第1章 第22話 クリスタルガーディアンは余裕
223/01/13 13:30
光の国
光の高原
アイカ視点
大陸の中央から見て北側。
フェニックス王国の西に存在する光の国『サンライト』。そのサンライトの中心部にある山に囲まれた高原。光の高原。
俺達は、その高原の西側にある。光の神殿を目指していた。
「疲れましたぁ!」
うなだれているのはエリスだ。
「ほらもうすぐ着くからシャキッとしなさい」
そう言うレイナも少し疲れているようで。
ここまで口数が少なくなっていたのだ。
「というかなんで魔導車で行けないのですか?光の神殿にクリスタルが有るなら。そこまで乗って行っても」
文句が出るエリスに対してナミさんが。
「あたしを殺す気か。魔導車の運転でどれだけ魔力を食うと思ってるのよ」
「そうかも知れませんが」
「それに高原の魔物に囲まれたらどうすんのよ?魔導車の中からだと反撃出来ないわよ」
「ぐぬぬ」
「あら、まだ文句あるの」
「もう無いですわ。……すみません。そこまで考えていませんでしたわ」
「いーよ。いーよ。分かれば良いさ」
と元気に答えるナミさん。
「そういえばもう傷は平気なんですか?」
昨日ミナさんに付けられた傷があったはずだ。
「ああアレね。もう治ったわよ」
「流石ギルド1の回復士だね」
嬉しそうにレイナが言う。
「そうなんですね」
「アレくらいなら簡単に治るよ。でも心配してくれてありがとう」
と頭を撫でられた。
「ちょっと辞めてくださいよ。恥ずかしいです」
すると急にエリスがナミさんの手を弾いた。
「駄目ですよ。気安く頭撫でては」
珍しく怒ってるエリス。
「たははは。嫉妬しちゃって可愛いねエリスっちは」
と今度はエリスの頭を撫でるナミさん。
「そ、そんなのではありませんわよ」
「またまたぁ。キスするくらいアイカの事好きなくせに」
「ええ!」
双子とレイナが驚いていた。
「ちょっとアイカ君。エリスとキスしたの!」
「うぁあ!大人だぁ!」
「パパとママみたいだね」
と俺の前に行き言葉を掛ける。
「したというかされたんだよ。ほら行くぞ」
俺は気にせず先に進む。
「ちょ、待ちなさいよ」
とレイナが止めるが、気にせず先に進む。
「ねぇってば」
「なに?」
俺が返事をすると。レイナは耳元で。
「アイカ君ってエリスの事好きなの?」
「知らないよ。俺に恋とか愛とか分かると思う?」
「あはは。そうだね」
となぜか満足そうなレイナ。
「へぇー」
と怪しげに言うナミさん。
「なんですか」
「べつになんでもないよ」
ニタァと笑って言われてもな。
俺は本当に人を好きになるという事が分からないんだよ。
そんな経験もないし。
ましてや。
「また暗い顔になってるよ」
心配そうにレイナが言った。
俺は聞こえないフリをして先に進んだ。
それから約2時間掛け。ようやく光の神殿にとうちゃくし。
道中ちょこちょこ魔物が居たが。
ナミさんが全部倒してくれたので。
俺達の魔力は温存されていた。
「あー疲れた!」
入口に着くなりナミさんが大声で言う。
「もう魔力スッカラカンだよ」
ゴブリンと呼ばれる魔物達を、剣で斬っていったが。
物理攻撃だけでも。少なからず魔力を消費するみたいで。その魔力を回復させる効果のある。マナドリンクをガブ飲みしてた。
飲み干すと。いつも通りの元気なナミさんに戻り。
「それじゃあ。あたしはここで待つから。みんな気を付けてね」
とにこやかに言われ。
「はい!」
俺達も元気に返事をして。光の神殿の中に入った。
神殿。というよりか遺跡なのか。壁は少しボロくて、中も薄暗い。
先頭を歩くレイナが、
「光の神殿なのに暗いね」
「そうだな」
「そんな時は私の出番ですね」
エリスが俺達の前に出る。
「見ていてくださいよ」
そう言って右手に魔方陣を展開させる。
「出でよ。フラッシュボール!」
光る球体が出てきて。そのまま宙に浮いた。
「これなら見やすいでしょう」
ドヤ顔のエリスに双子達が。
「凄いよエリス姉ちゃん」
「便利なんだよ。ありがとう」
と褒めるので。
満足そうなエリスだった。
「ありがとうな」
俺もお礼を言う。
「別にお礼を言われる程では」
今更照れたのだろうか。
顔を赤くして、目を逸らされた。
「エリスのおかげで見えやすくなったわ。このまま速攻で方を付けるわよ」
再びレイナが先頭を歩き始める。
程なくして。
スライムと呼ばれる。水色の魔物が現れ。
俺達が何かをする前にレイナが倒した。
それが何度か続いたので。
「ちょっとは俺達にも残してくれよ」
俺が言うと。
レイナが不思議そうな顔をして。
「そのつもりなんだけどさ、弱すぎるのよ」
「見た目からして、そうだろうな」
ジェリー状の肉体に目玉が付いたような魔物。
動きも遅く。何かをされる前に一撃で倒せる。
「油断すんなよ」
「分かってるわよ」
レイナがまた先頭を歩いていると。
曲がり角から。今度は、黄色いスライムが現れる。
「新しいのが来たわね」
低くかがんでから。そのまま低空飛行するように地面を蹴り。ハイスピードでスライムに近づく。
「!!!!」
黄色いスライムは、驚いたのか分からないが。
身体を震わせ。
そしてそのまま2つに別れた。
「ちょっと増えたんだけど」
攻撃対象が増えて。
苛立つレイナ。
そのレイナに別れたスライムが飛びかかろうとしていた。
「レイナちゃん危ない!」
間一髪クレアが防ぎ。
一緒に付いて居たアオイが。
「炎の第1魔法『ホット』」
右手から炎の玉を出し。
スライムに押しつける。
「!!!」
スライムは苦しそうにするが。
まだ倒れない。
「炎魔法は、こう使いますのよ!」
エリスが左手にしていた腕輪を緩め。
そのまま左手で赤い魔方陣を展開させる。
「離れて下さい!」
俺達は通路を開ける。
「私だって!」
そう叫び。炎の鳥のような火の塊が、勢い良く飛んでいき。スライム2体の身体を貫いて行った。
「いや凄いな!」
エリスが戦う所初めて見た。
「どうでしたか。私の技」
「凄かったよ」
「やるじゃない!」
「えへへ。ありがとうございます」
嬉しそうに言うエリス。
腕輪をしっかりと嵌め直し。
「久しぶりでしたが。うまくいって良かったぁ」
ルンルンと珍しく前の方を歩いて行く。
そして、階段を上がって2階。
クリスタルガーディアンが居た。
今回で3回目だ。もう慣れたものだ。
全員がアミュレットデバイスを起動させ。
攻撃に合わせてカウンターで各々が攻撃をする。
「ぐおおおお!」
と最後の叫びを上げ。
俺達はクリスタルガーディアンを倒した。
「呆気なくないか?」
こんなんで良いんだろうかって言う位には、楽勝だった。
そんな俺にレイナが。
「だって強さは何処も同じだからね」
「どういう事だよ?」
「アイカは知らないだろうけど。クリスタルのあるダンジョンって意外に弱い魔物ばかり居るのよ」
初耳だ。
誰もそんな事言って無かった。
その無知を驚いたエリスと双子が。
「もしかして知らなかったのですか?」
「アイカお兄ちゃんバカなんだね」
「そうだね。バーカ、バーカ」
と小バカにされ。少し頭にきたが。
これが常識らしい。
造られた人間の俺が知らなくて当然ちゃ当然なんだ。
別に気にしない事にした。
だけどレイナだけは、
「ちょっと。皆、アイカは記憶が無いの忘れていない?少し前にギルドに来たのよ。知らない事あってもおかしくないじゃないのよ」
と庇ってくれて。
「ごめんなさい」
と3人が謝った。
「別に良いよ。対して気にしてないし。それにさ」
チラッとレイナを見る。
「ありがとうな」
「どういたしまして」
と微笑むレイナ。
基本お調子者だけど。
こういう時にしっかりとしてるんだよな。
そうこうあって。
俺達はクリスタルの加護を受け。
ナミさんの待つ入口へと戻っていった。
223/01/13 20:00
闇の国「ムーンレイク」
ムーンレイク城下町
レイキ視点
俺はギルドの仕事や手続きをナハに任せて。
いや丸投げして。
ミナと共に闇の国へとやって来た。
ギルドの長がこうも短期間で他国に出掛けて良いのかと。ナハを始めとする。ギルドのメンバーに怒られたが。
ミナの側に居たい。
理由はそれだけで良い。
「本当に良かったのですか?」
心配そうに聞くミナに。
「1人にさせたくないからね」
俺が言うと。
「そうではなくて。無断で国外に行くと罰金刑では無くて」
その事を忘れてました。
ランクがS以上のソルジャーは、有事に備えなくてはいけないと。
スノードールへ行った時は、ミナが既に手配していたので問題なかったが。
今回は違う。
「貯金有るから大丈夫だよ」
と苦笑いをする。
「貯金っていいましても。クレアとアオイにお小遣いあげてますよね」
ギクッとなった。
実はミナに内緒であげてます。
ミナがというか。俺とミナの共同の資金から、決められた額を渡す。
けどそれじゃあ足らないと俺は思って。
2人にミナに内緒で俺の小遣いの中から。5万ゴールドずつ。渡していた。
「わ、渡してないよ」
「嘘ですわね」
いけない。
絶対に目が泳いでる。
「別に5000ゴールド位でしたら。わたくしも咎めたりしませんわよ」
すみませんその10倍あげてます。
「あまり甘やかすのは、どうかと思うので。控えてくださいね」
「ハイ」
どうやら額までは知らないらしい。
「それで本当に大丈夫なのですか?」
「だから大丈夫だよ」
「そうですか」
そう言って。ミナが俺の手を取り、手を繋いで歩く事になる。
なんかデートみたいだなと。楽観的に考えていると。
「この前。ギルド内の対抗戦の後。シルヴァさん達と飲み屋に行きませんでしたか?」
手を堅く握られ、ミナの足が止まった。
「その料金がギルド宛に来ていたのですが」
顔は笑ってますが。
絶対に怒ってるな。
「そ、そうなんだ~」
「わたくしが立て替えましたけど。ギルドの経費で落ちませんからね」
「ご、ごめん。いくらだった?」
「70万ゴールドでしたよ」
「へっ!」
変な声が出た。
「嘘だよね」
「本当ですわよ」
ヤバい記憶に無いのだが。
俺のお小遣いって月に15万ゴールドで。
その他に何かあれば追加で貰えるが。
特に貰う用事がない。
「貯金有るから大丈夫でしたよね?」
そんなに無いです。
「やべ。どうしよう」
俺が焦っていると。
「別に気にされなくて良いですわよ」
「どういう事だい?」
「わたくしが支払ったので」
「でもミナに返さなくちゃ」
「返さなくて良いから。ずっと生きてよ」
立ち止まるミナ。
俺の方を向き。
「先が短いなんて言わないで。ミナとずっと生きてください」
「分かったよ」
「言いましたからね。約束ですよ」
約束か。
俺は守れるのだろうか?
どうすれば長生き出来るんだろうね?
なにか方法が有れば良いけど。
しばらくはフェニックスの力に頼るしかないんだろうな。
ミナ。
君は気が付いてないだろう。
君がフェニックスの力で俺を癒やすと。
寿命が延びるんだよ。
だから俺は、どんなに傷つけられても。
側に居るんだよ。
まだ死にたくないからね。
「ああ。約束だ」
ミナを好きで本当に良かった。
まだまだ物語は続きますが。
1章はこの後各国を回り。
クリスタルの加護を受けるだけで。
特に大きな事件等は起きない予定です。
なので次の話から2章を書きます。
無事に8つのクリスタルの加護を受け。
ギルドへ帰って来た所から始まるので。
よろしくお願いします。




