第二百三十三話 受けて立ーつ! 的なお話
法被を着た連中は20人。
内訳は男が4人、女が16人。
年代的には男の方が20代後半、女の方は10代半ばくらいか?
こいつらは一体どういう連中なんだ?
「我らが天使、セフィアちゃんと仲睦まじく歩く不届きな奴がいると同志から連絡があった。今ここで、我らセフィアちゃん親衛隊の精鋭が天誅を下す!」
「…………………なにこれ?」
なんか、セフィアに親衛隊がいるようです。
確かにこの親衛隊達をよく見てみると法被やら額のハチマキにはセフィアちゃん親衛隊とかセフィアちゃんLOVEとかセフィアちゃん命とか書いてある。
確かにこんなにかわいいんだし、親衛隊があったと言われても理解の外だが納得は出来る。
でも、男女比がおかしい気がするのは俺だけか?
「ん、あんたが例の男ね。ちょっと顔が良いからって調子にのるんじゃないわよ。セフィアお姉様はあんたなんかに渡さないんだから!」
お姉様って、そういう事か。
セフィアにはまだ兄妹が居たという事か。
「誰?」
あれ?
兄妹とかじゃないの?
そう思っていると先ほどお姉様と言った女の子が更にまくし立ててくる。
なんか、誰にでも優しく、頑張り屋で、狸人族として才能に溢れていて、優れた容姿をしていながら見た目を鼻に掛ける事なく誰にでも分け隔てなく接する人柄。
それでいて一人称が僕で、ちょっと抜けているところがとても可愛い。
そんな優しいお姉様には俺なんかは相応しくないとか。
そして、そんな事を言っている女の子に続くように、流石隊長とか隊長の言う通りだとか周りの連中が叫んでいる。
おいおい、女の子が隊長なのかよ。
「そんな事を言われても……既に結婚してるんだよなぁ。」
「なっ!? 何ですって!? そんな………私が、お姉様と結婚するはずだったのに。」
こいつはそっち系かよ!
というか、セフィアはノーマルだよ!
「ふ、ふふふ、許さない。私達のお姉様を奪ったあんたを私達は決して許さない! 決闘よ! お姉様を賭けて決闘を申し込むわ!」
奪ったも何も告白してきたのはセフィアからの方だし、夜の方もリリンとセフィアから襲ってきたし。
それに決闘するメリットなんてこっちには無いんだけどな。
と言っても、まあ、受けるんだけどな。
「受けて立ーつ!」
「レント!? 何で受けるの!?」
「愚問だな。セフィアはあいつらのものでは無く、俺の物だって叩き込むためだよ。」
「同感。セフィアはレントと私達の物。」
「そうですよ! セフィアさんは渡しません。」
どうやらリリンとルリエも同じ気持ちのようだ。
「良い度胸ね。今日の午後三時。街の広場で待つ。逃げるんじゃないわよ。」
「そっちこそ謝る練習でもしてるんだな。」
三時か。
ぶっちゃけ、例の馬鹿息子が決闘仕掛けてきたり、チンピラをけしかけてきたり、誘拐を仕掛けてきたりする可能性も考えていたのに、あっさり捕まって贖罪の為に警邏しているのには拍子抜けしてたからな。
折角鍛えたのにって。
だから今回の話はどれだけ強くなったか確かめる良い機会だ。
まあ、一番の目的はセフィアが俺の物だって骨の髄どころか魂の奥底にまで刻み込む事なんだけどね。
……………時に、街の広場って、どこ?
◇
お昼を食べたり、ウォーミングアップをしてからハンナ義母さんの案内のもと街の広場に向かう。
セフィアはオロオロしている。
俺達が大怪我を“させないか” 心配しているようだ。
全く、流石にそこまではしないよ。
回復魔法も使えないんだからそんな大事になるような事はしないよ。
そして五分前に着くと、そこには更に11人程増えて31人の人が待ち構えていた。
内訳は男3、女7、レウィンさん1。
…………なんでそっちにいるんですか。




