第二百二十七話 一寸先はゴブリン的なお話
移動2日目の朝、自宅のベッドで目が醒める。
やはり夜営するよりも気持ちよく起きれるな。
いつもならここで素振りをするところなんだが移動中に魔物と戦うかもなんだし少しでも疲れないようにするため止めておく。
というわけで時間はまだあるし嫁達の寝顔でも見ていよう。
そうして眺めること十数分。
最初にリリンが、続いてルリエが起きてその数分後にセフィアが起きた。
「おふぁよ〜、レント。」
「うん、おはよう。セフィア。」
「体は大丈夫? 筋肉痛とか。」
「うん。大丈夫だよ。」
「2人は?」
「大丈夫。」
「私も大丈夫ですよ。」
たくさん歩いたけど3人とも筋肉痛とかなくて良かった。
もちろん俺も無い。
それじゃ、朝ごはんにしますか。
3人に言われた食材をストレージから取り出しているとレイダさんが起きてきて3人を手伝い始めた。
そして俺はやることがなくなったのでソファーにてくつろいでいるとアカネが眠そうにしながら起きてきた。
やっぱり最後は蒼井か。
朝食を食べ終えると俺の嫁達が再び料理を始めた。
何をしてるのかと聞いてみるとお弁当を作っているとのこと。
まあ、確かに毎日家に帰るわけだし危険な外でお昼を作る理由は無いわな。
そうして出来上がった料理をストレージにしまい身支度を整えて庭に出る。
そして昨日登録したゲートへと転移した。
◇
転移した先ではゴブリンさん達がたむろしてました。
「うわっ! びっくりしたー。」
転移したらゴブリンさんが居てびっくりしたが、所詮はゴブリン。
サクッと倒して安全を確保する。
「まさか転移した先に魔物がいるなんて、びっくりしたよ。」
「ん。」
「でも、流石はお兄さんです。あっさりと倒しちゃうんだから。」
いや、今ならルリエも出来るだろう。
でも嫁に褒められるのは嬉しい。
「しかし、今後も似たようなことがあるかもだし……どうしよう?」
「確かに……どうしよう?」
「魔道具。」
「! リリンナイス! そうだよ。あれには認識阻害の効果があるから近づかないはずだし、転移してきても気づかれないじゃないか。」
認識できないということはそこが頭の中から無くなるということで、頭の中にないということはそこに立ち入るという発想自体浮かばないはずだ。………ってあれ? そういえば前に蒼井がノックしてたし話しかけてきたような……?
そこに俺たちがいることを展開前から知っていたからかな?
今度アリシアさんに聞こう。
「それじゃあ、転移する前に魔道具を設置するってことにして、早速エルカに向かおうか。」
「うん。」
「ん。」
「はい。」
「分かりました。」
「そうね。」
「おっけー。」
セフィアの先導の元、エルカに向かって歩いていると前方より馬車が走ってきた。
その馬車には何やら大きな檻のようなものが付いていてそこにはなんともまあ、ガラの悪そうな連中が乗せられていた。
盗賊かな?
なんか馬車の周りにいる人達は同業者っぽいし犯罪奴隷でもカインに売りに向かっているのだろう。
是非自分の罪を悔いて更生してほしいものだ。
「ねぇ、風見。さっきのは一体何なの?」
「あれは多分犯罪奴隷だろう。」
「犯罪奴隷ってあの?」
「そっ。犯罪を犯した連中は奴隷に落とされたりするんだと。そういう時はまあ、ベタなところで鉱山送りとかだろうな、」
「なるほど。流石は異世界。」
「そうだな。」
まあ、日本でも刑務所内でなんか作らされるらしいし犯罪者を労働させるっていうのはどこの世界も同じなのかな。
そんなことがあった他には魔物が出たとかでごく普通のことしか起きることなく時間と道程だけが過ぎていった。
「今日はここまでかな?」
「そうだね。もう日も暮れてきたし。」
「じゃ、ゲート作るから。」
「あ、ちょっと待って。先ずは周りに人が居ないか確認しないと。後目立たないところにしないと。」
「忘れてた。今確認する。」
リリンが気配察知で周囲の様子を探ったあと、森の中に歩いて行ってそこにゲートを作る。
俺はそこに魔道具を設置してからゲートを潜って家に帰った。