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第1章 第20話 重たい愛情

223/01/12 07:00

ギルド フォレストセイバー

アイカの部屋

アイカ視点


朝目が覚めると。

俺の側にエリスが居た。

「おはようございます」

「なんで居るんだよ!」

「鍵かかってませんでしたわよ」

「だからって普通入らないだろうが」

エリスはふふふと笑い。

「新しい夢を見ました。それも今までとは違った未来のです」

「え」

「聞きたいですか?」

ワクワクとした表情で言われても困る。

だって起きたばかりで腹が空いていたからだ。

とりあえずベッドから起き上がりエリスの前に立つ。

「それよりも何処に行っていたんだよ。姿が見えなかったから──」

「寂しかったです」

と俺の言葉に割り込んで抱きつかれた。

「ちょっと急になんだよ」

「別にいいじゃありませんか。未来では恋人同士なのですから」

潤んだ瞳で言われ少し照れる。

というかそもそも女に抱きつかれるだけでも照れているのに。

とりあえず両手を上げて降参の意思表示だけ行うことにした。

「レイナさんに取られたくない」

「何いってんだよ」

ホントになにを言ってんだろうか。

エリスの意図がわからない。

わからないが。頭を撫でてやった。

「ズルいですよ。言葉にしないなんて」

「なんて言って欲しんだよ」

「私のことが好きって言って欲しいです」

「それは言えないよ」

「嫌いだからです?」

「別にそうじゃないけどさ」

恋愛感情なんて分からない。

そもそも俺は造られた人間。

そんな感情が備わっているかさえ不明なのだ。

それに自分自身でも思っている。

俺の何処が良いの?ってね。

「絶対に惚れさせます!フェニックス王国の名にかけて!」

キリッとした顔で言われてもな。

そういえばコイツ王女だったな。

王女と恋人になるってあり得るのか?

周り……そもそもそんなに知り合いが居なかった。

マジで参考になるものがねえ。

困り果てた俺は、

「楽しみしてる」

と訳の分からない返しをした。



223/01/12 07:10

ギルド フォレストセイバー

食堂

アイカ視点


お腹が空いていたので。

エリスと2人でご飯を食べに食堂へ来ていた。

するとレイキさんがやって来た。

「おはようございます」

2人で挨拶をする。

「おはよう。いつエリスは帰ってきたのかな」

「昨日の夜に戻ってきましたわ」

「そうか。ならアイカ君の活躍を知らないんだね」

「昨日の対抗戦出ていたのですかアイカ君?」

驚きの表情のエリス。

そこまで驚かなくても。

「ああ。一応な」

素っ気なく返すと。

「一応って。なにを言ってんだよ!君のおかげで勝ったようなもんだ。もう少し胸を張れよ」

と背中を叩かれる。

「ちょ、痛いですよ」

「ああ。悪い悪い。けどよ、もう少し自信持てよ」

そう言われても無理だ。

俺の性格上苦手なので。

「ははは」

と愛想笑いを返した。

「にしても残念だよな。こんな時に活躍を見れないなんてな」

「ホントにそうですよね。お父様には困ってしまいますわ」

頬を少し膨らませるエリス。

「どうして帰っていたの」

俺が聞くと。

不思議そうな顔をして。

「王女だったので、やる事がたくさんあったんですよ!」

それだけで分かるわけがない。

というかコイツ今なんて言った。

「王女だったってなんだよ」

「おいおい。まさか本当に王女じゃ無くなったって言わないよな」

レイキさんも驚いていたから。聞き間違いじゃ無いようだ。

「ええ、そうですわ」

当たり前だと言わんばかりの顔で言うエリスに対して。

「なんてこった」

と頭を抱えるレイキさん。

「マジか」

俺も当然驚いた。

「エリス。この後詳しく事情を聞こうか」

「ええ。構いませんわ」

「なら後で呼ぶから、ギルド長室に来てくれ。俺は今からミナを探してくるから」

そう言って、急いで食堂から出ていった。

「驚いたよ」

「私もですわ」

お前は当事者だろうに。

「どうゆうことだよ」

「昨日の夕方にお父様から。このギルドに迷惑が掛かるから。正式に王族から除名すると」

「大丈夫なのか」

「アイカ君が居るので」

「俺を当てにされてもな」

「なので捨てられないように頑張ります!」

ナイフとフォークを両手に持って言われてもな。

俺が食べられるのかねとしか思えないな。

いやもう。頭が痛い。

「そもそもなんで俺なんだよ」

「あら。前にも話しましたわ」

確かクエストをこなす内に仲良くなって。それで付き合ったんだっけな。

クエストまだ受けたこと無いのに。

いつの話になるのかな。

「無事に旅を終えれば分かりますよー」

と軽く言われた。

本当に分かるのかな。

というより。

俺がエリスを好きになる未来が見えないな。


223/01/12 08:00

ギルド フォレストセイバー

ギルド長室

レイキ視点


俺はミナを見つけて。

一緒にエドと映像通信をしようとしていた。

「レイキか。元気にしておるか」

いつも通りのエドで安心はしたが。

「こっちは元気だけど。エリスが王女じゃ無くなったって本当なのかい」

「ああ。本当だとも」

なんだその件かって顔で言われる。

「そんな簡単に」

「簡単なものか!」

少しキツい言い方をされて驚いた。

そんな俺の反応にお構いなく。

「エリスから言い出したのだ。アイカと結ばれたいから王族を辞めると」

ふとミナをみると、キョトンとしていた。

「どういう事ですか?」

そういえばエリスがアイカの事を好きって知らなかったな。

「エリスってアイカの事が好きらしいんだ」

「ええ!知りませんでしたわ」

口に手を当て驚くミナ。

というか女の子って、この手の話好きだろうに。

エリスからミナに相談とかしなかったんだろうか?

「なんだミナには言ってなかったのか」

「別に俺から言う事でも無いからな」

「またそうやって隠し事をするんですね」

ジト目こちらを見てくるミナ。

その視線は辛いが。

「別に誰が誰を好きでも良いだろ?当の本人以外がとやかく言う事でもないしな」

「確かにそうですが」

悲しそうな表情になるミナ。

俺は頭を撫でて機嫌をとる。

「そういえばナミは知っていたな。なんでも目の前でキスしてたとかなんとか」

嬉しそうに話していたのを思い出す。

「じゃあもう付き合っているのか!」

エドが少し怖い顔で言うので。

「落ち着けよ。まだ付き合っていないと思う」

「何故言い切れるのだ」

「だって昨日レイナといい感じだったから。誰かと付き合ってる訳じゃないと思う」

「なに!それは本当なのか!!」

「どうしてわたくしに教えてくれないのですか!」

これ言うんじゃなかったな。

失敗したよ。

「俺の気のせいかも知れないからな。本当の所は分からないよ」

慌てて誤魔化す。

「困ったな。レイキの妹がライバルなのか」

ライバルってレイナがアイカを好きかどうかも分からないのに。

その逆もだがな。

「この際だから言うけど。シルヴァがレイナの事好きだとシルヴァ本人から聞いた」

「えっ!」

また驚くミナ。

そんなミナを無視してエドは。

「ならそっちでくっつけて。エリスには好きになった男と結ばれてもらおうじゃないか」

「簡単に言うなよ。そういうのは当事者が決める事だろ。政略結婚って訳でもないんだからさ」

「ふむ。確かにそうだな」

「レイキさん的にはどうなれば良いって思ってますか?」

「いや知らねぇよ。好きな奴同士でくっつけば良いんじゃないか」

俺はありきたりな事しか言えない。

「それで話が脱線したが。エドはエリスが王族から抜けて良かったのかい?」

「エリス自身が決めたことだ。俺はその意見を尊重したい」

「女王様はなんて言っていた」

「ああ、カオリなら即賛成していたぞ」

カオリとは女王陛下の事だ。

それとエリスはエドの前妻の娘である。

自分の息子。つまりエリスの弟で女王の実の息子に当たる。

その息子が次期国王になりやすくなるのだから。

反対する理由も特に無く。

むしろ舞い降りた幸運としか。女王は思っていないだろうな。

「あんまり政治的な事に巻き込まないでおくれよ」

「別に巻き込んだつもりはないが」

「王女が城下町以外のギルドに入る時点で巻き込まれてる。最初に俺は止めた」

ミナが違うと言いたげな顔で。

「そうでしたっけ」

「そうだよ。だけどエリスがどうしてもアイカと一緒に居たいって頼んだんだよ。入れてくれないと俺の秘密をミナにバラすって」

言い終わって。あっ!と思った。

「秘密ってなんですか?」

真顔で問いかけるミナ。

「なんでもない……じゃあダメだよね」

恐る恐る聞いてみると。

「拷問するから良いですわよ」

実にサラッと、とんでもない事を言うのが俺の嫁である。

「そ、そんな事されたら離婚するよ」

とっておきの切札を放つ。

が。

「その前に、墓に埋めますわよ」

だから怖いって。

しかもミナが言うから洒落にならないんだよな。

言った事を本当にやる人間だからだ。

「大丈夫かレイキ?話して楽になれよ」

エドが半笑いで言う。

「それとも話さずに楽になりますか?」

ミナの赤い髪が、青く見える位に冷たく言われ。

背筋が凍った。

「なんだよそれ」

「昨日もレイナさんに言われてましたわね」

そう言えばそうだったな。

レイナが昨日余計な事を言わなければな。

あいつマジで一度痛い目に合わせよう。

そうしよう。

俺が頭の中で考えていると。

ガチャリ。

金属の音が俺の手元で鳴った。

ミナが俺に手錠をかけたのだ。

というかなんで常備してるんだよ!

「国王様申し訳ないですが。この男を拷問しますので失礼します」

と言い。勝手に通信を切るミナ。

「なにを勝手なことを」

この場から逃げれば良いんだが。

かけられた手錠によって能力が封じられており。

空間転移はおろか。

魔法すら使えなくなっている。

「今外に出されたら大変ですね」

クスクスと不気味な笑い方をするミナ。

「謝っても許さないからな」

精一杯の強がりだ。

「まだそんな事を言いますのね」

瞳の色が褪せて来たミナ。

「当たり前だろ。ミナに信用されてないのは腹立つって」

「あら信用はしてますよ」

まだ丁寧な言葉使いだから。少しは大丈夫なはず。

「ならさ」

「隠し事嫌いって言ってんのに!」

胸ぐらを掴んで俺を引っ張るミナ。

はっきり言って怖いです。

なんで怒るときの口調が変わるのさ。

その方が分かりやすいって俺が言ったんだっけな。

なら仕方がないので我慢する。

「話してくれるまでぶん殴るわ」

そう言われてもな。

誰にも話していない俺の秘密だ。

その事を、なぜエリスが知っていたのかが気掛かりだが。

当てられてしまったのだ。

どうせこの先の未来に、俺がエリスに言うのだろうから。

だからエリスの夢の話を、俺は基本的に信じる事にしてるんだ。

「俺はもう長くない」

これは本当の事。

そうらしい。

「えっ。どういう事ですか?」

「そのように作られてるから」

「嘘よ」

「じゃあもう殺してくれ。ミナに殺されるなら本望だよ」

寿命で死ぬくらいなら。ミナの手の中で死にたい。

「やだ」

「さっきまで墓に埋めるって言っていたのに?」

「言い過ぎまひた。大好きだよ、レイ君」

急に甘えん坊モードになったミナの頭を撫でる。

「手錠外してくれたら嬉しい」

「それ嫌です。もう死ぬまで離さない」

どうやら俺は、ミナのヤバいスイッチを押したみたいだ。




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