第四十五話 かっこいい。的なお話
前回のあらすじ
リリンの師匠に刃を突きつけられて血が出た。
取り敢えずリリンのお師匠さんと自己紹介しあう。……止血しながら。
「私の名前はリィナ。Bランクの黄昏の獅子というパーティで斥候役をしている。一応リリンの師匠だ。」
「えっと、俺の名前は蓮斗って言います。まだ冒険者になって一月経ってないのでこれが出来るというのはないです。それで、リリンとは「婚約者」ってちょっと!」
セリフに突然リリンが割り込んで来た。
確かにその通りなんだけど言葉を選んで欲しい。
恥ずかしいから。
それにほら、リィナさんが憤怒を表した鬼の形相でリリンを睨んでるじゃないか。……ってリリン!?
何故にリリン?
「ぐぬぬぬぬ。私にはゴリラか豚のような奴か女しか言い寄って来ないのに、何故リリンにはこんなかっこいい奴が。やはり小さくて可愛いのがいいのか。」
茶ポニ美人にかっこいいと言われた。
かなり嬉しい。
「お、落ち着いて下さい。まだ僕の自己紹介終わってないんですから。」
「すー、はー。取り乱してすまない。続けてくれ。」
「あ、はい。僕の名前はセフィアって言います。それでレントと同じでまだまだ駆け出しの冒険者でこの前Eランクに上がったばっかです。それで、えっと……」
「パーティにカップルがいるとなると流石に居づらくないか?」
「セフィアもレントの婚約者。」
「ふぁっ!?15で婚約者の居る娘達に比べて18で恋人が居た事がない私って一体……。ふふふ、やはり女はか弱い方がいいのか。」
「え、えーっと、取り敢えず俺とセフィアで盗賊達を連れてくるから、その間リィナさんを看ててくれ。」
「そ、そうだね。」
「分かった。」
セフィアと一緒に盗賊達を連れてくると、どうやらリィナさんは持ち直したようでかっこいい茶ポニ美人に戻っていた。
「先ほどは迷惑をかけてすまなかった。お詫びといってはなんだが暫く君達に稽古をつけてやろう。」
「え、でも仕事はいいんですか?」
「なに、問題ないさ。カインの街まで護衛対象を送れば終わりだし、仕事の後は暫く休みだろうしな。」
カインの街とは今俺達が拠点にしてる街の事だ。
そこに暫く滞在して稽古をつけてくれるなら願ったり叶ったりだ。
いい加減、片手剣スキルも欲しいしな。
「そういう事なら、是非お願いします。」
「うむ。」
「それとは別で、この盗賊達はどうしましょう。恐らくリィナさん達が捕まえた奴らの仲間だと思うんですが。」
ステータスは既に確認済みだ。
前回ので盗賊に危害を加えても賞罰に変化は無い事を学んだからな。
こいつらに攻撃しても暴行とかがついてないから少なくとも盗賊なのは間違いない。
「そいつらは君達が捕まえたのであろう。ならばそれは君達の手柄だ。とはいえそのまま連れて行くのは一苦労だろう。私達が捕まえた奴らも運ぶのだろうし、一緒に馬車に載せてもらおうか?」
「いいんですか?」
「でも、一応相談した方がいいんじゃないでしょうか?」
「ふむ、確かにセフィア君の言う通りだな。では少し待っててくれるか?今から聞いてくるから。」
「はい。」
「僕が言ったんだし、いいですよ。」
「…ん。」
「では行ってくる。」
言い寄ってくるのは〜って言ってたけどあんなに美人でカッコ良くてオマケに強いとなると普通の人は声掛けづらいんだろう。
ゴリラと豚は下心丸出しなんだろうな。
女性を君付けでかっこいいんだし、お姉様的な感じなんだろう。
そりゃあ、女性にもモテるんだろうなぁ。
可哀想に。
カインはカインドから来ています。カインドは親切とかそういう意味で過保護なアリシアさんによってこの街の近くに飛ばされました。




