第1章 第16話 ギルド内対抗戦2
223/01/11 08:50
ギルド フォレストセイバー
ギルド地下のバトル会場
アイカ視点
「以上が今日のオーダーだ。各自気合を入れて臨んでくれ」
と言われた。
なんのオーダーかというと。
今日このギルドの男女対抗戦があるらしい。
それは別に良いんだけど。
何故か俺がメンバーに入っていた。
レイキさんいわく。
「記憶喪失のミプリヴァリナーってだけで客が呼べるからね」
との事。
いや知らないですよと思ったが。
普段お世話になってるので何も言えなかった。
会場の控室で1人でうなだれていると。
見たことない白髪の人がやってきて。
「君が記憶喪失のミプリヴァリナーか。会いたかったよ」
と話しかけられた。
「はじめまして。最近入ったアイカって言います。よろしくお願いします」
「ははは。そう固くならないで。俺はフロート・アクエル。知らないかもだけどサミサの旦那だ」
「ああ。そうなんですね。サミサさんにはこの前コンボについて教えていただいて」
「そうか。知ってるんだな。アイツむちゃくちゃだけど。仲間思いで良いやつだからね」
「そうですね。新入りの僕にも優しく接してくれましたよ」
「ならよかったよ。今日は頑張ろうな」
と肩を軽く叩かれた。
スピーカーから周りの注意を引く音が流れる。
「本日はギルドフォレストセイバーの男女対抗戦にお越しくださって誠にありがとうございます」
恐らくシアさんだろう。
大会の挨拶が流れた。
レイキさんが椅子から立ち上がり。
「そろそろだな。最初は俺の出番だから皆応援よろしくな」
と手を上げて控室から出た。
「にしし。アイツ今日は勝つ気満々だな」
「そうなんですか?」
俺が居るから捨て試合だと思っていた。
「昨日ミナにオーダーを聞いていたんだよ。それで勝てそうなヤツを当ててるんだよ。笑えるよな」
それってかなり反則では。
「教えたミナが悪い」
と黒髪で褐色の肌の男の人が言う。
「ああ。俺も初めて会うな。俺の名はマーズ。このギルドでは唯一の男の魔導士だ」
魔導士だからローブを纏っているのか。
「いかにもそう見えますね」
三角帽子も被っていたので。
むしろそうとしか見えない。
「はは。それは良かったよ。魔法の事で困ったら。迷わずに俺に聞いてこい。教えてやる」
「ありがとうございます」
なんだかんだここのギルドいい人が多いよな。
俺がそう思ってると。再度音が流れ。
「それでは第1試合。女性チームナミ・セプテ。男性チームレイキ・セプテ。入場してください」
マトさんがモニターを付け。
「いよいよ始まるな」
椅子で寝ていたシルヴァさんも起きて。
「そうだな。カカカ、楽しみだぜ」
と笑ってるのか分からない顔で言う。
それを見たフロートさんが。
「今年は勝ちたいな。今まで俺達は負け越してるからな」
「違いねぇぜ。今年は俺様も居る。必ず勝つぜ!」
本当に俺がいて良いんだろうか。
今更だけど不安になっていた。
試合が始まるその前に。
ギルド長のレイキが合図を出し。
スタッフのイーがマイクを持っていく。
それを受け取り。
「えー。ギルドフォレストセイバーのギルド長のレイキ・セプテです。本日は当ギルドの男女対抗戦にお越しいただき誠にありがとうございます」
慣れた挨拶をする。
「えー。今年は珍しく新人が入りました。しかも俺と同じミプリヴァリナーの子が入りました。今まで男性チームが負け越してますが。今年は勝ちに行くので。皆さん最後まで必ず見ていってください!」
と挨拶をし。イーがマイクを受け取り。会場から外に出る。
会場が熱気に包まれる。
それもそうだ。
このギルドは2年に1度あるギルド同士の大会で3位に入る実力なのだ。
世界各地にその名前は知れ渡っている。
「新しい子がミプリヴァリナーってマジか!」
「そいつはスゲェや。今日は当たりかもな!」
色々な声が飛び交うなか。
第1試合が始まった。
「悪いけど。勝たしてもらうぜ」
余裕そうに、言うレイキ。
それに対して。
「そう言って去年負けたの憶えてるわよ」
レイキを茶化すように、笑いながら言うナミ。
確かにレイキは去年負けた。
ナミはAランクのソルジャーで主にサポートを担当している。
しかしながら剣の腕前はかなりあり。
魔法を組み合わせた剣術で相手を翻弄する。
それだけでなく、レイキの油断で負けたのだ。
ミプリヴァリナーの力を使わずに。
普通に負けた。
基礎能力が低いのを自覚してるくせにだ。
「今年は負ける訳にはいかねえんだわ」
「あら、そう」
つまらないと言わんばかりの顔をするナミ。
そのナミが今日は、長い緑の髪をポニーテールにして纏めていた。
彼女が本気を出す時の合図のようなものだ。
「まあ良いわよ。勝つのはこのあたし。アミュレットデバイス『トリッキーカスタム』起動!」
ナミがアミュレットデバイスの装甲を身にまとう。
「俺は使わなくていい。けどなぁ!」
そう言って薄い黄緑のオーラを身に纏う。
「ミプリヴァリナーの本気見せてあげるよ」
同じ色の魔方陣が足元に広がる。
「ミプリヴァースト!!」
レイキの髪もその色に変わった。
「あたしを守りなさい。アクアベール!」
無数の水の塊ががナミの前に現れた。
「関係ないさ!貫け!スネークブラスト!」
レイキのクリスタル王蛇が勢いよくナミの元へと向かう。
それを水の塊とナミの剣で弾く。
「甘いわよ。水の第7魔法『アクアスプラッシュ』」
レイキを中心に足元に青色の魔方陣が広がり。
そこから水が勢いよく湧き出てきた。
「クゥ!」
弱点の水属性の攻撃をモロに食らったが、もちろんそれだけでは倒れない。
普段ミナから受ける攻撃に比べればなんでもない。
「そっちが魔法で行くなら。これはどうかな」
先程と同じ様にクリスタル王蛇をナミ向かって伸ばす。
しかし弾かれる直前で先端が姿を消した。
「!!」
驚くナミだが。反射的に振り返り。
後ろに空間転移したヘビ頭を叩き落とす。
「チッ!これもダメかい……そうかそうか」
「今度はあたしから行くよ!」
そう言うと加速し。
レイナ程では無いが。ナミも充分に速い動きでレイキの元へと駆けていく。
「喰らえ!スピードスラッシュ!!」
スピードに乗り。その勢いそのままで相手を斬りつけるナミの得意技。
「効かねぇよ!」
レイキも負けじと、蛇の腹を膨らまし盾として防ぐ。
よく使うブレイドーシールド。
全然剣では無いが。
普通のソルジャーも使う技だ。
本来は、剣に魔力を込め。それを盾代わりにする技であるが。
「それズルいよね」
「なにがだよ!」
ナミを振り払い。バックステップで距離を稼ぎ、今度はレイキが自身の前に紫色の魔方陣を展開する。
「雷の第9魔法『ライトニングサンダーボルト』」
直径30センチ程ある雷がナミを襲う。
「アクアシールド!」
水の盾と先ほど展開した水の塊で防ぎきる。
その後レイキも空間転移と剣撃を組み合わせて攻撃するが。ナミはアクアベールと自身の剣裁きで全て当たらずにいた。
「このギルドの長として負ける訳にはいかねぇんだよ!」
クリスタル王蛇を右手に持ち替えて。
左手に魔力を込め。
それを地面に押し込むように床をぶん殴る。
すると白色の魔方陣が会場中に広がった。
「アイスインパクト!」
氷の粒が無数に地面から湧き出てナミを襲う。
後方に飛び跳ねてダメージを最小に済ませた。
「これしき……居ない!」
攻撃がやむとレイキは居なくなっていた。
ナミは顔を守る為に腕を被せていた。
その隙にレイキは空間転移で姿を消していたのだ。
「ここだよ!」
ナミの真後ろに転移したレイキ。
「加減はするさ!王蛇の宴!!」
蛇が9匹に分かれ。それぞれがナミを喰らおうと襲う。
一匹分を防ぐので精一杯だったナミは、8匹の蛇に噛まれ。
その場に倒れた。
「勝者レイキ・セプテ」
アナウンスが掛かり。会場から歓喜の声があがる。
「大丈夫ですかお姉様!」
と心配そうにミナがやって来て回復魔法をかける。
ヒーリング装置のおかげで直ぐに目を覚ますが。
自力では立ち上げれなかった。
「今年は俺の勝ちだな」
レイキがナミに手を差し伸べる。
「次は勝つからね」
その手を取り。
ミナに担がれながら。共に控え室へと戻っていった。
残されたレイキは、
「滅多に見れないから。見れた人は運が良い!」
と観客達向けて叫ぶ。
そのまま控室に戻るまではしっかりとしていたが。
流石に力を使いすぎたのだろう。
床に寝転んだ。




