第百五十話 山になってるぞ。的なお話
蒼井のベットに併せて空き部屋の分のベッドも購入していく。
まあ、これらは恐らくアレクシアさんとかエルナさんが使うんじゃないかな。
後はリィナさんとかクルト辺りか?
さっきのコングが合計で三十万になってて良かった。
なんだかんだで更に寝具を買う事になったし、蒼井の服や防具なんかも買わないといけないからまたまた出費だ。
っていうかなんで俺が払うんだ?
確かに幼馴染だけど、そこまで仲が良かったっけ?
中学からは殆ど話してなかったし、無意味に怒られたし。
そう考えたら、なんかおかしい気がしてきた。
来客時に使えるベッドはともかく服や防具のお金は後で払ってもらおう。
「というわけでその内お金は払ってもらうからな。」
「え〜。それくらいいいじゃん。」
「え〜じゃない。無利子無利息だし食費や宿泊費も俺が負担するんだからこれくらいは払え。あの家月十万リムもすんだぞ。」
「りむ? なにそれ?」
「この世界の通貨だ。ちなみに普通の宿の一日の宿泊費が五百リムだぞ。」
「え!? それってつまりかなり高いの?」
「まあ、部屋が六つはあるからな。それに風呂付きだ。それなりには高いと思う。」
「あんたって意外と金持ち?」
「そうでもない……筈だ。俺とセフィア、リリンで稼いでいるからな。単純に考えて負担は三等分だ。」
「あれ? あのアカネちゃんは?」
「アカネは俺が雇っている形になっているから払ってない。」
「ふーん。ねぇ、何か手っ取り早く稼ぐ方法ってない?」
「ない。冒険者は一攫千金な所があるけどその分命懸けてるから手っ取り早くではないな。」
「せっかくの異世界なのに夢がないな〜。」
「どの世界だってそんなもんだろう。それよりも早く服を買いに行くぞ。」
「は〜い。」
その後クロイツ呉服店に行ったがさっきの脅し(?)が効いたのか服をかなり吟味していた。
お陰で俺は待ち惚けだよ。
ふわぁ〜。
なんか眠くなってきたな。
◇
「……て。起き…。レントってば。」
「ふぇ?」
あれ?
俺いつの間にか寝てた?
「よく寝てたね。そんなに疲れてた?」
「いや、そんな事はないと思うが、まあ、結構暇だっからな。」
「ごめんね。ユウキちゃんかわいいからいろいろ選んでたら時間かかっちゃって。」
「そうか。」
時間を確認してみると一時間半も寝てたみたいだ。
というか五時過ぎてるし。
「そろそろ帰らないとな。会計は?」
「お願いできるかな?」
「分かった。」
そうしてカウンターに行くと結構な量が積まれていた。
……多くね。
「どんだけ買うんだよ。山になってるぞ。」
「セフィアちゃんが払ってくれるって言うからさ〜つい選びすぎちゃった。」
セフィアさん?
どういう事ですか? というか俺の話聞いてた?
「別にいいでしょ。僕の小遣いから払うからさ。」
「いや、あまり甘やかすのも良くないんじゃないかな?」
「でも、こっちに来たばかりだしこれくらいはいいじゃない。それにレントだってアリシアさんから服とか貰ってたじゃない。」
「それはそうだけど。でも、泊まる場所も食事も出すわけだからそこまでやる必要はないでしょ。もう、大人なんだから。」
「そうかな〜。」
「なんか、子供について話す夫婦みたい。」
「ここここ、子供ってリリン!? なに言ってるの!?」
「そうだぞリリン! それはもっと稼いで生活を安定させてからだろう!?」
「……子供扱いを否定してよ。」
蒼井がなんか言ってるがどうでもいいよね。
その後なんだかんだで俺が払う事になった。
幼馴染の物を嫁に払わすなんて夫のする事じゃない。
クロイツ呉服店を後にした俺たちはそのまま革製品の店で蒼井の防具を買ってから家に帰った。
うぅ。
結局今日一日で五万も使う羽目になっちゃったよ。
コングが三十万もして本当に良かった。