表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

第12話『悠月の意地』

亜音が修一と付き合う事になったのを聞き、驚愕する舞奈。

そこへ悠月がやって来て、亡き両親への献花に礼を言う。

舞奈は立ち上がり、『話があるんだけど…』と誘う。


覚悟を決めた舞奈。その結末とは─?


どうなる第12話!

「はあっ!?付き合うことになった!?」


翌日の昼休み。


舞奈は、昨日の出来事を聞いて、急に叫んだ。


「あはは。まあ、そーゆー事」


亜音は恥ずかしそうに頬を掻いた。


「だって、シュウったら2人の時『可愛い』って言うし、頭撫でてきたりするんだもん。好きになっちゃうじゃん、そんな事されたら」

「ホントにそう思っただけだ」

「もおっ」

「いてっ」


亜音は俺の背中をバシッと叩いた。


「何つーか、成り行きで付き合う形になったけど、正直実感が湧かねぇ。とりあえず、どうしたらいいんだ?」

「決まってるでしょ。アンタ、自分で言ったじゃない。『女はワガママでナンボだ。それに振り回されんのは、男の役目』って。とりあえず、亜音のワガママに付き合ってあげなさい」

「えぇ…」


突然、亜音が俺の腕にしがみついた。


「えいっ」

「うわっ!何だよ急に」

「だって〜、こうしたかったんだも〜ん。はぁ〜、至福」

「なんか…大胆になったわね、亜音」

「もう隠さなくていいんだも〜ん」

「…つーか、カップルってこんなスキンシップ激しいのか?」


俺はやれやれ、とため息をついた。


すると、舞奈が亜音に何やら囁いたかと思うと、亜音は俺の腕から離れた。


「どうした?もういいのか─」

「ほっ」


亜音は正面から、腕と脚を使ってしがみついてきた。


「どわっ!!」


危うく仰向けに倒れる直前に、片足で踏ん張った。


「うし、『だいしゅきホールド』成功」

「いや、なにお前がガッツポーズしてんだよ!てかコレ、亜音に吹き込みやがったな!」

「へへー」


舞奈はペロッと舌を出した。


「何イチャついてんだオメーら」


悠月が現れた。

亜音は俺の体からピョンと離れた。


「よぉ。昨日の事は、舞奈から聞いたぞ」

「…そっか。あのコスモスの花束、お前らか?」

「ああ」

「ありがとな。お袋が好きな花だったんだ」


悠月は微かに笑った。


「あっ、ねえユズ」

「なんだ?」

「話があるんだけど…」

「どうしたよ。2人の前じゃダメなのか?」

「…うん」


突如、俺はピンと来た。

亜音も察したようだ。


「さ、行くか亜音」

「そだね」

「おい、待てよオメーら」

「察せバカ。俺達がいねー方がいい話なんだよ」


俺と亜音は同時に駆け出した。


頑張れ、舞奈。




ホームルームが終わった。


「ねぇ、シュウ」

「どうした?」


亜音が俺の席にやって来た。


「あの2人、うまくいったかな」

「どうかな。あとはユズの気持ち次第だけど、アイツ変に意地張るからな」


そうだ。

最大の難点は、悠月が『日高組の若頭』という肩書きを気にしている事だった。


「舞奈には言ったけど、まだユズには言ってないんだよね」

「いや、一応先月『意地張るな』とは言ったんだけどな。ただ、煮え切らない態度のままで終わっちまった」

「うわ…可能性低そう。でも、2人が付き合えたらなぁ…」



亜音は俺の机の上で腕を組み、顎をのせた。


舞奈が悠月を来たのは30分後だった。

何やら不機嫌そうな顔だった。

悠月は頬を真っ赤に腫らし、ほうほうの体だった。


「お待たせ」

「「いや何があった!!」」


俺と亜音は同時にシャウトした。


「生徒指導室で延々と説教食らってたのよ。午後の授業も出ずにね」


舞奈が吐き捨てるように言った。


「私、勇気を出して告ったの。だけどコイツ、立場を言い訳にごねるから、つい武力行使しちゃった」

「『本当の事言うまでやめない』つって、何か言う度めっちゃビンタ食らったよ。しまいにゃ関節技まで掛けられて、それで先生からストップかかっちまった」

「ユズがさっさと言わないからよ」

「だからって卍固めまでするか?フツー」

「いや、ホント何やってんだオメーら…」


まさかそこまでの展開になるとは思わなかった。

さすがは武闘派ヲタク。


「でもまぁ、さすがにオレも折れちまったよ。舞奈がこの10年抱え続けてきた想いを前によ。やっぱ肩書きってのは、時に邪魔くせぇモンだわ」

「じゃあ…」

「ああ」


悠月はフッと笑みをこぼした。


























「オレも舞奈と付き合う事にしたよ。一人の男としてな」


























「やったーーーーー!!おめでとーーーーー!!」


亜音は2人に飛びつき、肩を組んだ。


「2人とも、良かったな」

「うん、ありがとう!シュウのお陰よ!」


ホントに良かった…。

俺は胸を撫で下ろした。


「誘拐事件に遭って以降、若頭って立場をずっと意識してたんだ。『泣き言ほざいてらんねぇ』とか、『若頭としてオレがしっかりしなきゃ』って思ってるうちに、舞奈への思いをズルズル引きずってたんだろうな」

「待たせすぎよ、ったく…」

「ホントに…おめでとう…」

「泣くなよ亜音」

「ほら、コレで拭いて」


亜音は、舞奈が差し出したハンカチに顔を埋めた。


「まあ、これでお互いカップル成立ってワケだ。とりあえず舞奈、溜まりに溜まったワガママ、いっぱい聞いてもらえ」

「アンタもせいぜい、亜音の尻に敷かれてなさい」

「上等だよ」


俺達は笑った。


ようやくわだかまりが解けた気がした。




「ん」


帰り道、亜音が手を差し出してきた。


「何だよ」

「手、繋いで」

「ああ」


亜音の手を握った。

俺より少し小さく、細い指だった。


「どお?」

「…可愛い」


俺は顔が赤くなるのを感じた。

亜音はからかうように、俺の顔を覗き込んだ。


「なあに?照れてんの?」

「照れてねーよ」

「耳まで真っ赤よ?」

「見るな」

「見ーせーて」


亜音は手を握ったまま、片手で俺の顔を自分に向けた。


バチッと目が合った。その瞬間、俺はドキッとした。


「コラ、目を逸らさない」

「…もうやめろよ」

「まったくもぉ…」


亜音はまた俺の胸ぐらを掴み、思いきり唇にキスした。


「なっ、おまっ、急にすんなよ!」

「ちゃんとこっちを見て。でないと、何度でもするわよ」

「恥ずかしいだろ─」

「あー、また目を逸らせた」


亜音はまたキスした。

今度はさっきより長く、熱烈だった。


「ぷはっ!いい加減にしろよ!」

「じゃあシュウからしてみせてよ、ほら」


亜音は挑発するように、唇を指でトントン叩く。


「お前…」


ヤケクソになった俺は、亜音の顎を上げて吸いつくようにキスした。


「んっ、んんん、んーーーーー!!?」


20秒ほどしたろうか、離れた俺達は、ハーハーと激しい息をした。


「こ…これで、おあいこだろ」


俺は腕で唇を隠しながら言った。


「ズリィんだよ…」

「シュウだって…今のは大胆すぎ」


俺達の顔は、夕焼けより真っ赤だった。




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ