第百四十四話 問答無用的なお話
蒼井を連れて街の門のところまで来た。
問題はここからだな。
お金は俺が出せばいいけど、問題は街に入ることだ。
当然なんだが、蒼井はこっちの身分証なんか持っていない。
そのためまずは街に入るための審査があるんだけど、こいつは突然転移して来たから街に入る目的というものが無い。
そこら辺がどうなるのかが問題なんだよな。
俺は何も出来ないから見守るしか無いんだけど………大丈夫かな。
騒ぎになると大変だから異世界関係のことは言うなと言っといたけど、心配だな。
そんなことを考えながらウロウロと歩き回ってしまう。
◇
蒼井が出てきた。
暗いのは変わってないから大丈夫なのかどうなのか判断がつかない。
「大丈夫だったか?」
「一応。」
蒼井はそう言いながら通行証を見せてきた。
良かった。
蒼井も無事に街の中に入れたので改めて我が家に招待する。
「ただいまー。」
「ただいま。」
「ん。」
「おかえりー。」
「!?」
俺は蒼井を連れてリビングの方に向かう。
そこには野菜の皮を剥きまくっているアカネがいた。
練習してるんだろうけど、どんだけ使ったんだ?
なんかボウルいっぱいになってんだけど……皮が。
そう思っていたらアカネが蒼井に向けて言葉を投げかける。
「そっちの日本人はだれさん?」
「えっ!? なんでわかるんですか!? というか、あなたは一体?」
「私はアカネ。元日本人の転生者よ。それと分かってて言ったわけじゃないわよ。ただ、何となく日本人っぽい顔立ちだから言ってみたのよ。そしたらあなたがあからさまに反応するものだから……。」
「////」
あ、赤くなった。
と思ったら急に顔を顰めた。
「あれ? そう言えば、風見は俺の家って言ってたのになんで、この子がいるのかな?」
あれ? なんか怖くない?
こっちにズンズン詰め寄ってきながらさらに言葉を続ける。
「それに、後ろの子達も当たり前のようにいるよね。さっきも当たり前のようにただいまって言ってたし、おかえりって返ってきたよね。ねぇ。なんで?」
「それは私が蓮斗に雇われて、この家に居候してるからよ。そんで、そっちの子達は蓮斗のお嫁さんだからよ。あ、後もう一人いるわよ。」
ちょっとーーー!!
確かに隠すつもりはないけど、声を大にして言うくらいわけないけど、でも、なんで今のタイミングで言うの!?
「へー。私がずっと後悔してたのに、あんたは可愛い子と結婚して楽しんでたんだ。へー。ふ〜ん。」
あれ? スッゲー怖いんだけど。
こんな子だったっけ?
確かもっと活発じゃなかったっけ?
「い、いや。そんなに楽しいことだけじゃないんだよ。ダンジョンで罠にかかったり、盗賊に襲われたりしたし……」
「問答無用ーー!!」
「ぎゃーーー!!」
それから一時間。
俺は蒼井に叱られ続けました。