きみとはなしができたなら『届けられない手紙』
届けられない手紙
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愛しています。
こう書いたら、君は納得してくれるでしょうか?
だからこそ、別れたのだということを、わかってくれますか?
一緒にいるべきでなかったのは、世間がそう言っているというだけで、僕たちにはなんの罪も咎もなかったというのに。
たったひとつの過ちで、階段から転げ落ちるような目にあって、そして一生残る傷をこしらえてしまった。
ただ。
こうして別れても。
君を想っていますと、書いてもいいですか?
そんな風に、自分を納得させている、自問自答の日々。
君の電話番号だけは、押せないくせに、まだこの手の中にあります。
どうしても、消せないでいるのです。
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好きです。
あなたと一緒にいることが叶わず、私は毎日空を見上げている。
この空は、あなたと繋がっていて、あなたをきっと覆っているから。
その空気を今、私が吸っていて、深く深く肺へと入れていく。
ひと口、ひと口。
大切に。
そして、自分の一部にするために。
すると、地獄のような一日が、少しだけマシになる。
朝。
家を出る時。
空を見て、あなたを思い出す。
青い時もあり、グレーの時もある。
雨が滴り落ちる日もあり、日差しが眩しい日もある。
湿気で肺が、カビてしまいそうな朝もある。
ただ、どんな空でもあなたと共有していると思うなら、これほどまでに強い気持ちになることはない。
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きっと。
きっと。
僕たちは。
私たちは。
両想い。
それなのに。
一緒に生きることができないなんて。
死んだも同然のように、思える時もある。
それでもあなたが……
私より、少しでも、幸せでありますようにと。
願うばかりなのです。
君へ。
あなたへ。