第2章 第1話 無事帰還
223/02/05 14:00
ギルド フォレストセイバー
ギルド入口
アイカ視点
あれから俺達は、各国のクリスタルの加護を受ける旅を継続させ。
今日無事に帰ってきた。
最初の炎のクリスタルの時と比べれば。特に苦戦することも無く。難なくクリアーしてこれた。
それも俺のミプリヴァリナーの力が覚醒したからであって。
エリスの前で初めて力を見せたら。
「ようやく覚醒しましたか」
と言われ。
未来を知ってるのなら、教えて欲しかったな。
まあ、そもそもアイツの夢は当たんないからな。
そんなこんながありながらも。割と楽勝に事が進んで良かった。
特に光の神殿の後は、本当に余裕だったな。
久しぶりに見るギルドの中へ入ると。
レイキさんが出迎えてくれた。
「おかえり。無事に帰ってこれて良かったよ」
レイキさんに真っ先に双子達が駆け寄り。
「会いたかったよパパァ!」
2人揃って言い。
続ける様にレイナが。
「疲れたよぉ。全然観光出来なかったし」
「遊びじゃ無いですからね」
エリスが言うと。
「そうだけどさ」
ションボリとした顔で言うレイナ。
「まあまあ。みんな良く頑張ったよ。それにナミも同行してくれてありがとうね」
サンライト王国を出てから。更に反時計回りで、各国を巡って行き。
ずっとナミさんが同行してくれていた。
「良いってことよ」
にこやかに言うナミさん。
「それからミナがずっと心配してたよ。あの時怒ってしまった事と怪我させたことをね」
あの時とは、恐らくサンライトに向かう時の話だろう。
「ああ。その件は怒られて当然だよ。後で会いに行くよ」
「そうしてくれ。それから皆も、疲れただろうから。明日、これからの事話すから。今日はゆっくりとしておくれ」
そう言われ。ナミさんは、双子を連れてミナさんのもとに。残った俺達は自分の部屋へと戻っていった。
部屋で服を着替えて。
特にやる事が無いのでベッドにダイブしてると。
ピンポーン。
チャイムが鳴り。部屋のドアを開けると、レイキさんが立っていた。
「やあ。少し良いかい」
「良いですけど。なにかありました?」
「ああ、ちょっとね。君に聞きたいことがあってね」
部屋に招き入れる。
「クレアとアオイの事なんだけどさ。何か変わった様子とか無かったかい?」
「いえ特には」
「そうかい」
この1ヶ月。ずっと一緒に居たが特に変わった様子は無かった。
「多分ずっと一緒に居て、気付いて無いんだろうね」
深刻そうな顔をするレイキさんに。俺は少し不安をおぼえた。
「背が伸びていないかい?」
「えっ。そうですかね」
言われたけどピンと来ていない。
「いやいや。メッチャ伸びてるって。ミナに分けたいくらいだよ」
「言われてみたら。そうかも知れないですね」
「だろ。しかもさ。まだ7歳なんだよ。今年で8歳になる子の背じゃないよな」
それについては前から思っていた。
他の子供と比べて成長が早いのか。
明らかに大きい。
「ミナをどうやって励まそう」
知らないよと心の中で思ったが。
「別に、背が伸びるのは良いことじゃないですか?」
「ミナが怖いからさ。ついてきてくれないかい」
「えー」
思わず嫌な反応をしてしまった。
また目の前で血飛沫を。
それも知ってる人の血飛沫をみたくないからだ。
「あとついでに渡したい物があるからさ。お願いだよ」
そう言われたので。
ゆっくり部屋で休みたかったが。
嫌々ミナさんの元へと向かった。
223/02/25 15:00
ギルドフォレストセイバー
ミナの研究所
アイカ視点
ギルド長室経由で、ミナさんの研究所に入ると。
ミナさんは、顔を真っ青にし、仰向けで倒れていた。
「大丈夫かミナ!」
レイキさんが駆け寄ると。
「ああ。レイキさん。これは夢ですか」
力のない声で言い。
「久しぶりにクレアとアオイに会ったのですが。わたくし、また背が縮んだみたいで。2人が大きく見えたのですが」
娘に差をつけられてショックなんだろう。
今にも死にそうな顔だった。
そんなミナさんに対して。レイキさんは、
「それは、元からだよ」
なんでそういう事を平気で言えるんだろね。
言ってから「しまった」と言う顔をして。
そろりとこちらへと戻ろうとしたが。
「殺す」
と言われ、袖をつかまれていた。
「アイカも居るから。後で怒ってね」
ひきつった顔で言うレイキさんに。
ミナさんは最初だけにこやかに。
「あらそうですか。なら後で覚えておけよ!」
と怖い声で言い。その声で俺もビビってしまう。
「あの、そのさ」
レイキさんも怯えたのか。声が微かに震えていた。
「クレアとアオイの事ですわね」
「そう。それなんだけどさ」
チラッと俺を見る。
「アイカ達は気が付かなかったらしいんだけど。明らかに背が伸びてるよね」
「ええ。わたくしは、チビなのにね」
悲観的な顔になるミナさん。
俺がいる意味あるかな。
なんておもったが。ミナさんが俺を見て。
「ま、その話はまた後でにしましょう。アイカさんが困ってますので」
どうやら俺が居てレイキさん的には良かったようだ。
「ははは」
俺は愛想笑いをするしかなかった。
下手に言葉を発すると後が怖いからだ。
「少し待ってくださいね」
立ち上がり。机の引き出しを開け、なにかを探し出す。
「えっーと。これです」
引き出しから紫色のアミュレットデバイスを取り出し。
俺に手渡たす。
「これは」
「アイカさん専用のアミュレットデバイス。その名もミプリヴトリッキーですわ」
先程までと違い。いつもの可愛らしいミナさんに戻っていた。
「ありがとうございます」
俺は渡されたアミュレットデバイスをポケットになおした。
「使い方は……実践で学んでもらいます」
「誰かと戦うんですか?」
「いえいえ。レイナさんと。……それからエリスさん。その2人と一緒にクエストに言って貰おうかと思いまして」
良かった。
この流れだとレイキさんかミナさんのどちらかと戦う事になりそうだったからだ。
この2人に勝てるわけないからな。
「初クエスト頼まれてもよろしいですか」
首を傾け上目遣いで言われ。
「はい」
と即答で返事をする。
「俺もついていこうか」
ふざけてるのか分からないが。レイキさんが言うと。ミナさんに、睨まれたので「やっぱり辞めとく」と言い。そのまま黙り込む。
「それでは先にアイカさんにクエストの内容話しておきますね」
ミナさんはそのまま続けた。
「裏山に行って。魔物退治と、薬草の採取をしてきてください」
「分かりました」
「魔物は大体でよろしいので。薬草は、うーん。
そうですね」
チラッレイキさんを見る。
「このバカが治るくらいで構いませんわ」
いやバカって。
流石に可哀想なレイキさん。
「分かりました。すぐ行ってきます」
俺はそれだけ言い。
なにもフォローをせずに、廊下側の扉から部屋から出ようとした。
「ちょっとアイカ君!待っておくれよ」
レイキさんの声が聞こえてきたが。
俺はまた無視をすることにした。
だが。
「待ってください」
ミナさんに呼び止められる。
これはちゃんと反応をする。
「どうしました」
「レイナさんとエリスさんにこれを」
アミュレットデバイスを追加で2つ受け取った。
「この黄色の方がレイナさんので。こちらの赤い方がエリス様のです」
「アミュレットデバイスの名前も教えておいた方が良いんじゃないの」
とレイキさんが言い。
「分かってますわよ。レイナさんのがトリッキーカスタムで。エリス様のがレッドサーチャーですわ」
「分かりました。2人に渡します」
「ええ。お願いしますね」
にこやかに俺に言うと。
レイキさんを睨んで戻っていった。
俺はすぐさま部屋を出た。
部屋を出てすぐ双子達と出会った。
「アイカお兄ちゃんだ」
「何処へ行くの?」
「今からレイナとクエストに行くんだよ」
俺が言うと羨ましそうな顔になり。
「えー良いなぁ」
「アオイ達も行きたいんだよ」
どうしよう。
クエストってお金が発生するから。
勝手にメンバーを変えたりしちゃいけないんだったよな。
「あー。流石に勝手に連れていけないな」
俺が断わると。
「そうだよね」
「また仲間はずれだよ」
クレアは聞き分けのいい子だから良いが。
アオイはあからさまに落ち込んでいた。
「パパにクエスト貰いに行きましょ」
「うん、それもそうだね。じゃあねアイカお兄ちゃん!」
元気になったアオイは先に行こうとしたので。
「待ってよアオイ」
クレアも追いかけていった。
「元気いいな……俺も早く2人を見つけて行くとするか」
俺は先にレイナの部屋に向かった。
223/02/25 15:05
ギルドフォレストセイバー
ミナの研究所
レイキ視点
アイカに裏切られ。
俺は鬼と化した嫁と二人きりになってしまった。
一足早く三途の川を泳ぐ事を覚悟したが。
「レイ君だ~いすき」
そう言って頭を俺の体に預け、甘えてくるミナ。
意外にも、ただの天使モードだった。
正直な所。少し戸惑っていた。
「もっと甘えて良いよ」
甘えられるのは正直好きだ。
もっと甘えて欲しい。
人前は流石に俺も恥ずかしいけど。
「さっきはごめんなさい」
突然謝るので。
「えっ」
とだけ言うと。
「バカって言ったのと。後で覚えておけよとか言った事だよ」
普段と違う甘えた声。
こんなの全部許しちゃうよ。
「その事なら気にしてないよ。ミナの事好きだから平気、平気」
と笑ってみせる。
「良かったです」
とにこやかな顔で俺にもたれかかる。
「どうしたの?」
「甘えておきたいのです」
「そうか」
「えへへ」
今一番幸せかもしれない。
ミナもクリスタルの加護のお陰だろうか。
フェニックスの呪いが発動しない。
たまにワザと怒らせてみたのだが。
全然暴走しなくなっていた。
これもクリスタルの加護のおかげかな。
多分ミナは、もう大丈夫だ。
けどなんか納得が行かないんだよ。
「今までもこうだと良かったな」
ついつい本音を口にしてしまう。
「今までは、クソ女でしたからね」
と少し暗い声で言われたので。
俺は慌てて。
「違うよ。ミナと2人で微睡む時間があればって事だよ」
「そうですか。いけませんね。わたくしったら。悪い方向にしか物事を考えられなくて」
「いつも俺が不安にさせてごめんな」
唐突だが顔を近づけキスをしようとする。
俺はこれしか愛を伝える手段を持っていないから。
言葉でいくら愛を語れど。
ミナには届いてないらしい。
俺はちゃんと愛してるのに。
口と口が触れ。
「いきなりは、ズルいですよ」
「したくなった」
「もう。……良いですわよ」
と今度はミナから口を合わせてくる。
すると、ガチャリと研究所の扉が開いた。
「あっ!」
双子の声だった。
この研究所は入口が2つある。
1つは、ギルド長室に繋がる扉。
もう1つは、廊下側にある基本的に鍵が掛かってる扉。
さっきアイカが出ていったな。
「2人してどうしたんだい?」
邪魔されて正直イライラしているが。
父親としてどうかと思うので、俺は普段通りに2人に接する。
「ごめんなさい。邪魔したよね」
クレアは謝ったが。
「……」
アオイは口を開かなかった。
「別に構わないよ。いつでもママと仲良しだから」
と2人に対して笑顔を向ける。
するとアオイが口を開いて。
「パパの顔。嘘くさいよ」
と言ったので少し。いやかなり動揺した。
「こらアオイ。パパになんて事を言っているのですか!」
珍しくミナが注意をしてる!
と思ってる場合ではない。
「大丈夫だよミナ。俺達と離れてて少し寂しかったんだろう。ほらおいで」
と両手を広げて2人を抱きしめようとした。
「パパァ!」
何故かクレアだけが来て。
アオイは、なにかを言いたそうにしていた。
「どうしたのアオイ。ほらおいで」
左手を伸ばすが来てくれない。
様子を見かねたミナが、アオイの側に寄る。
「どうしましたか?なにか言いたいことありますか?」
「プッ」
俺は吹き出してしまった。
なんで吹き出したかと言うと。
ミナがアオイを少し見上げていたからだ。
並ばれるとミナ小さいよな。
なんて思ってると。
ミナがこっちを鋭い目つきで見てきた。
「レイキ。今笑ったな」
ミナが俺にタメ語の時はガチギレの手前だ。
「そ、そんな事は無いですよ」
逆に俺がミナに敬語使う時は、ビビっている時だ。
フェニックスの呪い関係なく。
気にしてる事言われたら。そりゃあ怒るよな。
気を付けなくては。
「やっぱり、ママが小さくなったよね」
俺の腕の中で禁句を言うクレア。
「あ゛!」
このドスの効いてるのに可愛い声は、もちろんミナだ。
ヤバいなクレアにもキレてる。
「そうだよ小さくなったんだよ」
娘を庇うために、俺が被せて意地悪を言う。
これでヘイトはこちらに向かった。
「2人とも後で覚えておけよ」
ごめんクレア。守れなかった。
俺の震える腕の中で、更に震えるクレア。
「それでアオイ、どうしたの」
優しい母親モードに戻ったミナ。
俺にもその顔見せて下さい。
「僕もクエストに行きたい!」
あれっ。アオイって一人称僕だったっけ?
まあそんな事は良いや。
良くは無いが。今1番の問題はミナだからな。
そんなミナが、
「パパに2人で、勝ったら良いですわよ」
と言うので。
「一生勝てないだろ」
って返したんだ。そしたらさ、
「わたくしがボコボコにした後でも勝てるよね」
口元だけ笑うミナ。
「それは、勘弁してください」
「では、怒らせないでくださいな」
溜息を深く吐くミナ。
「2人とも大きくなりましたけど。まだ子供なのですよ」
すかさずアオイが。
「ママより大きいもん」
と、とんでもない事を口にする。
どうして地雷を平気で踏むんだろうか。
変なとこだけ俺に似やがって。
「もっかい言えますか?わたくし。身長の事言われると1番、腹が立つのですが」
顔を引きつかせながら言う。
それなのに空気を読まないのが俺の娘だ。
「うるさいチビ」
アオイ勇気あるな。と関心してる場合じゃない。当然だがミナが遂にキレたのだ。
アオイを押し倒し。
「ママ本気で怒っても良いかしら」
顔をふるふると横に振るしか出来ないアオイ。
なら言わなければいいのに。
俺の娘だから仕方がないな。
余計な事を言う。
特に好きなやつに。
クレアを置いて、ミナを止めに行く。
「ミナ、子供の言う事だから」
娘に手をあげるような母になって欲しくない。
そんな事をしたらお前の父親と同じじゃないか。
「じゃあレイキ。テメェはいつもなんなの」
それはホントに申し訳ない。
「乱暴な口調は、辞めてくれよ。2人が怖がるから。なっ!」
とアオイから引き剥がし。
めっちゃ怖いけど。
その小さな身体を抱き締めてやった。
「なんのつもりですか」
意外にも抵抗してこないから楽だった。
「後で相手になるから。今は、耐えて」
「分かりました」
ミナの向きを変えて俺にしがみつかせる。
「良いか、アオイ」
俺は娘を諭すように言った。
「体重はミナの方が重い」
「ふざけんな!」
ミナから顔面パンチを受け。
俺の意識はここで消えた。




