第九話 プライスレス的なお話
町に戻った俺たちはまずギルドに向かった。
一応念のために言っとくけど、セフィアも通行証を発行してもらってるぞ。
特に問題も無かったし。
ギルドについた後は説明を受けた人の所に行く。
そこで納品と2つの申請を行う。
依頼に関しては結論だけいうと、薬草の方は雑草が混ざることなく、チャージラビットも問題なく、結果的に薬草が20本ほどとチャージラビットが14羽手元に残った。
後で買取の方に行くつもりだ。
セフィアのギルド登録も無事に済み、パーティ登録も問題なく、パーティ名もいつでもいいとのことなので、あとあと考えようと思う。
ギルドを後にした俺たちは武器屋を探すことにした。
依頼の報酬は薬草とチャージラビット共に250リムで合計500リム。
薬草全部とチャージラビットを10羽売って600リム。
一日で1100リム稼いだことになる。
効率がいいのかはわからないが懐は余裕があるからランクを上げてけば問題ないと思う。
…あ、ゴブリンとか売り忘れた。
また今度でいいか。
そうこうしている内に武器屋を見つけたので入ってみた。
ゲームでよくある感じだが皮や布製の防具に杖や弓等の木工製品がなかった。
聞いてみると金属、皮や布、木工と専門で別れているそうだ。言われてみればその通りなので、一括りになってるゲームの方がおかしい気がしてきた。
ちなみに魔物素材は人によるそうだ。
一通り聞いたので店内を物色する。
「セフィアはどれがいいんだ?」
「えっ?でも僕お金あんま持ってないよ。」
「俺が払うつもりなんだが。」
「そんな。悪いよ。魔法もあるし今はいいよ。」
「作業効率を上げる為の先行投資みたいなもんだ。それに悪いと思うならそのうちプレゼントかなんかでも買ってくれればいいよ。」
「う〜。はあ、分かったよ。じゃあ、お言葉に甘えようかな。でも、後で絶対すごいのをお返しするから覚悟しといてね。」
「ああ、期待してる」
一悶着あったが、お互いに必要な武器を選んで購入する。セフィアは短めの片手剣と双剣。
俺は予備の鉄の剣と投擲用のダガーを10本だ。
合計で8500リムだが、まだ40000リムある。
その後、皮製品の店で新米冒険者にお勧めの皮鎧をお揃いで買って4000リムマイナス。
ペアルックプライスレス。
これからギルドに向かおうかと考えていると、セフィアからポーションを買った方がいいと勧められた。
服用すればあら不思議、傷が治り、体力が回復するなんてものゲームだけだと思っていたんだが薬屋に行ってみれば本当にあった。
2本買って600リムだったがこれでいざという時の保険になった。
異世界ってすごい。
時間を見てみると16:24だった。
流石に今からギルドに行っても大した事はできないので宿屋に向かう。
2日目で女の子を連れてきたもんだから受付の子にからかわれた。その後、宿のオーナーというか女将さんを呼んでもらい昨日の事を話し、昨日の分と合わせて10日分の宿代を払おうとしたら、そういう事情があったならと9日分だけ受け取り、受付の子にまかせて行ってしまった。
いい人で良かった。
「えっと、そういうわけでもう一部屋借りたいんだけど」
「すみません。今は空きがなくて。二人部屋なら空いているのでレントさん、そちらに移ることはできますか?昨日も結果的には二人で泊まったわけですし。」
「昨日は仕方ないけど、流石にそれはちょっと。」
「僕は別に構わないよ。二人部屋に一人で泊まりたいなんて我が儘は流石に言えないし。それにせっかくパーティ組んだのに違う宿に泊まるのもなんか違う気がするし。」
「わかりました。ではこちらが新しい部屋の鍵になります。そしてこちらが前の部屋の鍵です。荷物を移し終わったら返却して下さい。」
「分かりました。」
なんか、セフィアがさっさと決めてしまった。
いや、何もするつもり無いんだけど、緊張するんだけど。
そりゃあ美少女と同居とか嬉しいし、男の夢だし、でも急にこんなことになっても…と考えていたら腕を掴まれ前に泊まっていた部屋に連れてかれた。
荷物を移し終わりひと息ついたのでなんであんなことを言ったのか聞いてみる。
「なんで二人部屋でいいって言ったんだ?」
…その、恋人同士がするような、アレのことを少し期待しつつ聞いてみた。
「だって、折角仲間になったんだし、それに仲間で同じ部屋に泊まるとか冒険者っぽくて少し憧れてたんだ、僕。」
「そっか。じゃあ、夢が一つ叶ったって訳か。」
「うん。」
眩しい笑顔で頷かれてしまった。
信用されているみたいだしまぁ、いっか。
それに同じ部屋だしもしかしたらその内ラッキースケベなToLOVEるに出会えるかもしれない。
一度あったし。
荷物を移したり、二人部屋の理由を聞いたりしてたら夕食の時間になったので、食堂に移動した。
異世界人故、話題なんか無いので、夕食中では聞き手に回ったり、話を拡げたりしながら夕食を楽しんだ。
その後、受付の子(名前を聞いてみたらルリエだと教えてくれた。)に身体を拭く為の水桶を頼んだら背中合わせで身体を拭くというToLOVEる的な事があったがなんとか一日を終えた。