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汚隣の後輩ちゃん  作者: ブリル・バーナード
第一章 一学期と後輩ちゃん
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第7話 追及される俺と後輩ちゃん

ごめんなさい!

お昼に投稿するの忘れていました!

 

 夜。就寝時間が後三十分になった頃、俺たちは少ない自由時間を謳歌していた。


 俺は敷かれた布団に横になってボーっとしている。


 クラスの男子全員と雑魚寝だ。これはこれで楽しい。



「せんぱい。宅島颯先輩」



 クラスの男子から呼ばれた。何故か男子全員が俺を包囲している。


 じりじりと近づいてきた。完全に包囲されて俺は逃げられなくなった。



「んっ? なんだ?」


「先輩に聞きたいことがあります」



 男子たちは真剣な顔で俺に質問してくる。


 何となくわかった。絶対後輩ちゃんに関することだ。



「何でもいいぞ。ついでに敬語じゃなくていいから。俺は留年した馬鹿だし、気にするな」



 男子たちが顔を見合わせ頷き合う。



「ゴホン! では、失礼して…颯、山田さんと付き合っているのか?」



 やはり後輩ちゃんに関することだった。この質問の答えは決まっている。



「俺と後輩ちゃんは付き合っていないぞ」


「本当か?」


「本当だ」



 男子たちが一斉に歓声を上げる。

 なぜだ。なぜこの質問だけでこんなに盛り上がれるのだろうか。



「でもでも! 宅島は山田さんと仲が良いだろ?」



 別の男子が質問してきた。



「そりゃあな。後輩ちゃんは中学の後輩だし、俺の妹と仲が良いからな。時々家に遊びに来てたし。それで少し仲良くなったぞ」



 男子たちから羨ましいという声が漏れる。



「妹?」


「あっ妹はウチの高校じゃないから」


「なるほど。でも仲良すぎじゃないか?」


「同じ中学の知り合いがほとんどいないらしいからな。ちょっと人見知りの後輩ちゃんは必然的に知り合いと喋るだろ?」


「それで宅島ってわけか」



 男子たちが、納得した、という風に深く頷いている。


 まあ、後輩ちゃんは人見知りじゃなくて男性が苦手なだけだが。なぜか俺は例外らしい。



「颯は山田ちゃんのことをどう思っているんだ? ………好きなのか?」



 男子たちがシーンとなり、全員が俺を固唾を飲んで俺を見ている。



「そりゃ好きだぞ。妹みたいだよな、後輩ちゃんって」



 男子たちが一斉に安堵の息を吐く。なんだ妹か、という声がちらほらと聞こえてきた。


 でも男子諸君。俺が本当のことを言うわけがないだろう?


  俺は後輩ちゃんが大好きだ。超大好き。超々大好き。でも、絶対に言うつもりはない。



「じゃあ、俺たちが告ってもいいわけだな」


「それは好きにしたら? ただ、後輩ちゃんは積極的過ぎるのは嫌いみたいだぞ。告白される側も大変らしいから」



 男子たちが悩み始める。俺は告白する、と自信げな者、やっぱり止めよう、と諦める者。


 見ていて楽しい。


 誰かがボソッと呟いた。



「……まず、話しかけにくいよなぁ。あまりにも可愛すぎて」



 男子全員が、うんうん、と頷いた。


 確かに後輩ちゃんは可愛すぎて話しかけにくい。俺も最初は緊張した。


 何故か後輩ちゃんから積極的に話しかけてきたけど。



「まあ頑張れ、恋する青少年諸君!」


「自分は喋れるからって調子に乗るな! 羨ましいぞこの野郎!」



 俺に枕を投げつけてきた。俺も咄嗟に反撃する。


 それをきっかけにあちこちから枕が飛び交う。


 こうして、俺たち男子は枕投げ大会が行われた。











 ドタバタと上の階から暴れる音がする。確か上は男子が使っていたはず。


 何をしているのかな? 先輩大丈夫かな?


 私が考え事をしていると、友達が話しかけてきた。



「ねえ! 葉月ちゃんと宅島先輩って付き合ってるの?」



 私にキラキラをした視線が向けられる。私は女子全員に捕まって尋問されている。


 私と先輩かぁ。何にもないんだけどね、今のところ。



「付き合ってないよ」


「またまたぁ~! 嘘つかなくていいから!」



 いや、本当に付き合ってないんだけど。



「付き合ってないよ。先輩は私の親友のお兄さんなだけ。まあ、高校生になって知り合いが少なかったからね。それで少しお喋り相手になってもらってたの。私、意外と人見知りだから」



 女子たちは私の説明に納得していない様子だ。


 まあ、逆の立場だったら私も信じないかな。明らかに付き合ってる雰囲気出してるから。


 そうでもしないと私が告白されまくって面倒くさいからね。



「それに、先輩と仲良くしてると男子からの告白も少なくなるかなって。私、中学の頃それで不登校になりかけたから。一時期男性恐怖症にもなったし」



 少し嫌みに取られるかもしれないけど、これは本当のことだ。


 男嫌いの私は一時期不登校になりかけた。助けてくれたのは楓ちゃんと楓ちゃんのお兄さんである先輩。あの頃は二人のおかげで本当に助かった。



「そうなの? だから宅島先輩と喋ってるの?」


「まあね」


「でも葉月ちゃんは彼のことが好きなんでしょう?」


「う~ん……秘密かな?」



 私は悪戯っぽく微笑むと他の女子たちが騒ぎ始める。


 私は一切好きなんて言っていない。でも、彼女たちはそれで伝わるだろう。


 まあ、言わないだけであって、私は先輩のこと大好きだけど。超大好きだけど。超々大好きだけど!


 それは絶対に言わない。



「そういえば、昨日食堂で一緒にお弁当食べてなかった?」


「食べてたね」


「おかずを貰ったって聞いたけど」


「卵焼き貰った。先輩って物凄く料理が上手なんだよ。あの卵焼きは絶品だったなぁ」



 あの卵焼きを思い出すだけで幸せな気持ちになる。


 周りの女子たちが、いいなぁ、って言い始める。


 ふふふ。私は先輩の料理を毎日食べているのだ。先輩に胃袋を掴まれているのだ。絶対にそこら辺のお店よりも先輩の料理のほうが美味しい。


 女子たちが次々に質問してくる。



「ねぇねぇ! もっと教えて! どんなところが好き?」



 もちろん全部です。絶対に言わないけど。



「きっかけは?」



 きっかけというきっかけはない。単に一目惚れです。先輩を見た時にビビビッてきた。絶対に言わないけど。



「どこまでしたの? 手を繋いだ? キス? それとも……キャー!」



 手を繋いだり、ハグもしたことはあるかな。キスは一昨日おでこにしてくれた。その先はまだ。私はいつでもいいけど。


 ヘタレの先輩はなかなか一歩を踏み出してくれない。それはそれで可愛いけど。


 こんなことは絶対に言えない。私だけの秘密。


 私のクラスの女子たちはあーだこーだ言いながら恋バナで盛り上がる。


 私も盛り上がりたいところだけど、対象が私だから盛り上がれない。


 恋バナは好きだけど、自分の話は苦手なのだ。



「私だけじゃなくてみんなのことも教えてよ! 私は喋ったからね! はい次! 誰か彼氏持ちの人!」



 私はうまく話を逸らすことができた。これで対象が私じゃなくなった。これで私も盛り上がれる。


 私たちは就寝時間が来るまで恋バナで盛り上がっていた。


お読みいただきありがとうございました。


次の話は19時ごろになりそうです。

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