第十九話 お赤飯とアイアンクロー的なお話
リリン曰く、冒険者やっている以上何があるか分からないから後悔しないようとの事。
それ故にやることやろうとの事。セフィアはと思って見てみたら準備万端でした。
おまけにリリンの言うとおりだよね。と同調していました。
というわけで、はい。致しました。
その翌朝。
起きると「おはようございます。昨晩はお楽しみでしたね。」という声がしてそっちを見るとアリシアさんが何故かいた。
「これつまらない物ですが、お赤飯です。それにしても随分と可愛い子を捕まえましたね?」
「あ、これはご丁寧にどうも。…ってなんでここに?というか何で知ってるの!?」
「いえ、昨日元気かなと思って覗いてみたら指輪買ってるじゃないですか。これはもしかしてと思って覗いていれば案の定。それにしても初めてなのに随分と激しかったですね。おまけに直ぐに攻守逆転してましたし。」
「うわぁぁぁーー!!!もうやめて下さい!」
なんて騒いでいるもんだから二人を起こしてしまった。
「おはようございます。セフィアさん。リリンさん。」
「え、あ、おはようございます。」
「……誰?」
「はじめまして。私は神をやっているアリシアという者です。」
「え!?神様!?」
「なんで神がここに?」
「いえね、私の不注意で死んでしまった蓮斗さんがおめでたなので挨拶をと。」
「おいコラちょっとマテ。今なんつった?私の不注意でってどういう事だ?」
「いたい、いたい。」
はっ!?ついアイアンクローを。
「ふぅ。それはですね。あの時お茶菓子を買おうとして道に迷っていた私を案内してくれた人が貴方を轢いたタクシーの運転手なんですよ。で、その結果あなたが事故に遭ったというわけです。ちなみにあのどら焼きがそのお茶菓子です。」
え、なにあの時のどら焼きが巡り巡って死んだの?俺。
「まあ、貴方はこの世界に転移する運命だったのでどっちでもいいですよね。それにそのお陰でこんな可愛い彼女が出来たんですし、いいじゃないですか。」
衝撃の真実だった。
でもあの時死んだからセフィアとリリンと出逢えたと言われれば些末なことに思えるから不思議だ。
「えっと。死んだとか、転移とかどういうことですか?」
(こくこく。)
こことは違う世界出身でその世界で死んだ後こっちの世界に転移?転生?したなんてそう簡単に信じられないだろうしどうしたもんか?
「別の世界で死んだ後、こちらの世界に送ったんですよ。身体は火葬されて灰になったので新しく造りました。まあ、前の身体はいろいろ調整しなければいけなかったんで新しく造った方が楽で良かったんですけどね。」
あっさりとバラされました。ってか
「新しく身体を造ったってどういう事!?」
しかも衝撃の真実を暴露するというオマケ付き。
「火葬されて灰になったんだから新しく造るしかないでしょう。それに魔法の無い世界の住人が魔法を使える訳ないじゃないですか。本来の転移は次元の断層に迷い込むのが大半なんですよ。その場合転移した世界に最適化されるよう設定してあるのですけど貴方の場合はイザナミがノリと勢いで転移させるのを運命付けちゃったんですよね。」
「ノリと勢いって……。」
「適当な神。」
リリンの言うとおりだ!
というか創世の神がなんだってそんな事をしたんだ。
それにイザナギは何してんだ。
旦那だろうが。
「以前イザナミが愚痴ってたんですよね。旦那がネトゲばかりして構ってくれなくて暇だ〜!って。で、その時適当に選んだ人間。つまりは貴方をこの世界に送るから面白そうなことが起こったら教えてって言われたんですよね。」
「えっと、それはなんというか。」
「気をしっかり持って。」
なんかもう、容量オーバーしそうなんですけど。それにセフィアは言葉に困ってるし、リリンには慰められるし。
「それで転移する際に私の方で一旦預かっていろいろと調整した後送る筈だったんですけど、死んでしまったので新しく創ったというわけなんですよ。」
「あ、うん。」
なんかもう、一周まわってどうでもよくなってきた。




