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第2話 別れと旅立ち


 俺、ナオさん、そしてティカの家族生活は、貧しくみすぼらしい家ながらも幸せな日々が続いていた。

 しかし、魔物が多く魔王ですら存在し俺達の生まれる前には大規模な魔王軍との戦争もあったらしく勇者と言われた王を始め多くの成人男性が亡くなった事情もあり、俺はティカにも武術を教える事にした。

 おもに太極拳という格闘技を教えた。これは相手の攻撃を受け流す事に長けた体術で、気功という魔力に似たものの使い方も教えた。身体能力を高めるだけでなく、打撃や魔法等を気功によってダメージを減らせる便利なものだ。

 ティカは見た目こそアレだが、獣人でもあるため身体能力が高く、蟷螂拳まで教え、手にダガーを持った蟷螂拳の技は凄かった。

 15歳になると成人扱いとなるため仕事をする事になる。

 俺とティカは冒険者になる事にし、ギルドで登録した。

 最初は最低ランクのEからだ。

 俺達は薬草採取や冒険者の荷物持ちをしながら日々の糧を得ていた。

 ある日、いつものように夜遅くまでナオさんが帰ってくるのを待ったが、帰ってきたナオさんは様子がおかしかった。

実態がないように、体が透き通って見えたからだ。


「あ、お母さん!」

「ナオさん、もしかして・・・」

「マックス、ティカの事頼むわ・・・・」

「まって、なにがあったの?」


しかし、ナオさんは首を振った


「それはいいわ、もう楽にさせて・・・ティカもあなたがいれば大丈夫

ティカを、たのむわね。

そして、ティカ、わたしのかわいい娘・・・・

早くにいってしまうお母さんを許してね・・・

 お兄ちゃんと一緒なら、あなたは幸せになれるわ・・・」

「お母さん、どこかいくの?」

「ええ、遠いところにいくの、そこには今はティカを一緒につれていけないの

だから、お兄ちゃんと仲良く暮らしてね・・・」

「やだ! お母さんも一緒がいい!」

「・・・ごめんなさい・・・・」 

ナオさんはそう言うと、透明になって消えていった・・・

「お母さん!いっちゃやだー!」

 俺はティカを抱きしめて

「ティカ、お母さんを行かせてあげて・・・」

「うう・・やだー!」

「ティカ・・・」


その直後、後ろで何かが落ちる音がした。

俺は振り返ると、ナオさんのバッグが落ちていた。

(あれはナオさんいつも持っていたバッグでは?なぜそこに?)

俺はバッグを開けて中を確認すると、化粧品とお金、そして何か入っていそうなケースが見つかった。

そのケースの中には手紙が入っていた。

(差出人は・・・マリー・・俺の母さん!?)

 俺は手紙を読んでみると、

 貴族の犠牲になって娼婦になるしかなかった子達がこれ以上増えないために、貴族の中でも力のあるドラス伯爵に抗議した事で、自分は目をつけられ狙われている事。

そのために、自分に何かあった場合は俺を頼むとあった。

最後に、

いつの日にか彼女達の恨みが晴らされんことを、わが息子マックスに希望があらん事を・・・

そう書いてあった。


「母さん・・・・」

俺は最後の文章を読んで、涙が溢れてしまった。


そんな時、玄関から男が3人が入ってきた。

「ここにあの女の娘がいたはずだ?」

「ナオさんを殺したのはお前たちか?」

「あの隅っこにいる獣人がそうか

しかし、なんだあれは?

みすぼらしい上に病気持ちで気味が悪い」

「外れか、こいつらぶっ殺してさっさといこうぜ」

「そうだな、しかし、あの娼婦の娘ってあれか? 俺期待してきたのに、なんだあの病気持ちの醜い化物みたいな奴は!?

 触ったら病気うつるんじゃないか?」

「さっさと殺せばいいだろ、あれじゃあ売り物にもならんし、襲う気もおこらん」

「そうだな。じゃ、おまえら死ね」

そう言って、そいつはティカに向かって剣を突き刺そうとした。


ティカはショックでまだ動けないようだ

 ティカまで殺される・・・やめろ・・

「やめろー!!!」


俺は瞬時にティカを刺そうとした男のとこに突進し体当たりをしたので、男はふっとび壁に激突した。

他の男2名が俺に剣を向けて斬りかかってきた。

俺は壁に激突した男が手放した剣に手を向け、まるで見えない力によって引き寄せられるように剣を引き寄せ手にし、迫ってくる2人を見た。


敵は2名だが、わずかに右の男の方が早い、ならまず右から・・・


俺は右の男が剣を振り上げた瞬間、剣で素早く突き刺し、その男をもう一人の男の方に蹴飛ばしてぶつけた。

もう一人の男もそれにより体制を崩し、2人重なって倒れたため、俺は上から2人とも剣で刺し止めをさした。

さっきの壁に激突した男が、2人が殺されたのを見て逃げ出したので、俺は持っていた剣を回転を付けて投げた。

剣は高速に回転しながら、逃げていく男の体を真っ二つにして飛んでいった。


そこへ都合良く衛兵3名がやって来た。

「おとなしくしろ!この人殺しめ!」

「待ってくれ、襲ってきたのはそいつらだぞ?」

「スラムのガキはすぐ嘘をつく!」

「金目当てに襲ったのだろう!」

「あっちで娼婦が殺されてたが、話のあった武器はアレだな?

 その娼婦もおまえが殺したのだろ。そのバッグとあの武器が証拠だ」

「まってお兄ちゃんは違うわ。それに殺されたのは私達のお母さんなのよ!」

「なんだこの醜い獣人のガキは!

 病気がうつる!こっちにくるな!」

 そういって衛兵はティカを蹴飛ばした。

「やめろー!」

 俺はその衛兵を突き飛ばし、ティカをかばった

「抵抗したなぁ!

 殺人罪で逮捕しろ!」

「その獣はどうする?」

「触るのも汚らわしい、殺せ」

「ティカ掴まれ!逃げるぞ」

「逃がすかよ!」

 俺はティカの手を掴んで町の外へテレポートした。


もうここには入れないと考えた俺は、この町を出て獣人でも差別されることなく受け入れてくれる町か村へいこうと思った。

 幸いにも、ここから少し行った森の中にエルフや獣人が住む村があり、精霊の森と呼ばれ、そこにいる人たちは精霊の民と呼ばれているらしい。


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