第百四十七話 確かにナンパはいた。的なお話
冒険者ギルドに着いたので早速受付に行く。
「お疲れ様です、レントさん、セフィアさん、リリンさん。それとそちらの方は初めましてですよね。」
「あ、そうですね。こいつは俺の幼馴染で蒼井優姫っていいます。」
「蒼井優姫です。よろしくお願いします。」
「元気があって良いですね。それで用件は?」
「今回は依頼達成の報告と蒼井の冒険者登録ですね。」
「またですか?」
「すみません。またです。」
ついこの間、ルリエ達の冒険者登録したばかりなのだ。
そして、ルリエ達が俺の身内というのは既に知っているからまたなんだよね。
「それでは、先ずは報告の方からでお願いします。」
「はい。ヘビィコングの手ですよね。」
「うわっ!」
そう言いながら俺はヘビィコングの手をでろんと出す。
すると、蒼井がびっくりしたような声を出した。
もう慣れてしまったけど、確かにこれは驚くよね。
というか、慣れって怖いな。
「はい。確かに確認しました。ではこれが報酬の二十万リムですね。」
「ありがとうございます。」
「次はユウキさんの登録ですね。それでは身分証を出してください。」
「えっと、この通行証でいいですか?」
「はい。それでは少しお待ち下さい。」
そう言うとセラさんは奥に引っ込んでいった。
その間に俺達は蒼井にギルドについての説明をする。
もちろん………噛んだ。
あの分量の説明を噛まずに言えるセラさん達は本当に凄いと思います。
そして、丁度説明が終わる頃にセラさんが戻ってきた。
「それではこちらがユウキさんのギルドカードになりますね。ギルドについての説明は必要でしょうか?」
「それは既にしましたので大丈夫です。」
「そうですか。それではまたのお越しを。」
「はい。」
ここでの用は終わったのでさっさと離れる。
だって後ろで人が待ってるから。
こんな時間に来るなんて暇な人もいるもんだねぇ。
「それじゃ、蒼井。先に魔法用の訓練場に向かっててくれ。俺はヘビィコングの買取してもらうから。セフィア達は魔杖を借りてきて。」
「分かった。」
「ん。」
「了解。」
というわけでそれぞれで行動する。
俺が行った買取カウンターではコングが十万になった。
毛皮が耐衝撃に適してるそうだ。
俺は勘弁だけど。……臭いし。
そんでそれが終わったので訓練場の方に向かっているとナンパされていた。……セフィア達が。
なんだろう? 人妻になって更なる魅力が滲み出てるのだろうか?
まあ、俺と結婚してると言うとさっさと立ち去っていったけど。
何故だ? ここは決闘して無双するパターンじゃないのか?……まあ、俺にそんなテンプレイベントは全然起こらないんだけどね。
ナンパも追っ払ったので、改めて訓練場に行くと再びナンパに遭遇した。
というか、クルトよ。またお前か。
こっちでは十五で成人だけど、そんなに焦る必要があるのか?
そんなことを考えながら嫁を引き連れて蒼井とクルトの元へと歩いていく。
「またお前か。最初の爽やかさはどこ行ったんだよ。」
「あ、レント。も、もしかしてこの子もお前の恋人かなんかなのか?」
「いや、幼馴染だ。」
「なんでお前ばっかり可愛い子と知り合うんだよ〜!!」
そんなことを叫びながら走り去っていった。
「何あれ?」
「知り合い。」
仕事しろよな全く。
今度アベルさんに会ったら女の子を紹介するように言おうかな?
そんな事を思わずにはいられなかった。