第二百六十三話 意外と儲かった。的なお話
「勝手に依頼に出るなんてひどいよ!」
へ?
依頼?
あ、そっか。
こいつには帰るとは言ってないからただ単に依頼に出たのだと勘違いしたのか。
それなら、まだなんとかなるかも。
「いや、依頼じゃなくてちょっとした見回りだよ。前みたいな事が無いか気になっててそしたら盗賊を捕まえた。」
「は? そしたらってどういう事?」
「盗賊、街襲う、考えた。俺、盗賊、捕まえた。」
「なんでカタコトで話してるの?」
「何故か口から出てきた。」
セフィアに聞かれてしまった。
でも、自分でも分からないけど何故かあんなしゃべりになってた。
やっぱり少し動揺してるのかも。
「つまり、盗賊がこの街を襲おうとしてたのを知って捕まえたって事?」
「そゆこと。」
「あ、そこはカタコトじゃないんだ。」
「うん。」
少しは落ち着いたしね。
「ユーリは依頼か?」
「セフィアちゃんを探してたからまだ受けてない。」
「お前は一緒に受ける冒険者仲間とか居ないのか?」
「居るには居るんだけど……この前のモンスターパレードで怪我しちゃってて。」
「なんか、ごめん。」
「別にいいよ。死んだわけじゃ無いし。」
そういえばユーリからは大分険が取れたというか、敵意が薄れている感じがするな。
普通に話してくれるし。
これなら一緒に連れてっても別にいいんじゃ………ってなんかそれはまずい気がする。
というか、ユーリはそういうのじゃないし。
「そっか。俺達は換金とか盗賊のアジトで拾った物をこれから売ろうと思ってるから依頼は受けれないんだ。ごめんな。」
別にユーリは依頼を受けるとは言ってないけど、依頼を受けるという程で事を進めよう。
これからどうするかとかセフィア達と相談したいし。
なんなら午後から街を出るのもありだろう。
レウィンさんに捕まると面倒そうだし。
「そうなの? じゃあ、私も一緒に行っていい? 折角Cランクに上がったんだし、新しい武器とか欲しいなって思ってたところだし。」
「そ、そうか。それじゃ一緒に行くか。」
ユーリからは逃げらなかった。
先ずは宝石商に行く。
小さい宝石は全部手元に残して大きめの宝石を三つほど売る。
手元に残した宝石は全員お揃いのアクセサリーに使いたい。
まだパーティ名とか決めてないけど一緒のパーティの証みたいな物を作りたいんだよね。
そういうのって小説とかだと良くあるし。
指輪ならアリシアさんに教わってだけど、前にも作った事あるしきっとなんとかなるだろう。
大きい宝石は三つで86万リムになった。
異世界とはいえやっぱり宝石は価値が高いようで、意外と儲かった。
次は売るために金属をメインに扱う武器屋へ。
盾と槍は合計で3万6000リムになり、鈍は二束三文にすらならなかった。
ぶっちゃけ鋳潰して安物の剣とかにするくらいしか使い道がないと言われてしまった。
どうせ鋳潰すのならと売らずに俺の鍛冶スキルの糧になって貰おう。
そして大本命。
あの謎の鎖だ。
武器屋の店主に鎖を鑑定してもらう。
ー重黒縛鎖ー
拘束した対象のステータスを低下させる効果を持つ。
また、拘束した対象から魔力を吸い取り鎖自体の重さを増やして逃げられなくする。
結構使えるな。
これはキープしとこう。
さて。
用事も全部済んだし、帰ろうかね。
「ちょっ! まだ私の武器選びが終わってないわよ!」
あ、忘れてた。
ユーリ達とどうやって別れさせればいいんだ?