットデバイス。

俺に合わせてちゃんと調整してくれている。

何度も調整してくれた。

ミナの愛を感じるデバイスを身に纏い。

俺の相棒のクリスタル王蛇をクレオイに向ける。

「ヒーリング装置切ったこと。後悔させてあげるからな!」







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