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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

見るなの鏡

作者: こん

夏のホラー企画に提出するつもりで書きました

が、参加表明をし忘れたので通常投稿…orz


やぁやぁ、A君、ごめんなさいね

こんな遅い時間に呼び出しちゃって

しかもこぉんな不気味な場所にサ


そんな不機嫌そうな顔しないでよ

それでも律儀に来てくれる君が大好きサ


あ、照れた?

可愛いなァ


あぁ、そんな膨れないで

うん、用件だよネ


いやいや、折角の夏じゃない?

夏と言えば肝試し!


と、言う訳で何かと噂の廃遊園地…

中でも不気味さでは群を抜く「ミラァハウス」に挑んでみようと思うのサ


古来より鏡に纏わる怪談話は数知れず


曰く、深夜○時に合わせ鏡をしてはいけない

鏡の悪魔が現れる

曰く、合わせ鏡を見つめてはいけない

無数の自分に鏡の中に引きずり込まれて成り代わられる

曰く…

曰く……


それに、このミラァハウスにも曰くがあってソレが原因で廃園になったって噂も…


嗚呼、ごめんなさいね

ついつい興が乗っちゃって

あ、ひょっとしてもう噂とか知ってたかナ


あ、知らない

良かった

知ってたら興醒めだしねェ


さァさァ

大分良い時間になって来たし、続きは中で


*************************************

○月×日深夜

私はかねてから付き合いのあったAを呼び出した

動機はつまらない好奇心と悪戯心

それと僅かな老婆心


「あんなこと」があって以来、未だ陰の抜けない彼の友人に気分転換の一つも

と、企んだ末、呼び出した先は先頃廃園となった裏野遊園地


誰も知らない内に、誰も知らない理由で何時の間にか廃園になっていた

しかも閉鎖されるでもなく、その気になれば其処彼処から這入り放題

どうにも訳が分からない


おかげで真偽も怪しい文字通りの怪談が飛び交い、蔓延り、ただでさえ不審がこびり付く場末の遊園地は

日々忌まわしい色を濃くしていった


怪談好きとしては身近な忌場は見逃せず、さりとて独りで挑むには噂話が悍ましすぎた

そんな折、耳に挟んだ新たな怪談


繰り返す

動機はつまらない好奇心と悪戯心

ミラァハウスに纏わる其の話を聞いた時、頭を過った下らないソレのせいで

私は彼を



呼び出してしまった

*************************************


うわぁ…此れは又…

中々に雰囲気のある…


嗚呼、気を付けて

唯でさえ歩きにくさに定評のあるミラァハウス

おまけに深夜で明かりは常夜灯と光量を絞った懐中電灯だけと来た

誘っておいて何だけど、歩くだけで嫌ァな汗が出て来るねェ


見なヨ

其処彼処に反射した光が絶妙に私達を照らし出して…

何だろうネ

まるで死人のような顔に見えちまうヨ




…嗚呼、そうそう、此処に纏わる怪談だったネ


曰く、深夜○時から△時の間

裏野遊園地のミラァハウスのとある区画の鏡に映ると

其の人の最も見られたくない過…去……が………




*************************************

不機嫌を隠さぬ友人を宥めすかして引き連れて

念願のミラァハウスに這入り込む


チカチカと不安を煽るように瞬く常夜灯

反射がキツくて光量を絞らざるを得なかった懐中電灯


如何にも不気味さをいや増してくれる


こつりこつり


暫しは歩くことに気を取られ、無言の中に唯足音だけが鳴る


何とか此処の歩き方らしきものを見出し、余裕も出た所で入り口での続きを始めることにした


そう、私の幼稚な好奇心と悪戯心を刺激してくれたあの話だ


曰く、とある時間、とある区画の鏡は悍ましい過去を映す




最も知られたくない過去を




そんな話をした時だ



見てしまった










Aが醜く歪んだ顔で


狂ったように


現在行方不明の


Aの想い人…だった肉塊を


切り刻み


理想的なくびれを誇った腹を裂いて臓物を引きずり出し


美しかったかんばせの生皮を剥ぎ


生臭い黒血を吐く心臓を食み


丹念に


それはもう丹念に


執拗に


それはもう執拗に


肉塊ですらない肉片に成るほどに


ぐちゃりぐちゃりと


笑いながら


嗤いながら










そして


私の


肩に


Aの


手が









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