第二百二十三話 二つ三つある的なお話
なんか朝から腕が痛くて書くのが遅れてしまいました。
スマホいじり過ぎて筋肉痛か?
雨が降っているなか聞こえたノックの音に俺は席を立ち玄関に向かいドアを開ける。
「どちら様ですか?」
「私だ。」
「リィナさん。お久しぶりです。仕事の方は終わったんですか?」
「うむ。昨日帰ってきてな。それで以前稽古をつけて欲しいと言っていたのを思い出してな。それで訪ねた次第だ。」
「嘘つけ。ずっと楽しみにしてただろ。帰る途中もどんな訓練メニューにするのかずっと考えていたしな。」
「ぐぬっ! アベル、お前。」
「事実だろ。それと久しぶりだな、レント。」
「お久しぶりです、アベルさん。アベルさんはなんでここに?」
「こいつが何をするのか分からなかったから念のためな。」
「人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ。」
「まあ、それはついででな、そのー、なんだ。ちょっと聞きたいことがあってだな。」
「聞きたいことですか?」
「ああ。えっと、そのー、あれだ。トリ「トリアにプロボースをしたいんだけど緊張して上手くいくのか不安になってるからそのアドバイスが欲しいんだと。」………どこでそれを。」
「斥候をしている私の耳を舐めるなよ。以前カイルに相談しているのが聞こえた。」
「……あの時か。」
「緊張を和らげる方法なら二つ三つ知ってますけど……」
「本当か!?」
「え、ええ。……あの、近いです。」
「す、すまん。」
男に顔を寄せられても嬉しくない。
嫁達なら超歓迎なんだがな。
「それで、その方法ってのは一体?」
「一つ目が絶対に成功する。だって俺なんだし。だから緊張なんて無意味……と思い込む。二つ目はこの反対で、どうせ失敗するし緊張するだけ無駄だ……と思い込む。三つ目はまあ、必要以上にプロボースの練習をして緊張してようが自然と口から出てくるまで習慣づける。」
「最後のはちょっと……」
「ですよね。まあ、それは最終手段ですかね。」
「それで、先の二つは?」
「その二つは人によって選ぶべきですかね。基本的に前向きな人なら一つ目を、後向きというか、消極的というか、そんな感じの人は二つ目のをって感じですかね。まあ、俺は毎回嫁達に先を越されてるんですけどね。もう少し時間をかけて仲良くなってからと思ってたら先に告白されるし、プロボースしようとしたら逆に驚かされるし。」
「そ、そうか。まあ、参考になった。ありがとう。結婚することになったらまた知らせるわ。じゃあな。」
「はい。それでは。」
そういうとアベルさんは傘をさしながら帰って行った。
さて、こっちはどうしようかな?
明日からセフィアの故郷に行くわけで、そうなるとどう頑張っても稽古なんてできるはずがない。
しかし、どうも楽しみにしてたようなのでどう断ったものか……
「レント? もしまだお客さんがいるなら上がってもらって……ってリィナさん。お久しぶりです。」
「久しぶり、セフィア。そうだな。まだ話したいこともあるし上がらせてもらおうか。」
そこそこの時間を玄関で話していた俺達を心配して見に来たセフィアが家に上がるように言ってきた。
リィナさんはその言葉に甘えるようだ。
うーん。
まあ、なるようになるか。
「師匠。」
「久しぶりだな、リリン。それにみんなも。」
「どうしてここに?」
「以前稽古をつけて欲しいと言っていたろ。だからその話をしようと思ってな。」
「あの〜、それなんですけど……」
「必要ない。」
「なあっ!? ひ、必要ない!? 頼んできたのはそっちだろう。それなのに必要ないってどういうことだ!?」
「必要ないって言うのは用済みって意味じゃなくて、ちょっと遠出するからそういうことをする時間がないってことですよ。そうだよな、リリン?」
「そう。」
「……それならそうとちゃんと言え。」
リリンの言葉数は基本少ない。
そのせいで誤解させてしまったようで、リィナさんは少し怒りながらリリンに詰め寄る。
それを俺は慌てて後ろから羽交い締めにしてリィナさんを抑える。
本来ならば役得とか思うんだろうけど、引き摺られているのでそんなことを考える余裕がない。
レベルが上がってステータスも上がっているしリィナさんはスピード重視だから抑えれると思っていたのにゆっくりとだが、確実に引き摺られてしまった。
少しは強くなったと思ったのに、やっぱり黄昏さん達は凄い。
「その辺の説明をしますから、落ち着いでください。」
「む、そうだな。」
リィナさんはそういうと椅子に座ってくれる。
人一人余裕で引き摺れるなんて、やっぱりAランクは伊達じゃないんだなと改めて思った。