1−腕輪拾いました
「なんだこれ? 腕輪?」
いつもどおり俺の通っている高校に向かうため通学路を歩いていたところ道の端に落ちていた腕輪を拾った。
「綺麗な腕輪だな。 ん〜、あんまり汚れてもいないみたいだしだれかの落し物?かな。」
綺麗な腕輪だったので、ちょっとだけ腕に着けてみたくなってきた。
「別にちょっとぐらい着けてみても大丈夫だよな。」
直ぐに外せば別に分からないだろうしと思いつつ右腕に腕輪を通してみる。
「お〜結構良い感じかもw ブカブカかなと思ってたけど通したらピッタシに縮んだし。」
あれ?縮んだ?!
「えっ! ちょっ! 外れない!!」
慌てて外そうとするが手が邪魔になって腕から外すことが出来なくなっていた。
「えっ? 腕輪が光って……って今度はなんだ!!」
突然腕輪が光りだしたと思っていたらこんどは30cm前後の人が腕輪の上に現れた。
「マスター登録をおこないます。 あなたの名前を教えてください。」
「マスター登録?」
「あなたの名前を教えてください。」
「えぇっと、名前を言えばいいのか? 俺は、『杉谷雲母』だ。」
「杉谷雲母、登録しました。 次に私の名前を決めてください。」
「君の名前?」
「はい。 今の私には名前がありません。名前はマスターが決めることになっていますので名前を要求します。」
「いきなり名前を決めてくれと言われてもな……。」
俺に名前を決めろと言われても、俺は今まで名づけ等をさせてもらったことが無い。周りの連中が言うにはセンスが無さ過ぎて着けられたペットや生き物が可哀相すぎるそうだ。
(別に、黒い猫にブラックキャットってつけたっていいじゃないかカッコイイし。)
「マスター、私の名前をきめてください。」
「ああ、悪い、ん〜〜…………『マナ』でどうだ」
苦し紛れに最近はまっていたゲームのヒロインの名前を出してみた。
「マナ………、登録しました。 マスター登録を完了します。」
「うぉっ!!」
腕輪からの光が体全体を包み込んできて、あまりの眩しさに俺は目を瞑った。
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「マスター、おおーいマスター? いい加減目を開けるのなの。」
「んっ。」
さっきから耳元で騒いでる女の子の声がうるさくて目を開けることにした。
「マスター大丈夫なの? どこもおかしいところとかないなの?」
「おまえ……、マナか?」
「マナなの、マスター頭おかしくなったのなの?」
「いやなぁ、マナの口調と雰囲気がさっきまでと違いすぎるし。」
「これが素の私なのなの、さっきまでは意識が覚醒しきっていなかっただけなの。それよりマスター体の方どこもおかしいところ無いなの?」
「おかしいところなんて………ん?」
あれ?やけに俺の声が高くないか?
「初めてだったからうまくいくか分からなかったけどなの。」
それになんだか周りが大きく見えるし、
「ちょっと失敗して胸と身長が小さくなっちゃったけどなの。」
胸という言葉に下を見ると見覚えの無い小さな山が二つ、
「でも、かなり可愛く出来て大満足なの♪ ちょっとこれでマスターも見てみるのなの♪」
そのマナの言葉にマナの方を向いてみるとそこには姿見の鏡が正面にいつの間にかあり本来なら俺が映っているべきその鏡の中には……。
「女の子?」
見たことの無い可愛い女の子が映っていました。




