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始まる前に…

この世界には、秘宝というものが存在する。


色の無い無色の秘宝、「旧秘宝」


赤、青、黄、緑、紫、黒、白、の7色からなる「原秘宝」


大まかにこの2種類である。


特に、世界を壊すことのできるとも言われる原秘宝は、長い間所在がわからないままと言われていた。


記録に残る中で秘宝が最後に現れたのは15年前。


現れたのは赤。そして、現れた場所は王都マッカーサー。


王都の人々は伝説の秘宝の登場に、にわかに沸き立った。あの、世界を破壊するほどの力が、赤の力が我が国に、と。


しかし、赤の秘宝は、王都を紅に染めた。適合者がそう望んだゆえに。


赤の適合者は、マッカーサー王家第1王女ハイミー。


王女の乱心によって一夜にして王都は灰となった。空は紅く染まり、大地は灰によって白く染まった。


そして、赤の秘宝とその適合者は王都の消滅とともに行方を晦ました。


この災厄と同じような出来事が秘宝が現れるたびに起こっている。


秘宝は適合者の願いを聞き入れ、その願いを出来るだけ叶える性質を持っていた。


しかし、秘宝は善悪の区別を持ち合わせていなかったのだ。


秘宝はその価値、希少性から為政者の手に渡ることが多かった。その為、願いは人の暗い願望も良き人の願いも等しく叶えられた。


結果が、国や人々の消滅。


何れも、人類の欲によってもたらされた人災であるにも関わらず、人々は秘宝を憎んだ。


あんなものさえなければ、と。


秘宝を得ることは世界的に禁じられ、万が一発見、出現したとしても封印することとなり、王都消失事件は秘宝と人類の関係のターニングポイントとなった。


人々の秘宝への憎しみの感情に呼応するように、王都消失事件から1年経たず、秘宝は各地に現れ始める事になる。


そして、原初秘宝を持つ者。原秘宝を意思を持って扱う者。原典保有者が7人揃った時、彼らは結束し、辺境の国を征服し、更に宣言した。


「これより、人類史を滅ぼす事にした。気にくわない奴は俺たちを止めてみろ、俺を含む7人全員を止める事が出来れば、あんた達の勝ちだ。」


その宣言通り、彼らは世界を壊し始めた。ゆっくりと、ゆっくりと。


―――――


原典保有者達は、知りたかった。


世界はこのままでいいのか?


答えは誰も知らない、誰も答えてはくれない。


秘宝は等しく保有者の願いを叶えるけれど、答えは返してくれはしない。


ならば、答えはどこに?


それが、原典保有者達に共通する命題だった。


そんな、原典保有者の組織のメンバーが集まる部屋には、2人の姿があった。


「ねぇ、宣言したはいいけどただ侵略や征服をするわけでは無いのでしょう?」


小さな体躯で黒のゴシックドレスを着こなしている少女はリーダーに向かってそう問いかける。


「わざと曖昧な目的を投げつけたほうが、目的のものが反応しやすいと思ってね」


短な黒髪に黒のスーツの青年は、少女にそう答えた。


「それに」


彼は、ニッコリと笑って。


「探求者達がそろそろこの時代に帰ってくる、面白そうなイベントがあったほうがあの人達も喜ぶだろうさ」


少女は呆れて溜息をついたが、彼女も少し嬉しそうな表情を浮かべて「そうね」と返した。


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