第三百二十四話 暗躍してる的なお話
〜セフィア視点〜
「ねぇ、2人とも。ちょっといいかな?」
「うん? 何?」
「何?」
レントは時間があるからと爪楊枝を作ってるし多分聞こえないよね。
「2人はレントの事、好き?」
「は? え? ちょっ!? ききき、急に何言ってるの!?」
「いいい、意味がかわら……じゃない。分からない。」
「いや〜、見たところ2人ともレントの事好きそうだったからちょっと気になってね。で、どうなの?」
「べべべ、別にそんな、レントの事なんて……ごにょごにょ。そ、それにレントはセフィア達と結婚してるんだから私達がどう思おうと意味ないでしょ。」
「………………。」
「僕としては好きな人が認められて、好かれるのが誇らしいし、嬉しいんだけど。それに、2人ならいいかなって。」
「………どういう事?」
「レントは多分2人の事好きだと思う。でもレントは真面目だから僕達以外を好きになるのは不誠実って考えてるっぽいんだよね。」
「別におかしくないじゃない。それに、それこそ私達の出る幕なんてないじゃない。」
「それはそうなんだけど、僕は好きな人が既に恋人がいるとか、結婚してるとかで諦めるのは悲しいと思って、それで、2人がレントの事好きなら受け入れようと思って。多分、リリンもルリエちゃんも同じだと思うし。」
「そんなのは分からないじゃない。2人が本心でどう思ってるかなんて。本当は嫌かもしれないじゃない。」
いや〜、それは無いんじゃないかな?
リリンは積極的に誘ってるし、ルリエちゃんも一緒になってアカネちゃん達を誘おうと計画してるし。
「それはまあ、後で聞けばいいんじゃないかな? 今大事なのは2人がどうしたいか、どうなりたいかだよ。とりあえず、答えは地上に出てからでいいから、少しは考えてみてね。」
多分これで大丈夫。
ルナちゃんは男の人が苦手だって言ってたけど、レントなら大丈夫だったし、シアちゃんも楽しそうに話してるもん。
きっと大丈夫。
「セフィア。ちょっといいかな?」
「うん? 何、レント?」
「いや、その、さっきシア達に余計なこと言ってたみたいだから、さ。ああいう事は無理強いは良くないだろう。それに今はそんなこと考える余裕なんてない筈だし。」
「その、別のこと考えてれば、気が紛れると思って。」
「それは、そうかもしれないけど、でも別にあの話題でなくてもいいんじゃないかな。」
「だっていつかは向き合わなければいけないことでしょ。それに、それを決めるのは2人だから。」
「…………分かった。確かにどうするかを決めるのは2人だ。俺もこの事に関しては口出ししない事にするよ。」
「うん。」
危機的な状況に陥った際のドキドキを恋のドキドキと勘違いしてって話を何かで聞いたことあるんだよね。
何だったかは覚えてないけど。
そう考えると、恋だと思えばトラウマにならずに済むかもしれないし。
それに、エルフは長寿だからその分そういう事に関しては消極的って言うし、いけそうな時にいかないと。
ルナちゃんはサキュバスの血があるけど、本人はああいう性格だから誰かが後押ししないと。
でも、他人じゃそこまで積極的になれないだろう。
だったら僕が、レントのお嫁さんである僕が言えばもう少し積極的になれるかもしれないし。
…………夜凄いからこのままだと身がもたなくなりそうだし。
2人は今……うん。
リリンに質問してるね。
って事は少しは考えてくれてるみたいだし、大丈夫そうかな。
今の僕は大好きなレントに愛されててすごく幸せだ。
でも、レントは心のどこがで誰かのことを想っても不誠実だと思って心の奥にしまいかねない。
自分の心に嘘をつくなんて、そんなのは幸せとは言えないと僕は思う。
だったら僕達が受け入れてレントを幸せにしてあげよう。
だってレントが幸せだと僕も嬉しいから。