第二百十一話 よく斬れる。的なお話
「今後の予定ですが、こんな手紙が来たのでとりあえずスキルとレベルを上げていこうと思います。」
いつも通り素振りをして、みんなが朝食を作ってそれを食べながらみんなに告げる。
「ちょっ、これ大丈夫なの!?」
最初に読んだアカネがそう叫んだ。
「その為にレベルを上げるんだよ。とりあえずその馬鹿が雇うかもしれない冒険者か、ゴロツキなんかが来ても軽くぶっとばせるくらいに放っとこうかなって。アカネとレイダさんには万が一この家に攻めてきた時にルリエと蒼井を守ってもらいたいから頑張ってもらうね。」
「まあ、仕方ないよね。にしても、こういう馬鹿を見ると本当にムカつくわね。」
「まあ、な。といってもセフィアの両親に挨拶したいから多分会うことになるんだろうな。最高なのはなんだかんだあってこっちには手出しできなくなるのなんだけど、どうしたもんかな。」
「一番簡単なのはそいつが罪を犯してしょっぴかれることなんだけど、流石にそううまくいかないわよね。そいつ族長の息子なんだし。」
「そうだな。まあ、なるようになるさ。セフィア、リリン。今日から依頼と模擬戦をたくさんしようと思う。そんでセフィアの実家に行くのは十日後とかでどうかな?」
「ほ、本当に行くの? 僕はわざわざ襲われる可能性が高いところに行かなくてもいいと思うんだけど。」
「焦れた馬鹿が何するかわかんないんだし、いずれは襲われたりするかもしれない。だったらこっちから行った方が向こうの準備が出来てなくて楽になるかもしれないんだ。」
「それに、セフィアはレントの嫁。私達は一蓮托生だよ。」
リリンがだよって言った。
初めて聞いたかも。
「そういうことよ。私達も手伝うから一緒にがんばろ。」
「みんな、ありがとね。」
◇
俺とセフィア、リリンは依頼に出てきた。
残りの人達はみんなでダンジョンに行った。
メダルを使って少しでも手数を増やしときたいそうだ。
「居たよ。リバーサイドウォールクラブ。」
今回のターゲットはリバーサイドウォールクラブという大きな蟹の魔物でCランクだ。
以前釣りをした川の下流の方に棲息していて、水と土の魔法が使えるそうだ。
また、甲殻は硬いので剣はあまり向かないらしい。
らしいというのは今まさに、セフィアがハサミを斬り飛ばしたからだ。
凄いな、このウルフラムとかいう金属を使った剣。
リリンもシュパッと近づいてスパンと脚を斬っている。
俺も続こう。
その後、面白いように斬れる剣につい調子に乗った俺達はつい、狩りすぎてしまった。
その数14。
狩り尽くしてたらどうしよう。
そんな心配をしたが、なんか向こうの方にもこの蟹が見えた。
良かった。
まだ居た。
流石にこれ以上はまずいと思うので俺達は川から離れる。
そして昼食なんだが、クラブというだけあって食えるらしい。
このリバーサイドウォールクラブ。
しかもかなり美味しいらしいんだが、今まで見かけたことがない。
で、その理由をリリンにとりあえず聞いてみたら知っていたらしく教えてくれた。
というか、硬いから狩られる数が少なくてあまり出回らないというパッと思いつくような理由だった。
ちゃんと考えろよ、俺。
久しぶりに食べた蟹(魔物だけど)はとても美味しかった。
結構でかいし数もあるから今夜は蟹パーティーをしよう。
すごく楽しみだ。