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第1章 第19話 ギルド内対抗戦のあった夜(26/01/22改稿)

223/01/11 18:00

 ギルド フォレストセイバー

 医務室

 アイカ視点


「う、うーん。……ここは」


 目が覚めるとベッドの上だった。

 レイナがベッドに座って俺の顔を眺めていた。


「あっ。やっと起きたね。心配してたんだよ」


「ごめんな心配かけて」


「ホントだよ全く。でも凄いよね!ラミサさんに勝っちゃうなんてさ。あたし嬉しすぎて飛び跳ねちゃったわよ♪」


 俺が勝った事を。まるで自分が勝ったかのように言うレイナ。

 その様子を見て、俺は嬉しかったのだが。

 いつも居るはずのエリスが居ないから。

 嬉しさが半減していた。


「どしたの?」


「あ、いや。エリスがいないなって」


「ふーん。代わりにあたしが居て悪かったわね」


 急に機嫌が悪くなるレイナ。

 なにかとエリスと張り合いたくなるのは、なんでだろうな。


「別に悪くはないけど」


 俺の言葉に怒ったのか。眉をピクッとさせ。


「なによ!ハッキリしなさいよ!」


 声を荒らげて言わなくてもいいのに。

 大きな声で言われた。


「だから。別にレイナが居てくれて嬉しいんだけど。普通にエリスが居ないのも気になるんだよ」


 と俺が言うと。

 なぜか顔を赤くするレイナ。


「そ、そうなんだ。……あたしが居るのが嬉しかったんだね」


 すぐに機嫌が治ったのでよく分からない。


「というか。今何時?めちゃくちゃ腹減ってんだけど」


「ずっと寝ていたからね。しゃーない。あたしと食堂に行くかぁ」


 半ば強引に連れ出されそうになったので。


「ちょ、起きたこと誰にも言わなくていいのか」


 ベッドから起き上がり靴を履く。


「いいのいいの。今、後片付けとかで皆忙しいし」


「レイナは手伝わなくて良かったのかよ?」


「あたしはアイカが起きるのを見守るからって言ったら。お兄ちゃんがいいよって」


「ならいいけど」


「よぉーし。早速食堂へ行くわよ!今日はいつもよりも豪華なメニューあるみたいだから楽しみだね」


 目を輝かせて言うレイナに手を引かれた。


「なんで手を繋ぐんだ」


「えっ!嫌なの?」


 驚かれても困る。


「別に嫌じゃないけど」


 レイナの柔らかい手に引かれ。食堂にやって来た。

 先に食事をしていたレイキさん達が居た。


「おっ。目覚めたみたいだね」


「スミマセン。倒れたみたいで」


 ミナさんも手を止めて。


「もう大丈夫なのですか?」


「えぇ。寝ていたんだバッチリです」


「それなら良かったですわ」


 すると双子が俺の元へと来て。


「アイカくんパパみたいだったね」


「凄かったよ。アオイ感激したよ」


「あはは。ありがとう」


 そう俺が言うと。

 まだ手を繋いでたのを見られた。


「どうしてレイナお姉ちゃんと手、繋いでるの?」


「あぁ!ホントだ!パパとママみたいだよね」


 と俺達とレイキさん達を見比べるアオイ。


「これは、違うの。はぐれるといけないから」


 顔を赤くし、レイキさんに否定するレイナ。


「まだ何も言ってないよ」


 と、からかうように言われたので。

 少し怒った顔で。


「うるさい!お兄ちゃんなんか知らないわよ。ミナ姉ぇに、秘密が事バレちゃえ」


 デタラメを言って。ぷいっと他所を向く。


「秘密ってなんですか?」


 ミナさんがレイキさんに少し怖い顔で聞く。


「おいデタラメ言うなよ!」


「もう知らなーい。行こっアイカくん」


「お、おい」


 俺はまたレイナに引っ張られた。

 後ろで、ミナさんが後で話しようねって。凄く暗いトーンで言っていた。

 レイキさん無事だといいな。


 それからレイナと食事を取った。

 確かにいつもよりも豪華だった。

 どうやら毎回。ギルドのイベントの日は豪華になるらしい。


「あー、たべすぎたぁ!」


 と言う割には満足そうな顔のレイナ。


「いつもより食べてたな」


「そういうアイカもだね」


 急に呼び捨てにされて。何故かドキッとする。

 というかレイナも実際可愛いからな。

 性格はあれだけど。


「どしたの?」


「いや別に」


「へんなの」


 そう言って。体を伸ばす。


「食後の運動に散歩でもしない?」


「別に良いけど」


「なら決まりね」


 俺達は町を散歩することにした。


 19時過ぎると夜風が気持ちいい。


「涼しいね♪」


 とルンルン気分で言うレイナ。


「そうだな。炎の国と言ってもこの時間は丁度いいよな」


「なんでここにお兄ちゃんがギルド作ったと思う」


 唐突に聞かれ。さぁと首を傾げていると。


「ミナ姉ぇの為にだってさ。氷の国だとミナ姉ぇが辛いからって」


 前に少し聞いた。属性を持つ人間は、天候や気温に体調が左右されると。

 正反対の属性だから仕方がないけど。

 自分は、我慢するって普通じゃ出来ないよね。


「それだけミナさんの事が好きなんだろ」


「あたしもそれだけ愛されたいな」


 寂しそうな表情をするレイナ。


「あたしさ。先月まで彼氏がいたの」


「この前言っていたよな」


「そうそう。んでねあたしがこの街に引っ越してお兄ちゃんのギルドを手伝うって言ったらさ。そいつなんて言ったと思う」


「さあ。わからないな」


「じゃあ別れようだって。信じられる?所詮その程度の愛だったんだよ。あたし、ホントに」


 言葉に詰まったレイナ。

 顔を見ると泣いていた。


「あたし、ホントに好きで、好きで。遠距離でも良いって思っていたのにさ」


「辛かったね」


 俺はハンカチをレイナに渡す。


「ごめん、ありがとう。急に誰かに聞いて欲しかったのよ」


「俺で良ければ聞くよ」


「ふふ。ありがとう」


 と少し笑顔になったレイナ。

「それでさ。今日偶然来ていたのよそいつが。最悪だったよ。もう新しい彼女連れていたんだよ。信じられなくない!」


 ああだからいつもと、なんか雰囲気が違ったのかな。


「最悪だな」


「でしょう!ホントにムカついて、誰かに話したくて……ナミ姉ぇに相談したかったけど。今日は忙しいそうだったし。お兄ちゃんには話したら。ややこしくなりそうだし。アイカしか、いなかったのよ。あー思い出しただけで腹が立つ!」


 頭をクシャクシャに掻く。


「落ち着けよ。綺麗な髪が台無しだよ」


 と言うとピタッと手が止まった。


「長い髪が綺麗ってソイツも言っていたな」


「ごめん。思い出させてしまったな」


「いいって。今のは気にし過ぎなあたしが悪いよ」


 そう言って。ベンチを見つけたレイナは、ベンチに向かって小走りで行く。


「座って話さない?」


「いいよ」


 俺達は2人で腰を掛けた。


「星が綺麗だね」


 言われて空を見上げると確かに綺麗だった。


「ホントだ。綺麗だ──」


 そう思った時に、胸がざわつき、頭に激痛が走った。

 頭を抑えながら倒れ込む。


「ちょっと大丈夫?」


 心配するレイナよりも。頭に流れる映像に気を取られる。

 液体の中からプリシア──いやカプリシアスを見ている記憶。

 魔物を剣で切り裂いてる映像。

 カプリシアスに頭を撫でられてる映像。

 そして自分と同じ顔をした人を殺した映像。

 倒れた場所で見た星空の映像。

 断片的に次々に流れ出す記憶たち。


「しっかりしてアイカ!」


「はっ!……なんだ今のは」


「もう大丈夫なの?」


「あーうん。ごめん、なんか頭に映像が流れてきてさ」


「それって記憶が」


「違うよ!」


 咄嗟に否定した。

 認めたくないからだ。

 自分がこの前みた、ミナさんを攻撃したバトルドール。

 そのバトルドール達の1人だった事を。

 記憶喪失じゃなくて、元々無かったんだ。

 俺は作られた人間。いや人形だった。

 知りたく無かった。

 現実と言う名の闇が、俺を飲み込んでると。


「!!」


 レイナが力強く、俺を抱きしめてくれた。


「大丈夫だから!なにがあってもあたし達は仲間だよ」


「ははは。仲間……ね」


 声にならない声で言う俺。

 仲間ってなんだろうな。


「俺、敵かも」


「急にどうしたのよ。意味が分からないよ!」


 まっすぐと金色の瞳に見つめられる。


「俺さ」


 一瞬言うのを躊躇ったが。


「カプリシアスのバトルドールだったみたい」


「なにそれ」


 驚いた顔をされる、それも当然だ。

 これからどうなるんだろうか。

 レイキさんにもレイナから言われて。

 それから俺……。


「きっと気のせいだよ」


 また強く抱きしめられる。


「大丈夫だからね。あたしは、そんな事で嫌ったりしないから」


 耳元で優しく言われ。

 少し心が軽くなった。

 それと同時に恥ずかしくなってきたので。


「ごめん。もう大丈夫だから!ほんと。急に変な事言ってごめんな」


 それでも離してくれないレイナ。


「お兄ちゃんには黙っとこうね」


 にぃといつもの笑顔で言うレイナ。

 俺は少しホッとした。

 だが、空気は冷たくなる。


「なにを黙ってもらうんだい」


 いつから居たのか分からないが。

 声が聞こえた方を見ると、レイキさんが居た。

 少し怒ったいや、目の奥でキレていた。


「げっ!」


 レイナが俺から離れて逃げようとしたが。

 速攻で腕を掴まれてしまった。


「ちょっと痛いよ」


「お前。さっきの件で俺がどんだけキレたか」


 右手に魔方陣を展開するレイキさん。


「ご、ごめん。もうしないから許して!」


「何回聞いたか憶えてないけど。許す気は無いな」


 この前見た怖い顔で。

 展開した魔方陣を顔の前に近づける。


「やっとミナとギスギスしていたのが終わったのにね。ああやってデタラメ言われるとね」


 ミナさんの名前がでて、やっぱりそのことで怒ってるのかと、俺は納得した。

 更に魔方陣を大きくするレイキさん。


「あわわわわ」


 さっきまではあんなに可愛い顔していたレイナが。

 とんでもない絶望に飲み込まれた顔になった。


「ミナとの関係を壊そうとする奴は、妹でも容赦しないよ」


 更に魔方陣を大きくする。


「ごめんなさい。もうしません」


 レイナが泣きながら謝ると。魔方陣を消し、掴んでいた腕を離す。


「用事はそれだけだ」


 と言って帰ろうとしていたので。


「待ってください!」


 思わず呼び止めてしまった。

 聞いて欲しかった。

 どうなるのか分からないが。

 聞いて欲しかった。


「思い出したのかい」


 足を止めてこちらを振り返る。


「ええ。……全部じゃ無いですけど」


「そうか」


 とだけ言いまた帰ろうとしたので。


「いやいや。待ってくださいよ」


 と引き止めてしまう。


「俺にどうして欲しいんだい?」


 首だけこちらを見るレイキさん。


「どうして欲しいって言われても」


「だろ。……後、君の正体薄々分かっていた」


「えっ」


「だけどほっとけなかったんだよ。同じミプリヴァリナーとしてね」


「そうだったんですね……」


「カプリシアスの元に行かなければ。俺達は、仲間のままだ。ただそれだけだよ」


 そう言い残し。今度こそ帰っていった。


「アイカ君」


 弱々しく呟いたレイナを見ると。へたっーと座り込んでいた。


「こ、腰抜けちゃったよ」


 疲れた表情でレイナは、遠い目をしていた。


「大丈夫か?」


「む、むり」


 仕方がないので。おんぶしてギルドに戻った。


「あたし、重くない?」


 体重の事だろうか、それ以外の事なのか分からないが。


「別に」


 一言だけ返すと。


「そうか、ふふふ」


 レイナはなぜか嬉しそうにしていた。


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