第三十六話 伸した。的なお話
試験の時間になる。
受付の所に行こうと思っていたら、ギルドの職員さんがヒゲ面のおっさんを連れてやって来た。
「それでは、これよりEランク昇格試験を開始します。受験者は集まって下さい。」
職員さんが宣言した場所まで行くとどうやら俺とセフィアの他にも五人ほどいるようだ。
「どうやら集まったようなので試験内容を説明します。試験の方法は二つ、一つはこちらにいるDランク冒険者と模擬戦を行い実力を測るもの。もう一つは依頼の成否で判断するもの。今回はEランク依頼のスライム討伐です。依頼の方はパーティで受ける事も可能ですが、その場合は受験者のみで構成したもののみ試験依頼として認めます。ですので臨時パーティを組む時間を設けますので依頼の方を選ぶ方はこの時間を有意義に使ってください。」
職員さんの説明を受けた俺とセフィアは話し合い、スライムが初見の相手である事から今回は模擬戦にすることにした。
リリンからもEランク程度余裕。とのお墨付きを貰った。
そして依頼を受けるのは三人で試験は俺らを含めて四人のようだ。
職員さんは先に依頼を受ける三人の方の説明と依頼の受理を行い、それが終わった後俺ら四人とヒゲ面のおっさんを連れて訓練所に向かった。
「それでは、Eランク昇格試験の模擬戦を開始します。使用武器はこちらで用意した物を使ってもらいます。そして魔法に関してですが、身体強化のみ使用を認めます。この模擬戦ではEランクに足る実力を測る事が目的なので勝利する事が合格条件ではありません。ですが、負けてもいいなどと軽い気持ちで挑んでいると判断した場合、問答無用で失格にするので心するように。」
さて、俺はどうしようか。
用意されている武器は全部木製で漫画とかで見る先端を保護した棒もあるが、木剣とどちらを使おうか。
う〜ん。まあ、スキルがある棒の方がいいか。
後は、ヒノキの棒を使ってもいいか職員さんに聞いてみるか。
そして試験が開始される。
ヒノキの棒はカバーみたいのを付ければ使っていいそうだ。
一人目は動きがぎこちなくどうやら魔法使い系のようだ。
後衛が格上の前衛に勝てる筈もなくあっさり負けている。
魔法が使えればなどとほざいているがMPが無くなった時の為に必要最低限の近接戦闘が出来ないと直ぐに死にますよ。と職員さんに笑顔で言われ反論出来ずにあっさりと引き下がった。
二人目は前衛のようで可もなく不可もなくという感じで一人目よりは善戦しているが「一人目よりは」なだけで簡単に負けていた。
というか二人とも弱すぎるような……。
三人目は俺のようだ。
何やら相手が必要以上に気負っているし、セフィアの方をチラチラ見ている。
どうやら恋人と思われる俺を圧倒してセフィアを奪うつもりらしい。
手を出そうとしても人としても男としても生きていけなくなるとはいえあまりいい気はしない。
なので全力で叩き潰そうと思う。
向こうもそのつもりのようだし。
そして試合開始とともにおっさんが突っ込んでくる。
前の二人の時よりあきらかに速い。
身体強化を使っているのか前二人は手加減してたのか、はたまた両方か。
とはいえセフィアの方が速いし、リリンは更に速い。
この程度なら余裕で対応できるので振りかぶった一撃を放ってくるのに合わせてヒノキの棒で身体を押し上げるように跳躍して躱す。
そのままヒノキの棒を両手で持ち、上空で一回転する勢いに乗せて一撃を放つ。
丁度上を見上げた所だったようでその顔面に直撃する。
俺の腕力+遠心力+落下の勢いで放たれた龍槌○擬きで伸びてしまったようだ。
ギルドの職員さんは取り敢えずの
試験結果を教えてくれた。
一人目は当然のように不合格で二人目はギリギリ合格のようだ。
そしてDランク冒険者に勝った俺は当然のように合格。
ただ、試験相手が伸びて模擬戦が出来なかったセフィアは申し訳ありませんがスライム討伐の依頼で試験を受けてもらえませんか?と聞かれていた。
そこで俺はセフィアのパーティメンバーなのですが一緒に依頼を受けていいですか?と尋ねると同じ時に受験したので今回は特例として認めて貰った。
今日これから行くと日が出ている内に帰ってこれるか分からないから明日受けさせてもらう事にした。




