第二百八十三話 反応に困る的なお話
遅れてしまい申し訳ないです。
今回の話は難産でかなり時間がかかった上に少し少なめになってしまいました。
「うわっ!」
寝不足だったから馬車の中で寝ることになったのだが、目が覚めてみたら目の前にアカネの顔のどアップがあってびっくりしたよ。
「何よ、うるさいわ………な、何!? 夜這い!?」
「ちげーよ! というか、夜じゃねぇよ!」
「レント……そういうことじゃ無いと思うよ。」
アカネが寝ぼけてるのか訳のわからない事を言ってたからツッコんだら、セフィアにツッコまれた。
「って、あー、そっか。そういえば、夜営して眠いからって馬車で寝てたんだっけ。」
「そうだよ。それなのに夜這いって……そんなことするわけ無いだろう。」
「まるで私には魅力が無いみたいな言い方ね。」
「いや、既婚者だからって意味だから。」
「そうだよ。それにアカネちゃんはかわいいよ。」
「うっ……その、ありがとう。」
普段のアカネは異性として意識されない感じの仲のいい女友達みたいに感じてたが、今のはかわいいじゃないか。
「あ、今レント、アカネちゃんのことかわいいって思ったでしょ。」
「へぇ!?」
「………何故分かった?」
「今のアカネちゃんはほんとに可愛かったからね。それでさ、どう? 相手として。」
「…………どうって?」
いや、聞かなくても何を言いたいのかは分かってる。
それでも、万が一の可能性があるから聞く。
「4人目としてだよ。」
「………やっぱり。却下だよ。だいたい、それはアカネに失礼だろう。」
「アカネちゃんはどう?」
うちの嫁はどうしてこう、増やそうとするのかなぁ?
「うぅーん。悪くはないんだけどね。でも、今は遠慮しとくわ。」
「今は?」
「まあ、今の生活も楽しいし、レントも良い人だし、良い物件なのは確かね。でも、実家のこともあるし今はまだそういう気にはなれないわ。」
「「あ………」」
「そんな顔しないで。冤罪も晴れてるしそこまで深刻じゃないわ。ただ、今は忙しいだろうし、いきなり結婚しましたってわけにはいかないのよ。」
そういえば、アカネの家は貴族だったわ。
奴隷として売られてもやはりそういうのは気にすべきなのだろう。
それに今は解放されているし家が認めれば復縁もできるはずだ。
それをするかはともかく、筋は通すべきなのは確かだ。
むやみやたらとそういう関係になるのは良くないって事だな。
まあ、俺は元からそういうつもりはなかったんだけど。
「そういうわけだから、今は無理ね。それよりも早くお昼にしよう。」
なんというか、すごく反応に困る話なのに平然としてる。
こっちはどう反応して良いのか困惑してるというのに。
とはいえ、お昼の時間でお腹がすいているのは確かだ。
ここは、あれだな。
保留。
放置。
考えるのを放棄しよう。
まだ寝ているルリエを起こしてみんなで昼食の準備をして美味しくいただく。
ちょっとセフィアの元気が無いのが気になるが、それは移動中にでも何とかしよう。