06
一緒に寝るしかないのか……せめて別の部屋で寝れたらいいのに。これだけ立派な家なんだ、他にも空いてる部屋がある筈だ
「ごめん、他に空いてる部屋はないかな?」
「……ない」
「ないの!?」
「ない……」
「本当に?」
「…………」
沈黙。
「そっか、じゃあせめて少し離れて寝るね」
そそくさと隅の方に布団を動かし、布団に入る。
「おやすみ」
「…………」
無言で頷く水谷さん。慣れない布団だが、僕はそのまま泥沼に嵌るように深い眠りについた。
――――翌朝。
目が覚めると、すぐ横で眼鏡をかけた水谷さんが眠っていた。
「うわっ!」
同じ布団の中に水谷さんがいて、思わず驚愕の声をあげてしまう。それで目が覚めた水谷さんは、変わらず無表情のまま起き上がった。
「ななな、何で水谷さんが僕の布団の中で寝てるの!?」
「…………?」
何か変? みたいな顔されても……。
すると部屋の襖が開かれ、水谷さんの母親が入ってきた。
「昨夜はよく眠れ……あらあらまあまあ」
僕達の状況を見て、うふふと意味ありげに笑い、お邪魔しましたと言いたげにそっと襖を閉めた。
「違っ……! これはその……!」
僕にも状況が分からなくてと言い終わる前にパタパタと足音を立てて去っていった。頭を抱える僕。
「水谷さん、いつからここで……?」
「……さっき」
え? さっき?
「起こそうと思ったけど、よく寝てたから……」
いや、起こしてよ……と言いかけて、その言葉を飲み込む。
とりあえず、布団から出て身支度を整える。と言っても制服の上着を脱いだだけだから、それを着て部屋を出る。
すると、玄関から老婆……水谷さんの祖母である村長が入ってきた。
「坊、犯人が見つかったそうじゃ」
僕を見つけた老婆はおもむろにそう言い出す。しかし、まだ何か言いたげだ。
「じゃが、"本体"は見つかってはおらぬがな」
本体? どういう事だ? 犯人……恐らく、いや父は見つかったんじゃないのか?
疑問に思っている僕を悟ったかのように老婆は言葉を続けた。
「見つかったのは衣服や靴だけじゃ……山奥で見つかった。山隠しにあったようじゃな」
山隠し……? 聞き慣れないワードにますます疑問になる。
「坊は余所者じゃから、知らなくても無理はない。立ち話もなんじゃ、儂の部屋に来なさい」
老婆に連れられ、昨日通された奥の部屋に入ると、老婆は腰掛け語り始めた。
「この村には、昔から不可思議な事があってな……その一つに山隠しと言うのがある。昔、この村が村として成り立つ前の話はしたな? この土地が作物も育たずに困窮していたと。では、どうやって飢えを凌いでいたと思う?」
僕は言葉に詰まった。どうしていたのだろう……分からない。そんな顔をしていたのか、老婆は続けた。
「仲間を食っていたのじゃよ」
仲間……? それってつまり……。
「そう、人間が人間を食っていたんじゃ」
そんな……淡々と語る老婆の言葉にただただ絶句するしかなかった。