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プロローグ(6/7改稿)

222/13/29 12:20 晴れ


フェニックス王国 フォレスティアタウン

町外れの山



魔法があり、人間の敵である魔物が居る世界。

この世界は8つの国から成り立っている。

そんな国の一つ。ここ『フェニックス王国』。かつて伝説の不死鳥『フェニックス』が居たとされる炎の国。大陸の北西に位置しており。火山の影響なのか一年を通してかなり温暖。


町外れにある山の中腹あたり。額から流れる汗を拭い呟く。すると隣にいるちいさな少女『ミナ・セプテ』が。握っている手に力を入れる。


「暑いからって。離さないで下さいね」

赤いミドルボブが微動だにしない。

そう無風である。


せめて少しの風があれば、多少はマシなのになぁと思う。

より強くより強く握られた手が焼石のように熱く感じてきた。

手を繋ぐ事は、非常に嬉しいし。

当然だがパートナーとして。

ずっと離したくない。

だが俺『レイキ・セプテ』は氷属性。

対してミナは火属性。

人が持つ属性の影響は体温にも現れるのだ。

「どうかしましたか?あまりじっと見つめられると。わたくし耐えれませんわ。」

顔をほんのりと紅く染め。俺を…というか。少し目を反らし。空を見ている赤い目。

その上目遣いの大粒の瞳に。少しだけ、罪悪感を覚えながら。俺はわざと手を離そうとした。暑いんだ。分かってくれ。

「わっ!ダメですわ」

離そうとする手を、ミナに強く引っ張られ。俺は派手に。頭から地面に飛び込んでしまった。

「イタタタ」

額を少しだけ擦りむいてしまったようだ。

手を繋いでいたから上手く受け身が取れなかった。

「あわわわ。大丈夫ですか?…てぇ、レイキさん血が出てますよ」

心配そうに俺を見下げるミナを見て。

身長差が逆転したな。と思い頬が緩んだ。

「今。何か失礼な事を考えませんでしたか?」

正解です。考えていました。

申し訳無いです。

「いや…ただ、ほら。力が強いなって…」

咄嗟に誤魔化した。けど感想としては間違って無い。

ミナは、小柄どころか、身長137センチしかない。

しかしながら185センチもある俺を糸も簡単に地面に倒したのだ。一体どこにそんな力があるんだと。毎度の事ながら思ってしまう。

「レイキさんが弱すぎるのですよ。……全くもう」

そう言いながら。右手を俺の傷口に当てる。

回復魔法を直接かけてもらっている。

優しい力が傷を癒す。

「またケガさせてしまいました。パートナー失格です。」

悲しそうな表情でいう。

それに対して俺は、なにも考えず。

「大丈夫だよ。いつもの事だから」

つい言ってしまったその一言を。

ミナが、どれ程気にしているのか。

俺が一番理解をしていたはずだったのに。

気付いた時には、もう遅い。

赤い目が潤んでいた。

「いつもの事……。そうですか……。いつもの……事……」

「いや違うんだ」

俺は慌ててフォローを入れようとした。

だけどその手は弾かれてしまう。

「違ってないです!」

ダムが決壊したのか。涙の雫がミナの頬を伝い地面に落ちていく。

「どうしようもない。ただの暴力女ですから…いつも事ですわね」

こうなると何をいっても無駄。

ずっと自身の事を否定し続ける。

俺はすっと立ち上がり。

「流石ミナ。もう元通りだ。」

何事もなかったかのように振る舞うしか出来ないかった。

実際問題。回復魔法のおかげでケガした部分は、完璧に治っていた。

だがミナは俯いているだけ。

そんなに落ち込まないでと願いをこめて。頭を撫でてやると。ミナの顔が緩んだような気がして気付くとミナを抱き締めていた。

「ど、どうしたのですか急に」

「愛してるよ」

少ししゃがみ。いや。膝立ちをして顔を近づける。

「ずるいですわ。…わたくしが弱っているときに」

口ではそう言うが。目を閉じて俺を待っていた。唇に狙いを定め。繋がろうとしたとき。

俺は、目にしてしまった。

青年が倒れているのを。

「大変だ!」

ミナから離れ倒れた青年の方へ向かう。

「ああ。久しぶりのキスが……」

後ろから、凄く残念そうな声が聞こえてきた。

「後でたくさんするから、今はこの子の治療だ」

ようやくミナも気付いたのだろう。

急いでかけてくる。

「おい。大丈夫か。しっかりしろ」

10代半ば位の少年がうつ伏せで倒れている。

装備は、何も無い。

「襲われた形跡もありませんわね」

ミナが辺りを見回して警戒する。

これが罠の可能性があるからだ。

倒れた人に気を取られていて。奇襲を受けるなんて話。この世界じゃ有名な話だ。

「アミュレットデバイスも持ってなさそうだ。」


アミュレットデバイス


簡単にいうと、小型の連絡機の事だ。

それ以外の用途もあるが。また今度。

青年を仰向けにして。顔を見た俺は、驚いた。

「えっ!」

この子の事を、どこかで見たような気がしたからだ。

俺が動揺していると。

「どうかなさいましたか?…まさか。隠し子!」

ミナが的外れも大概な事を真剣に言ってきた。

「居るわけねぇだろうが!年齢を考えろ」

俺は今23歳。

この子が12歳だとしても11歳の時の子だぞ。

「まあ、そうですが」

何故か府に落ちない顔をしてる。

「クレアとアオイもまだ小さいだろ。」

クレアとアオイは、俺達の子供の名前だ。

ちなみに双子である。

この世界では、15才…正確に言うと。16歳になる年齢で結婚する事ができる。

俺達はいや。俺が学校を出てすぐに結婚した。双子は、7歳になる。

そう言われると。確かに隠し子の可能性が。

……いやねぇよ。

俺がどれ程ミナの事を愛してると思うんだ。

等と頭で考えていると。

「もう二人共。わたくしより大きいですよ」

今にも死にそうな表情で言ってきた。

そう。先日ついに身長が抜かれたと。わーわー泣いていたな。それも1日ずっと。

俺がどんなに言葉をかけても泣き止まなかった。

本当に心が痛む。

ミナの背が低いのは、俺に原因があるからだ。

「そういう意味じゃない。はぁ」

ため息を一つ吐く。

「そんな事よりこの子を助けないとだな」

「そうですね。ギルドの医務室に連れていきましょう」

なんにせよ。うまく誤魔化せて良かった。

この男の顔をみたとき。

死んだはずの。

俺の姉の顔が浮かんだからだ。

そう‘’死んだ筈の姉の顔が‘’

別に良いだろと思われるが。

全く良くないんだ。

その理由はまたの機会に。

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