第5話 対抗戦に向けて
食事は特待生には少し豪華なものが出る事もあり、特待生の階のサロンで食べる事になる。
サロンにいくとミネルヴァ先生がいて、ここで改めて、自己紹介する事になった。
「さぁ、これから一緒にやっていく特待生同士、まずは自己紹介しましょう」
「私はこの学園の先生でミネルヴァよ、よく覚えておきなさい。
はい、まずは、そっちのシルヴィアからどうぞ」
「私はハイランド国のシルヴィアよ。剣士をしてるわ ランクはBよ」
「私もハイランド国のシーラです。僧侶ですのでお見知りおきを 同じくランクはBです」
「わ、わたしはティカ・・・一応戦士です。ランクはEです」
「俺はマックス。アーチャーです。ランクはEです」
「僕はアレス。騎士です。ランクはAです」
「俺はアベル。同じく騎士です。ランクはB」
「私はバーバラよ。魔道士でランクはBよ」
「私はジャンヌ。僧侶ですのでよろしくお願いします
ランクはBです」
俺達だけランクEか、まぁ別にいいけどなんか形見狭いな
というか、なんで特待生になれたんだ?
魔力検査は普通に抑えたし、戦闘は後衛に徹し手を抜いたはずなんだが・・・
バーバラが俺を見ながら、ミネルヴァ先生に聞いた。
「今回の特待生は魔力が高い人、ランクが高く戦闘力が高い人ばかりなんですよね?」
「さぁ? どうかしらね」
「え?」
「今回はレジェンドアイテム持ちとそのパーティーが選ばれただけよ
くれぐれも自分の実力が認められたとか、勘違いしないでね」
「そんな理由だったの?」
なるほど、それで俺も特待生に選ばれたのか、この弓のおかげって事か
確かアルテミスの弓って先生が呼んでいたな。
「そもそも聖剣とか持っている時点で勇者候補でしょ?
特待生になるのは当然じゃない」
「それは、そうですね」
「それとね、ここにいる間は特別な事ないかぎりは支給される武器防具しか使用できないので覚えておいてね
もうじき始まる新入生の対抗戦でも武器防具は支給されたものだけよ」
対抗戦だと?
「対抗戦?」
「ええ、ソロで挑んでもいいし、パーティーで戦ってもいいわ
ただ、ソロだと圧倒的に不利よ
マックスはどうするの?」
皆が俺を注目した。
ソロだと、最悪複数人のパーティーと戦うからか。
でも、別に勝敗なんてどうでもいいからソロでも問題ないんだけどな
「ちなみに、負けてもいいなんて考えているマックス君に一つアドバイスよ」
なんでわかった・・・・
「1回戦負けなんてしたら特待生ではなくなるわよ。
でも、上位3位以内に入ると賞金がたくさんでるぞ
ここでは食事の面倒は見るが、それ以外の服やアクセサリー、ダンジョン等で使用する武器防具は自分で買わなければならない。
学園内の授業は支給された武器防具だが、ダンジョンなどは危険なので自前の武器を使う事になる。
もっともお前たちは既にレジェンダリーウエポン等持っているから必要ないかもしれないがな」
「特待生でいたいから、がんばります」
「うむ、そのいきだ期待してるぞ」
話も終わったので俺は部屋に戻った。
「ふぅ、いろいろあって疲れたなぁ」
「そうだね、対抗戦がんばろうね!」
「ああ、3位以内には・・・
え?
なんでここにいるの?」
いつのまにか、ティカが俺の部屋でくつろいでた
「なんでって・・・あれ?
あ、ごめんなさい!!」
そう言って、急いで出て行った。
シルヴィアの部屋では
「ごめーん!
部屋まちがえちゃった!」
「ティカさん、あなた女の子ですから気をつけてくださいね」
「ごめん、シーラ」
「それより、対抗戦で1位とるわよ!」
「シルヴィア、あのアレス達はおそらく4人パーティー
勝てるかどうか難しいわよ」
ティカはうつむいて考えたあと思い切って言ってみた
「ねぇ、向かいにいるお兄ちゃんをパーティーにいれない?
弓なら遠距離攻撃の手段がないうちらに必要だと思うんだ!」
「フフッ、ティカはお兄ちゃんと一緒にいたいだけでしょ?」
「シルヴィア! ち、ちがうよ。私はただ・・・
その、相手が4人だしこっちも4人ならちょうどいいかなと・・・」
「でも、ティカさんがそこまで言うのなら、ためしに入れてみてもいいかもね」
「でしょー!!! ね、ね、いいでしょ?」
「まぁ、悪い人ではないでしょうしいいかもしれないわね」
「シーラの鑑定のお墨付きならいいかもね
でも、とりあえず対抗戦の時だけの限定よ!」
こちらはアレス達の部屋
アレスが対抗戦について皆に話していた
「今回要注意すべきは、まずあのシルヴィア達のパーティーだね」
パーティーの頭脳であるバーバラがそれに答える
「そうね、ただ相手は3人で、魔法使いがいないから遠距離では有利になるわね
あのマックスって人があのパーティーに入ると、多少は変わるでしょうけど、
弓ではね・・・」
アベルが少し笑いながら言った
「でも、あの3人の美女のパーティーはいいなぁ
俺も入りたいぐらいだよ」
バーバラと、ジャンヌが青筋を立てながら怒った
「じゃあさっさとここ出て行って入ってこい!」
「私達は美女ではないと?
ほぉ、そうですか
ならあっちのパーティーへいってらっしゃい」
「じょ、冗談だよ
いやだなぁ、バーバラもジャンヌも美女だよ!
いや美女以上だよ」
「お世辞はいいわ、あなたのかわりにあのマックスさんを入れるから問題ないわ」
「あら、バーバラも気になって?」
「ええ、なんといってもダンジョンでの試験の時、マルス先生直々にテストしていた人ですからね。
気になって様子を見ていたんだけど、
そうだ、ちょっと見てみる?」
「ええ、お願い」
「面白そうだな」
アレスも興味あるらしく寄ってきた。
バーバラは、水晶玉にその時の様子を映し出して見せた。
しばらくして、映像は終わり、アレスとバーバラは深刻な顔をしたままだった。
アベルは楽観的に言った
「弓がうまいだけのやつじゃないか?
とくに威力がずば抜けているわけでもないみたいだしな」
ジャンヌは別の意見を言った
「でも正確な射撃ね。混戦でも正確に敵を射抜いているわ。
パーティーに入れてもいいんじゃないかしら?」
バーバラはそんな2人の意見に
「それだけ? アレスはさすがに気づいたようね」
アレスは冷や汗を垂らしながら言った
「ああ、彼は敵に回すとやっかいだ
あの正確な矢だが、どれもタイミングが良すぎる
まさにここぞという時に矢を射ている
そして正確なアドバイス
状況判断も正確な証だ」
「それだけなら、なんとでもなるんじゃないのか?」
「いや、例えば威力のある剣技を放とうとすると、それをかならず妨害される
魔法詠唱も、おそらく詠唱した途端に矢が飛んでくるだろう
つまり、剣技も魔法も封じられて戦うしかなくなるかもしれないってことさ」
「そんな、神業みたいな事できるなんて聞いた事ないぞ」
「だからこそ、マルス先生が直接見たんだろう
多少力量の下のパーティーでも、彼がいるだけで上位のパーティーに勝てるという事
さ。彼が現在ソロなのも、おそらく彼に釣り合うパーティーが居なかっただけかもしれない」
ジャンヌは、映像を再度見ながら疑問を口にした
「でも、それってあの弓のおかげじゃないかしら?」
アレスも納得したように
「たしかにそれもあるかも」と言った。
「対抗戦ではあの弓は使えないから、脅威にはならないんじゃないかしら?」
ジャンヌの言葉に、皆納得した。
というより納得しようとした。
もし、普通の弓であれができるなら、異常だ。