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5 ハーフリンク1

目を覚ますと一面の白い空が見えた。

・・・此処が天国か・・・

って、違う!

サトルはがばっと状態を起こす。


「主さま~~~~~」

間髪入れずココロが胸に飛び込んできた。

ヒックヒックと泣いている。


サトルは優しく頭を撫でながら様子を伺うと、ココロの頬には先ほど銃床で撃たれた腫れは無くなっていた。

ほっと胸を撫でおろす。


「やあ、戻って来たね。よく粘ったね~。感心関心」

いつの間にか、目の前にはちょび髭が姿を現していた。


「それにしても1回目で1945年迄生き延びるとは思わなかったよ。まあ逃げていただけだけどね」

サトルの視線がナビに突き刺さる。

視線に物理攻撃力があるならば、きっと突き抜けて、ナビの体をハチの巣にしていた事だろう。


「だましたな!?」

「そんな、騙したなんて人聞きが悪い。僕は真実のみを伝えているはずだよ」

「プリコレの世界を救うのじゃないのか?」

「僕は一番長くプレイしたゲームで争いの無い平和な世界をお願いしたと思うけど。」

「ココロが案内役に付いて、皇帝を倒し平和な世界を取り戻すと言えばプリコレだと思うだろ!」

「サトルがプリコネの世界へ行きたいというならそれを褒賞にすることも出来るよ」

「別にプリコレの世界に行きたい訳じゃない!」


ヒクッヒクッと泣いてサトルに抱き着いていたココロの体がピクッと震える。

サトルは慌ててココロを抱きしめる手に力を入れる。

「プリコレの世界に行きたい訳じゃない訳も無い!!」


ナビが肩を落としヤレヤレという仕草をする。

「では褒賞はプリコレの世界での冒険という事で、世界征服いってみよーーーー!」


「一寸まてーーーーーーーーーーー」

突然襲う浮遊感の後の急速な落下。サトルの叫びはドップラー効果を伴って消えていく。

一回目と違う所はココロがサトルに抱き着き共に落下しているところか。

まあ、これも良いかとサトルは目の前に放映されているムッソリーニの記録を再度見るのだった。


・・・・・・・・・・・・


1936年1月1日、サトルは再度この地へ降り立った。場所は前回と同じくイタリア帝国宰相府公邸大会議室。

目の前にあるのは会議用の大きな長机。

しかし決定的に前回と違う。机の天板の位置がやたらと低い。足の長さが40センチも無いのではなかろうか。それは幼稚園にでもあるような子供用のものだった。横に並べられた椅子も子供用の小さいもの。

そして、その椅子に座る者も幼稚園児並みの子供達だった。


会議?

そんなものはしていない。

彼らは机の上に置かれた皿にあるお菓子の奪い合いを必死に行っていた。


あ、子供が一人輪からはじき出された。

後ろ向きにコロコロと転がり何処かをぶつけたのか泣き出した。

横に立っていたココロが子供に駆け寄り頭を撫でながらあやしだした。


これは、如何いう状況?

サトルは暫し子供達を見守る事しか出来なかった。


子供たちの人数は12人。7人がイタリア陸軍、5人が海軍の軍服を着ている。

あーーーー、何となく解ってきました。彼らの正体が。

彼らは、イタリア軍初期配置の元帥と将軍、それに提督だ。

鋼鉄の心4では、最初文官は居ない。毎日貯まる政治力を使い雇っていく必要がある。

其れは協賛企業や理論家、参謀に最高司令部も同じ。

内政に関する基本的な事柄はシステムのサポートが有り自動で対処してくれているのだろう、多分。

それにしても、如何してこうなった?


茫然?唖然?としてサトルがちみっこたちを睥睨していると、ココロが先ほど輪からはじき出され泣いていた子供を抱きかかえて戻ってきた。

「主様、ナビ様より主様へ渡すよう申し付かった物が御座います」

ココロは片手で子供を抱きかかえながら、もう一方の手で手作りのポシェットから黒いスマホを取り出す。


「この黒い板は何で御座いましょう?」

サトルにはお馴染みのスマホだが、知らない人から見れば使途不明のオーパーツなのかも知れない。

サトルが電源ボタンを押すと、光が灯った画面に驚いていた。

驚いた顔のココロも、とても可愛いです。


当然の事ながら圏外。この時代じゃアンテナなんて建ってないしね。仮に県内だったとしても掛ける先が無い。

画面にはアイコンが一つのみ。チョビ髭を付けたナビがウインクをしている。

あーーーーーーーー電源を切って、海に沈めたい。


仕方なしにサトルはチョビ髭をクリックする。

「やあ!さっき振りだね、元気にしているかい。」

「チョビじゃなくてナビ、これは如何いう事だ!」

「これは録画だから質問には答えられないよ、ゴメンね。テヘペロ!」

はったおしてやりたい、サトルの偽らざる気持ちだった。


「1回目の攻略?状況を見てサトルのナイーブなハートでは、内臓ドバーのスプラッタは耐えられないと思ったんだ。鋼鉄の心なのにね、情けないね(笑)」

「うるせーー!」

「それで世界を少し変更した訳さ。目の前にいる彼らはハーフリンク。妖精族の小人さん達だ。彼らに協力をお願いして、サトルでも戦争を行えるようにしたわけよ。

彼らは死なない。一定以上のダメージを受けると妖精界へ強制送還となるだけ。だから遠慮なく戦争をドバドバ行っちゃって。

それと、空爆や後半の方には原爆なんかも使えるようになるけど、それもゲーム仕様と同じで、一般市民には全く被害の出ないクリーンな物だから気にせず使えるよ。インフラや工場に被害は出るけど、その世界の住民はそこのところあまり気にして無いみたいだからね。

其れと、最後に大切なこ・・・・・ザザザザッザ・・・・・プツ」


中途半端に映像が途絶えた。

再度確認しようにもアイコンも消えている。如何やら一回こっきりのものだったらしい。

ナビに連絡をしようにも電話番号の登録も無し、というか圏外だった!


「つかえねーーーーー!」

最後に大切な・・・・なに!?


サトルは未だ興味深そうに見つめているココロにスマホを渡す。

「不思議な魔道具ですね」

ココロは興味深々だ、手に持ち横から後ろからをシゲシゲと眺めている。


「あ!主様、もう一つナビ様より渡されていた物がありました。」

ココロはスマホをポシェットに仕舞うと、そのまま一冊の本を取り出した。表紙には見慣れない文字が書かれている。

それにしてもスマホは未だ良いとしても本は明らかにポッシェットより大きい。そのポシェット中身どうなっている?


サトルは渡された本をパラパラとめくってみるが中身は白紙だった。表紙の文字も読めない。

何だこれ?

「何て書いてあるんだろう?」

「マニュアルと書いてあります」

「読めるの?」

「はい。古代エルフ文字です。エルフの族長の家に代々伝わる文字で、私もババ様に教わりました」

「そうなんだ、マニュアルか。・・・でもマニュアルって言っても中身白紙だし、ナビ何考えているのかわかんねー!この状況を如何しろと、せめて地図くらい表示しろって」


本を開きパラパラとめくっていたココロ

「地図ですか?」

ココロの言葉に合わせて、白紙に文字が浮かびだす。

「主様、文字が、文字が現れました!」

「え?」

サトルはココロの肩越しに本を覗き込む。其処に書かれていた文字はやはりサトルには読めないものだった。

「何て書いてあるの?」

「えーとですね、先ほどのスマホ?ですか、あれに地図を表示することができるそうです。さらにスマホから壁にむって映像を投影することもできるとか」

「なんだって、ココロさんお願いします」

「はい、やってみます」


鋼鉄の心4に於いて地図は必須だ。世界情勢から部隊運用までこの地図を中心に行う事になる。

全ての敵の部隊が確認できるわけではないが、自国や同盟国の部隊とその部隊から近隣の敵部隊が確認できる。

情報戦を制したものが世界を制す。ローマに居ながら世界を俯瞰できうるのはこの世界で生き抜いていくうえで大きなアドバンテージとなる。

ま、それは敵国も同じなのだが。


ココロはスマホを取り出すと、本を読みながら呪文を唱えた。

するとスマホにGマップアイコンが表示された。

Gマップアイコンをタップし、壁にスマホを向けると、壁一面に世界地図が表示されるのだった。

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