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汚隣の後輩ちゃん  作者: ブリル・バーナード
第一章 一学期と後輩ちゃん
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第75話 一学期の終わりと後輩ちゃん

 

「一学期の終わりにカンパーイ!」


「カンパーイ!」



 カンッと二つのコップがぶつかる音がする。コップの中身は気泡が浮かんだシュワシュワした液体。お酒ではありません。炭酸飲料です。


 今日で一学期が終わった。ジュースとケーキでお祝いです。


 長いようであっという間だった。去年はこんな気持ちにならなかったんだけどな。後輩ちゃんがいてくれたおかげか。


 留年してよかった。ありがとう後輩ちゃん。



「どういたしまして!」


「………………後輩ちゃん? ナチュラルに心の中を読まないで」


「わかりやすい先輩が悪いです」



 ふふふっと悪戯っぽく笑った後輩ちゃんが口を開いておねだりする。俺はケーキを後輩ちゃんにあ~んした。


 何故かケーキを食べるときはあ~んすることがお決まりになっているのだ。後輩ちゃんと一緒に食べるケーキはとても美味しい。



「んぅ~! 美味しいです!」


「それは良かった」


「でも、先輩の手作りケーキのほうが美味しいですね。先輩の愛という麻薬が入っているからでしょうか?」


「俺の愛は麻薬なのか? もっと別な言葉で表現してくれ」



 う~ん、と後輩ちゃんが可愛らしく考え込む。考え込む後輩ちゃんも可愛い。



「……………では、媚薬で」


「……」



 この回答は予想できなかった。


 俺の料理には媚薬が入っているのかぁ。なるほどなぁ。だから後輩ちゃんは積極的なのかなぁ。


 愛は入れても決して媚薬は入れていませんからね!


 俺が無言でスルーしたのが気に入らなかったらしい。後輩ちゃんが抗議してきた。



「ちょっと先輩! 勢いよく私に突っ込んでくださいよ!」



 これはどっちの意味だ? ただのツッコミのことなのか? それともエロいことを言って俺を揶揄っているのか?


 う~ん、わからん。こういう時は素直に聞いてみよう。



「それってツッコミのことか? それとも別の意味で俺を揶揄ってる?」



 後輩ちゃんがキョトンとした。大きな黒い瞳が綺麗だ。



「別の意味で揶揄う? それってどういう意味ですか? ツッコミの意味以外何かありましたっけ? 勢いよく私に突っ込む………………私に……突っ込む……勢いよく……先輩の…っ!?」



 あ~、全く意図していなかったのか。後輩ちゃんの顔が苺みたいに真っ赤になった。恥ずかしそうに両手で顔を隠す。


 でも、真っ赤な耳と首筋が隠れていない。後輩ちゃんは不意打ちに弱いからなぁ。


 顔を隠したまま後輩ちゃんがボソッと呟いた。



「……………忘れてください」


「無理です。後輩ちゃんは可愛いなぁ」


「っ!? 私を見ないで下さぁ~い!」



 恥ずかしがる後輩ちゃんを見なくていつ見るんだ! 俺はガン見するぞ!


 俺の視線に気づいたのか、後輩ちゃんは体育座りになって顔を隠してしまう。


 残念。後輩ちゃんの可愛い顔を見たかったのに。


 そうだ! この手がある!



「後輩ちゃん。ケーキ食べたいんだけど、あ~んしてくれない?」


「…しません」


「じゃあ、後輩ちゃんにもあ~んしない」



 後輩ちゃんの身体がビクンと揺れた。俺には後輩ちゃんの心の中がよくわかる。


 今、彼女の心の中で後輩ちゃん天使と後輩ちゃん悪魔が闘っているに違いない。


 ふむ、天使の後輩ちゃんと悪魔の後輩ちゃんか。悪くない。


 俺がコスプレした後輩ちゃんを想像していたら、プルプル震えながらゆっくりと顔を上げた。そして、キッと睨みつけられる。



「いいでしょう! 何だってやってやりますよ! 先輩にケーキを突っ込んでやります! 先輩もケーキでもナニでも私に突っ込めばいいんです!」


「後輩ちゃんが怒った。それにナニって…」


「自棄になったんです! このヘタレ! ヘタレ先輩!」



 後輩ちゃんがフォークでケーキを掬って俺の口に勢いよく突っ込んでくる。


 明らかに一口サイズではない。そして、フォークだから口の中に突き刺さりそうだ。幸い、フォークが刺さることなく、口の周りをクリームで汚しながら食べることができた。


 うん、美味しい。やっぱり後輩ちゃんにあ~んされるとより一層美味しいな。


 ケーキを飲み込み、口の周りをティッシュで拭こうとしたら後輩ちゃんに止められる。そして、ティッシュを奪い取られた。


 後輩ちゃんが拭いてくれるのかなぁと思いきや、いきなり後輩ちゃんにキスされた。そしてペロペロと舐められる。


 俺は呆然としたまま固まった。その間にもペロペロチュッチュされる。


 もう綺麗になったのだろう。後輩ちゃんの顔が離れた。艶やかに唇をチロリと舐めた。



「うふふ。美味しかったですよ、せ~んぱい♡」


「こ、後輩ちゃん、なにを!?」



 俺の口の周りはクリームじゃなくて後輩ちゃんの唾液でべとべとだ。



「私だって成長しているのです! さっき先輩にあ~んされて媚薬の効果が出てきました。ものすっごくムラムラしてます! 欲求不満です! 誠に勝手ながら欲求を解消させていただきます!」


「ちょっと待って! 俺が作ったケーキじゃないぞ! そもそも媚薬なんか入れてないから! ズボンを脱がそうとしないで!」


「良いじゃないですか! 先日は美緒ちゃん先生に邪魔されたので先輩に何もしてないのです。まあ、私の性欲は満たされましたが。でも、知的好奇心は満たされていません! 先輩に私の裸を見せることは気絶しちゃうのでまだできませんが、私が先輩の裸を見ることはオーケーなのです! 今日は美緒ちゃん先生が飲み会なので今しかないのです! さあ、先輩脱いで脱いで!」



 後輩ちゃんが飛び掛かってきて無理やり脱がそうとしてくる。服が破れそうだ。



「まだケーキが食べ終わってないし!」


「そんなのどうでもいいです! 今日はショートケーキなので汚してもわかりません!」


「せ、せめてお風呂に…」


「なるほど! 一理ありますね…」



 ほっ、と気が緩んでしまった。これなら時間が稼げるかもしれないと思ってしまった。


 俺の隙を見つけた後輩ちゃんの目がキラリと光って、油断していた俺のズボンを一気に引きずり下ろした。



「でも、私は気にしません! 問答無用!」


「うわぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!」



 俺の叫び声が部屋に響き渡った。


 しばらくして、肌を艶々させた後輩ちゃんと、げっそりやせ細った俺が、残ったケーキをあ~んして食べていたとさ。


 めでたしめでたし?


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