第八十九話:再会、そして……
長くなりました……。
背中を殴打され、地面を転げた所為で体のあちこちが痛む中、俺は二人の戦いを見守ることしか出来なかった。体は助けに行きたいと力を滾らせていたが、頭は足手まといにしかならないと理解していた。それどころか、二人も早く出口まで逃げ込んで来てほしいと思っていた。
シオンの魔法が扱いづらい環境だったとは言え、負傷したワイバーンを相手に中々攻め切れないでいた二人を見て何度肝を冷やしたか分からない。それでも、結果は二人の勝利に終わった。負傷らしい負傷をしていないので結果だけ見れば大勝したと言えなくもないが、見守っていた俺も、戦っていた二人も余裕なんて微塵もない戦いだったと記憶している。
「にゃっはは! ぶちかましてやったよ!」
杭を戻したパイルバンカーと、ワイバーンからショートソードと魔石を回収したシオンはご満悦な様子でやって来る。広間が震える程の高威力の攻撃を相手のど真ん中にぶち込んだのだから、その爽快感は計り知れない。見ているだけの俺でさえ、あの轟音に身を打たれた時は鳥肌が立った。……俺も火力高い武器かスキルが欲しいな。筋力も魔力も技力もないけど。
両手で持ってきた魔石は赤色で、大きさは人の頭より一回り小さいくらいだ。少しでも荷物を増やさないようにと魔石の回収は控えてきたが、初めてみたその大きさに欲を強く刺激された。
「でかいな……ギルドだと、いくらで買い取ってもらえるんだ?」
「さぁ、あたいもこのサイズは初めてだね」
倒したことのないレベルの相手を倒したって……とんでもないことをしてくれたな。
アクトにも同様の質問をするべく視線を向けたが、首を横に振られてしまった。
確か、討伐推奨銅星四のトロールが百ゼースだったろ。ワイバーンが銀星一プラス魔獣化だから……もしかして四、五百ゼースになるか?
金額を想像して丁重に魔石を受け取り、バッグに収める。重量感が増したけれど、これは是非とも持って帰りたい。
「よ、よし、ここは熱気もあるし、さっさと先に行こう」
普段持ち歩かない大金を持った時のような落ち着かなさを覚えたが、できるだけ平静を装って歩き出す。
「レイホの歩き方、変だよ」
「うっ!」
早々とアクトに指摘されたが、反って良かったかもしれない。体に入っていた変な力を抜き、また狭い洞窟を歩くことになるのでランタンに火を点けて歩き出す。
洞窟は緩やかな坂道が続いていて、進むにつれて熱気は治まったが、その他に変化は見られない。魔獣が襲って来ることも、道が分岐することもない。
ただ歩いているだけに飽きが来始めた頃、それは現れた。
「これは……」
「もしかして出口?」
ランタンを前に突き出して眼前の様子を注意深く観察する。ゴツゴツした岩肌の洞窟の先に道は確認できないが、黒い靄は音もなく渦巻いていた。次元の境穴や魔窟の入り口にある物と同様の物だ。
「他に道も無かったし、このまま進もう」
出口だと期待に膨らむ胸を落ち着け、この先で何が起きてもいいように目を強く瞬きさせて気を入れ直した。
俺、アクト、シオンの順で黒い渦に入り込む。その先で見た光景は……
「——————————!!」
視覚情報よりも先に、青銅を掻き鳴らしたような音に耳を劈かれた。俺とアクトは反射的に耳を塞ぎ、身を強張らせる。シオンはエルフ耳で聴力がいいのか分からないが、しゃがみ込んで頭を抱えるようにしている。
なんだよ……折角ワイバーンを倒したのに、もっと強い魔獣が出て来るのかよ!
圧倒されてばかりもいられない。残響したように耳に残る青銅の音を、歯を食いしばって耐え周囲を確認する。
薄暗いが、灯りが必要になる程ではない。深い青の光に照らされる世界で、俺たちが立っているのは小高い丘の麓だ。
「ギシャァァ……!」
耳がようやく音を拾い始めたと思ったら、ついさっきまで聞いていた鳴き声が丘の上から降って来た。
アクトは持ち直したようだけど、シオンはまだか。マズいな、直ぐにここから離れないといけないのに……!?
降って来たワイバーンは両翼を羽搏かせることも、体勢を整えることもなく背中から落ちた。
どうしたのか? その疑問はワイバーンの無残な姿を見た途端に理解できた。
装甲のような鱗を纏った頭部は原型を留めない程に潰され、喉も鋭利な物で引き裂かれている。両翼も喉と同様に引き裂かれ、一目で飛行不能な状態であると見て取れた。
「酷い有様だな」
先ほどまで殺意を向けて来た奴の同族と分かっていても同情せずにはいられなかった。
「ギシャァァ……」
「ギシャッ……」
丘の上から転げ落ちて来る悲鳴はどれも力無いものであった。
何がいる……何が起きている……? 複数体のワイバーンを圧倒する存在が、この丘の上にいるんだとしたら逃げないと……でも、どこに?次元の境穴は抜けた……抜けたんだよな。なのになんで、こんなに状況悪いんだよ!
湧き上がって来る苛立ちに歯噛みして丘の上を睨んでいると、何者かが姿を現し、その姿を見た途端に絶望も恐怖も苛立ちも消し去る驚愕が押し寄せた。
頭の上から生えた一対の犬耳。肩の辺りまで伸ばされた真っ直ぐな黒髪。上下ともに防御力を度外視した露出の多い服装からは細い四肢が伸びており、首と両手首と両足首に着けられた黒い拘束具には、華奢な体に不釣り合いな重々しい鎖が繋げられていた。そして、上空に浮かぶ深い青の月とも太陽とも取れる光源を見つめていた空色の瞳は、俺と視線が合わさった瞬間に喜々と輝いた。
「レイホさ……ぐぇ!」
丘を駆け下りようとしたのだろうが、鎖の長さが足りずに首を絞められている。
「あんな娘が、ワイバーンを?」
いつの間にか立ち直っていたシオンだったが、その顔色は悪い。ダークエルフの顔色に詳しいわけじゃないけど。
「レイホ、行かないの?」
「あ、あぁ……行こう」
「え、行くの!?」
「大丈夫だ。あいつとは……」
言葉が出ない。姿かたち、性格もさっきの様子を見る限り大きく変わっているわけじゃなさそうだが、丘の上に立っている人物を面識があるとか、知り合いだとか言い表すことに強い抵抗を感じた。
「あー……とにかく、大丈夫だ」
シオンには悪いが適当に濁して丘を上る。
一歩一歩上る毎に心音が高鳴る。こうなることは予想していたが、心のどこかでいっそ出会わずに別れられれば良かったと思っていたのも事実だ。だって、なんて声を掛ければいいか、何を話せばいいか分からない。
俺の複雑な心境を他所に、丘の上で待つ少女は微笑みながら、腰から生えた三本の尻尾をゆっくりと振って待っている。
気持ちの整理が付かないまま丘を登り切ると、少女はどこか感情を抑えたような微笑みのまま開口した。
「レイホさん、お久しぶりです。アクトさんも、お元気そうで何よりです」
「ああ」
「ん。ソラクロはなんか無茶苦茶だね」
「え? ……あ! すいません、勝手に地上に行こうとしたワイバーンを懲らしめたところでした」
丘の上の開けた空間にはワイバーンの死骸がいくつも転がっていて、奥にはそこだけ明らかに別次元と分かる空間が広がっていた。
なんと言い表せばいいか分からないが、縦長の長方形に切り抜かれた真っ黒な空間に白い道が一本だけ伸びていて、道の先には明度の違う白い大門が聳え立っていた。
真っ黒な空間の直ぐ横には天をも貫かんとする黒い柱が伸びていて、その柱には乱雑に五本の鎖が巻き付けられていた。柱の更に隣には石造りに似た小屋が一軒だけ建っている。
「そちらの方は、新しいお仲間ですか?」
首を傾げられたシオンは一瞬体を強張らせたが、首を縦に振って答える。
「うん。シオンって言うんだ。色々あって迷い込んだ先で二人と出会って、一緒に行動させてもらっているよ」
「そうですか。わたしの名前はケ……」
「そういえば、記憶はもう完全に戻ったのか?」
不自然過ぎる。会話を遮るなんて、らしくない。ほら、三人とも不思議そうに俺を見ている。「どうかした?」なんて聞くなよ。俺だってどうかしているのは分かってるけど、何て答えればいいか分からないんだからさ。
「はい。お陰様で全部思い出しました。レイホさんやアクトさんには大変お世話になりました。ありがとうございます」
鎖を揺らして行儀よくお辞儀をされたが、俺は素っ気なく「そうか」とだけ答えた。
「しっかりとお礼をしたいのですが、ごめんなさい。まだ何も用意できていません」
「いいよ、お礼なんて。ハデスから十分に貰ったし」
「いえ、あれだけご迷惑をお掛けしたのに、何もしないわけにはいきません」
いいよ。どうせもう、会うことはないんだからさ。恩だとか迷惑だとか全部忘れてくれ。って言っても聞かないんだろうな。
「……分かった。けどそっちも忙しいんだろうから、無理はするなよ」
門番——番犬の仕事なんて休みも自分の都合も無いだろ。
「はい! 必ず!」
なんか本当に何かしでかしそうだな……でも、無理に断ろうとしても食い下がってくるだろうし……いや、こいつはもう俺の知らない存在だったな。
「ソラクロは一緒に来ないの?」
「え?」
アクトは本当に……本当にアクトは……。
頭を抱えたくなる衝動を抑えるのに必死な俺は成り行きを見守るしかできなかったが、空色の瞳はチラチラと俺の顔を伺って来る。
なんだよ。魔界に来て記憶も戻ったんなら、俺の目的は達成されている。俺から何かを言うつもりはないぞ。
「え、えっと……そう、ですね。わたしはここでやることがありますから」
「ふぅん。ここって、誰もいなかったらどうなるの?」
「魔獣があの扉、ヘルゲートを通って地上に溢れ出ます」
「それってオーバーフローが起きるってこと?」
「そうです。いや、それ以上ですね。オーバーフローが起きなくても地上に魔獣が出現するようになります」
地上で生きる者として聞いておかねばならない話だな。魔界で生まれた魔獣が、地上に出た時に魔物としてグレードダウンすることと関係があるのだろうが。
俺たち三人が興味を示したことを悟ってくれたのか、オーバーフローの発生原因や魔獣と魔物の変化について教えてくれた。
オーバーフローは魔獣が地上に溢れ出ることだが、地上に出る為の手段は大きく分けて二通りある。一つ目はこの先の扉、ヘルゲートを通ることだが、こちらは優秀な番犬がいる上に、無理にヘルゲートを通ろうとすると力が削られて魔物化してしまう。ただ、番犬の手に負えない物量があればヘルゲートを破壊することもできるので、その場合はヘルゲートを経由してのオーバーフローが発生する。番犬が俺と行動している間はハデスが目を光らせていたそうだ。
二つ目は魔界のどこかに生えている黄金のリンゴを食べること。黄金のリンゴは世界間を移動する力があるため、魔獣が一斉に黄金のリンゴを食した場合オーバーフローが発生する。その特異性から黄金のリンゴはハデスの命を受けた部下が管理を試みているが、広大な魔界で不特定地に生える物なので全てを管理するのは容易ではないようだ。
いきなり重要な情報を聞かされて面食らったが、話はまだ続いた。
ヘルゲートや黄金のリンゴを含め、魔界の重要な管理を任されているのは番犬とその弟妹である。ここまでは良い。重要なのはその弟妹が管理を放棄して地上に出て行ってしまっていることだ。しかもその理由が「飽きた」だとか「退屈」だとか「遊びに行ってくる」という身勝手なものだから頭痛がしてくる。全員が全員、身勝手に飛び出したわけではなく、監視役として付いて行った者もいるそうだが、それにしたって酷すぎる。
「め、面目ないです……」
ちなみに、耳も頭も尻尾も力なく垂れ下げている番犬は、身勝手な弟妹を止めに入ったところを無理やり引きずり出されたそうだ。番犬を縛っている鎖にはハデスから特別な力を付与されているが、無理に引きちぎると番犬の身体や脳に強烈な負荷がかかる事になっていると聞いた。
「それじゃあ、今はオーバーフローが発生しやすい状況ってこと?」
アクトの声音はいつにも増して感情が乗っていない。怒りたくなる気持ちは分かるけど、こいつを責めても仕方がない。
「そういうことになります。不在の弟妹の代わりにハデス様がリンゴの管理などをやられてはいますが……」
ハデス過労死するんじゃないか? 骨だから過労死しないのか? もしかして俺に領主を提案したのって、誰でもいいから人手が欲しかっただけなんじゃ……断って良かったぁ。
「連れ戻さないの?」
「人手が足りませんし、わたしが出るとはしゃぐのが数名……ハデス様が魔界を離れる訳にもいきませんし……」
嫌だぞ、代わりに連れ戻せとか言われるのは。
「遊び疲れるか、監視役で同行した妹が頃合いを見て連れ戻してくれるのを待つしかありません」
「へぇ……レイホ」
「駄目だ」
俺たちで探して送り返そうとか言う気だろ。絶対に嫌だからな。やるなら勝手にやれ……俺のフリーダム冒険生活の為にもパーティを抜けて一人でやってくれ。
「……まだ何も言ってない」
「俺たちで探そうったって、手がかりもないし、地上を移動するにも時間が掛かる。大人しく待つしかない」
「……わかった」
素直でよろしい。さて、次元の境穴は抜けたし、情報も盛りだくさんだし、そろそろ地上に帰るか。
「あの門、通らせてもらうぞ」
「は、はい……あ! 念のため通行証を見せてください。お三方からハデス様の魔力を感じるので問題ないと思いますが、一応」
「通行証……これか?」
首から下げていた紫色の楕円形の飾りが付けられたペンダントを見せる。アクトもシオンも失くしていないようで安心した。
「はい。確かに確認しました。どうぞ、お通りください」
白い道と扉を片手で差しながら道を譲る番犬を横目に、俺たちは地上への道を進んで行く。
「……レ、レイホさん!」
呼び止められた。流れで立ち去れると思ったんだけどな……。
「……おれたちは先行ってるよ」
「ああ」
白い道を進み、自動的に開いた大門の奥に消えて行く二人の背中を見送ってから番犬に向き直ると、鎖を引きずりながら歩み寄ってきた。
「……」
「……」
呼び止めておいて何か言う訳でもなく、こっちをじっと見ている。なんだ?
「……何か用か?」
「用と言うほどのことはないんですけど……少し座りませんか?」
真っ直ぐだった視線を僅かに上目遣いに変えて尋ねられる。あんまり話したくないんだけどな……断ったら落ち込むだろうし、少しだけなら付き合うか。
丘の上には椅子などはないので、適当な草の上に並んで座って青い月だか太陽を見上げた。
「…………」
「…………」
体はぴったりくっつけて来るけど何も喋らないな。
「なあ」
「あの」
……間が悪い。
「ごめんなさい。なんですか?」
「いや、話したいことがあるんじゃないかって聞こうとしただけだ」
「あ、ごめんなさい。えっと……レイホさん、怒ってますか?」
怒るようなことは起きてないと思うが……でも、機嫌があんまり良くないことは自覚している。相変わらず心の中に浮かんでいる、このもやもやとしか気分が何なのか分からないからだ。
「べつに」
「……」
そんな不安そうな目で見なくてもいいだろ。……ちゃんと言わないとか。訳も分からず不機嫌になっている奴の相手なんて、どうしていいか分からないし。
「本当に、怒ってるわけじゃない。話したいことがあれば聞く」
「……レイホさんは地上に戻ったらなにするんですか?」
「さぁな。アクトとシオンがいるし、振り回されるんじゃないか」
地上に戻ったら戻ったで面倒なんだよな。いっそクロッスに戻らずに別の町に……あぁ、タバサさんにマナ結晶は渡しておきたいし、金も預かり屋から下ろさないと手持ちだけじゃ心許ない。それに別の町で冒険者をやった場合、支度金を返していないのがバレて取立屋に追われるかもしれない。
アクトとシオンが地上に戻ったんなら、いっそ俺は魔界に残るか? 次元の境穴は抜けたし、その辺の町で暮らすくらいハデスも大目に見てくれるだろう。また一からのやり直しになるけど、手っ取り早く一人になれる。
「なんだか疲れてますね」
「……かもな」
次元の境穴で何回も死んだし、何回も選択を迫られたからな。これで疲れが出ていなかったら超人だ。
「少し横になりますか? 膝貸しますよ!」
肉付きが良いとは言えない脚を自信あり気に叩いて見せる。
「いや、遠慮しとく」
先に行っている二人がいるし、そんなにゆっくりしている時間もない。
「む……今なら尻尾もつけますよ!」
三本の尻尾を器用に動かして俺の背中を撫でて来る。くすぐったいからやめてくれ。
「気持ちだけ受け取っておく」
「そうですか……」
そんなに落ち込まれてもな……。
「レイホさんは本当に元の世界には戻らないんですか?」
聖域で黄金のリンゴを食べれば戻れるって話しだが、興味ないな。聖地に行くためには地上で黄金のリンゴを見つけないといけないって話だし、そんな面倒な物を探したくない。
「ああ。俺はこっちの……ブランクドで生きるよ」
「そうですか」
なんで少し嬉しそうにするんだ?
「こっちの世界にいてくれるなら、いつか絶対お礼をしに行きますから、待っててくださいね!」
「ああ」
あまり期待しないで待ってるよ。
「はい! わたしからの話は以上です。呼び止めてすいませんでした」
「そうか」
結局、何がしたかったのか分からないけど、話しているうちに少しは俺の気も晴れた……かな?後はゆっくり寝れば大丈夫だろう。
「あ、やっぱり甘えたいというならどうぞ! これでもお姉ちゃんですから、どーんと来て大丈夫ですよ!」
立ち上がった後で両手を広げ、「どーん、どーん」と言いながら呼び込んでいる。小柄で幼く見えても長女なんだよな……一体何歳だろうか。それとも幻獣だから歳の概念がないのか?
「あ、また難しい顔して考え込んでますね」
言うや否や、向こうから俺に抱きついてくる。身長差があるから、甘えさせられているよいうより、甘えられているようにしか思えない。
「おい、離れてくれ」
周囲に人影は無いが、誰かに見られているかもしれないと思うと気恥ずかしい。両肩を掴んで引き剥がそうとするが、筋力の差が顕著に表れた。
「……ぷはっ! レイホさんの匂い覚えましたから、これで地上に行った時は迷わず会いに行けます!」
「勝手に人のにおいを覚えないでくれ」
犬だけど嗅覚は犬並ってわけじゃないだろうに。いつごろ地上に来るのか知らないけど、それまで覚えてるのも無理があるだろ。
「えへへ……」
満足気に笑ってるよ。……もう行ってもいいかな?
「……じゃあな」
「はい! さよならです。また会う日まで!」
ジャラジャラと鎖を鳴らして手を振る番犬に、一度だけ振り返って手を上げ、俺は地上への道を歩んでいった。
今後の展開についてまとめたいことや修正したいこと等々出てきたため、次回投稿予定は未定です。
遅くとも12月1日の0時には投稿します。




