第二百十三話 いらっしゃい的なお話
「「「ただいまー。」」」
シーーーン
「まだ帰ってないのか。」
「そうみたいだね。」
「まずは家の掃除。」
「そうだな。セラさんが来るんだし、やっといたほうがいいな。」
「じゃあ、頑張ろっか。」
「おう。」
「ん。」
というわけで掃除を開始した。
セフィアはリビングを、リリンはキッチン周りを、俺は玄関周りを掃除する。
こうして見てみると結構ゴミとか気になるな。
ゴミは全部掃き出して、玄関の前も掃いとこう。
そうしてせっせっと掃除をしているとダンジョンから帰ってきたルリエ達がやって来た。
「お兄さん、ただいまです。」
「おかえり。どうだった?」
「えっと、今日は五階層まで行ったんですけど、大岩にやられちゃいました。」
「そうなのか。あの窪みには気づかなかったのか?」
「気づいてたんですけど、戦闘中で逃げることができずにそのままベチャッと。」
「そ、そうなのか。それは災難だったな。」
「それで、あんたはなんで玄関掃除してるの?」
「ん、ああ。蟹がいっぱい獲れたからセラさんを夕食に誘ったんだ。」
「ふーん。次はあの人を狙ってるのね。」
「何言ってんだよ。普段お世話になってるからそのお礼だよ。」
「ま、そういうことにしといてあげる。」
蒼井はそういうとそのまま家の中に入っていった。
なんなんだ一体。
「蟹ってリバーサイドウォールクラブのことですか? あの硬い。」
「そうだけど。」
「凄い! 流石はご主人様です。あの魔物は硬い甲殻に強靭なハサミ、それに二属性の魔法で冒険者を苦しめ、上に上がれるかどうかを試す境目のような魔物なんですよ。それを沢山って本当に凄いですよ。」
「そ、そうか。」
レイダさんの変なスイッチが入っちゃったよ。
どうしようと思っていると救いの手が。
「レント、食材の方お願いしていいかな?」
「うん、分かった。今行く。じゃあ、俺はちょっと行ってくるわ。レイダさんは風呂掃除をお願い。」
「あ、分かりました。」
ふぅ。
なんとか落ち着いてくれてよかった。
そしてその後は大した問題も無く無事に夕食の準備が出来た。
まだ8時までには時間があるということで全員が風呂に入って汚れを落としたりしたが、それでもまだ少し時間がある。
とはいえ、自分を待っていて誰も食べてないとなるとセラさんも気を使うだろうと、アカネと蒼井が蟹料理を凝視しながら言ったので食べることに。
というか、ただ我慢できなかっただけだろう。
そうして、食べていると家の中にドアノッカーの音が響く。
どうやらセラさんが来たようだ。
「いらっしゃい、セラさ……ん? なんで、ギルドマスターが?」
「ギルドの看板娘に手を出されると困るです。だから見張りに来たです。」
「そういうことらしいです。あの、もう一人分大丈夫ですか?」
「えっと、多分大丈夫です。」
ギルマスにまでそういう風に思われていたようだ。
何故だ。
「セフィア、なんか、ギルドマスターが来たんでもう一人分追加で。」
「え!? なんでギルドマスターが?」
「なんか、お目付役みたい。」
「? よくわかんないけど、わかった。みんな、ちょっとずつ分けてくれる? 後レントはこっちに来て。もう一品作るから。」
「分かった。」
というわけで急遽、追加で作る事になったそうです。
まあ、最悪追加で蟹を放出すればいいよね。
リバーサイドウォールクラブはCランクの魔物の真ん中くらいの強さです。なので、カインではこいつを倒せるかどうかが今後上にいけるかどうかの指針になるようです。