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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第八章】真・アクリアでの話
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番外編 アクリアでクリスマス

クリスマスからかなり遅れてしまい申し訳ない

普通に間に合わなかったです

西方大陸の最東端に位置する国アクリアに今俺は滞在しているわけだけど、この国では七夕やハロウィンを国を挙げての一大イベントにしていた。

だから今回のクリスマスも同じようにまた国を挙げての大きな催しがあるのだと思っていたんだが……。


「なんか、ハロウィンとかの時と違って、雰囲気が少しおとなしいな。」

「確かに、これまでと違うね。」

「ん。気になる。」


というわけで少し聞いて回った所、どうやらアクリアにおけるクリスマスというのは神に感謝を捧げ、家族や親しい友人と過ごして今の幸せを噛み締めるというもの。

それ故、国を挙げての一大イベントではなく家族と、友人達といった感じに小さめのグループで美味しい食事をして楽しみ、子供達には寝ている間にちょっとした贈り物をという形になっているとか。

なんていうか、すごく普通というか……ミサとかしてたら本当に普通のクリスマスって感じだ。

海外のホームドラマとかだとそんな感じだし。

所でミサって実際のところどういうのだろうね?

なんか子供達が教会に集まって聖歌を歌い、大人達はそれを聴いているものっていう曖昧なイメージしかないんだよね。

今となっては知る術は無いのだから気にしても意味ないんだけど。


「しかし、そうなると今回は何もしなくてもいいってことになるのかな?」

「あー、そうなるのかなぁ。短冊も仮装も必要ないもんね。まあ、自分達で楽しむ為にやる分にはいいんじゃない?」

「それもそうだな。なら普通にプレゼントを用意するとかしておこうか。あ、言っておくけどリリン。私がプレゼントってのは無しだからな。」

「なぜバレた?」

「分かるわい! というか、そういうのは子供達の教育に良くないからあまり大っぴらにはするなよな。折角妹と会えたんだからさ。」

「ん。少し気をつける。」


そこは少しじゃなくて普通に気をつけて欲しい所なんだけどなぁ……。

まあ、リリンなら上手く立ちまわってくれるだろう。

いや、立ち回られたらむしろ俺が困る気がする。

程々で頼む。



個々で街に繰り出しプレゼントを用意しようという話になった。

なので俺はみんなと別れて、外出の準備してから向かおうかなと思った所、何やらコソコソと怪しげな行動をとる少女の姿が。


「リットちゃん何してるの……?」

「っ!? あっ、なんだ。レントさんでしたか。」

「なんか、すごく怪しい挙動していたけど、どうしたの?」

「えっと、実はリアナから両親……リンネさんとリカルドさんに何かプレゼントしたいと相談されまして、それでお菓子を作ろうという流れになりまして……。」

「あー、なるほど。しかも秘密にしたいから見つからないようにこそこそと材料集めしようとしたと。」

「……流石です。まさにその通りです。」

「というか、それをするなら調理場に話通して材料用意して貰えばよかったんじゃないかな? どの道調理場を貸してもらわないといけないわけだしさ。」

「あっ!」

「それに王族の子供が1人で出歩くなんて色々と問題があるでしょうに。ま、それは後にしようか。俺の買い物にも付き合ってくれるなら一緒に行こうか?」

「いいんですか!? ぜひお願いします!」

「お願いされました。」


そんなわけでリットちゃんを連れて街へと赴く。

いくら国を挙げての大きな催しにはならないとしても、商人としては稼ぎ時である事に変わりないようで、いろいろな所で客寄せの為の声が聞こえてくる。

それに釣られるように人集りが至る所に出来ていて、何もせずに歩いていると逸れかねないので手を繋いでいる。


「レントさんは何を買うつもりなのですか?」

「んー、セフィア達へのプレゼントをね。お、これとかルナに良さそう。」


リットちゃんと姫騎士に育ちそうな喋り方をしてはいてもそこは女の子。

セフィア達へのプレゼント選びを手伝ってもらったのだが、俺1人で選ぶのよりもよっぽどセンスのいい物を選ぶことが出来た。

そして俺の目的の物を買い終えたら今度はリットちゃんの物。

といってもお菓子作りをしようと考えてはいても何がいるのかまではよく分かっていないみたいだった。

まあ、お姫様だし仕方ないか。

なのでお店の人に作り方なんかも併せて聞いて材料を揃えたら、お城に戻って早速調理開始だ。

あ、隠れて護衛している人達、お疲れ様でーす。

今から帰るんで後少しの間お願いしますね。


そして城に帰り、厨房の人達に事情を説明して場所を借りる。

ここまで来たら最後までというか、2人だけというのはあまりにも不安なので俺も手伝う事にした。

幼女と幼女だからね……というか俺も手伝うからという条件で場所を貸してもらってるので当然なんだけど。

向こうも流石に子供だけで使わせようとは思わないよね。


「ちゃんと手は洗ったかな?」

「う、うん。」

「はい!」

「それじゃあ、早速始めようか。」


作るのはショートケーキだが、レシピ自体はそこまで難しくない。

生地の材料を順番通りに混ぜていって焼き、クリームを塗ったり果物を入れたりして、飾りつけたら完成だ。

言葉にすればこれだけだが、実際に作るとなると話は別。

混ぜる。

混ぜる。

ひたすらに混ぜる。

その混ぜる作業で湯煎しながらとか、やり過ぎないようにとか、気を使うことが多いのなんのって。

しかも主導が子供達だから尚のこと気を使う。

所々手を出しつつもなんとか焼成に漕ぎ着けたわけだけど、まあ、最初だからね。

焦がすしペッタンコだし生地にムラがあり過ぎる。

調理場の人達にアドバイスをもらい、気づけばこの場にいる全員でケーキ作りを見守る始末。

結局失敗したりして材料が足りずに厨房から分けてもらった。

とはいえ、その甲斐あってか及第点と言えるものが焼き上がった。


「やったー!」

「出来たー!」

「うん。おめでとう。ちょっと表面剥がれちゃったけど、クリーム塗るし問題ないしね。それに、剥がれた方を味見として食べてみたけど美味しかったしね。」

「うん! 次は何をするんですか?」

「この後は半分に切って、間に果物とクリームを挟み込んで、周りをクリームで塗る。その後はクリームで飾り付けして、果物を乗せて完成だね。」

「後ちょっと。」

「そうだね。でも、その後ちょっとがまた難しいんだよね。失敗したのでちょっと練習しようか。」


まっすぐ水平にってのは難しいんだよね。

クリームも塗りムラなんかがあると一気に見栄えが悪くなっちゃうし。

失敗したので軽く練習して本番。

ちょっとズレちゃって、ちょっと塗りムラとか目立つけど、うん。

許容範囲内でしょう。

子供の作ったケーキに美しくないと文句を言う人なんていないだろうし。


「これもう、完全にケーキですよね?」

「いや、最初からケーキ作ってたから。逆にケーキ以外の何が出来るのさ。」

「美味しそう。」

「食べるのは、リンネ義母さん、リカルド義父さんと一緒に食べようね。」

「うん。」


ケーキ作りも大詰め。

後は飾り付けをしてイチゴを乗せて完成だ。

マジパンだっけ? サンタとかの砂糖菓子の奴。

あれは見当たらなかったけど、まあなくても別にいいよね。

クッキーにチョコで拙い文字でメリークリスマスって書いてあるし、その可愛らしさでサンタの不足分なんて補ってあまりあるだろう。


「パパとママ、喜んでくれるかな?」

「当然喜んでくれるよ! ね? レントさん。」

「ああ。リアナちゃんが一生懸命作ったんだ。喜ばないはずないよ。」


当然ながら、リンネ義母さんとリカルド義父さんは大層喜んだ。


「手伝ってくれてありがとう、お兄ちゃん。」


俺の義妹可愛すぎるな……。

ちなみにというか、本番であるセフィア達へのプレゼントだが、そちらもちゃんと喜んでくれた。

リットちゃん様々だな。


「リットちゃんが選ぶのを手伝ってくれたんだよ。」

「そこで素直に言っちゃうのがレントらしいね。」

「当然だ。自分だけだったらこうはいかなかっただろうし、別にやましい事なんてないんだから堂々と言うさ。女の影が……なんて不安にさせたくないしね。」

「こうまで開き直られるといっそ清々しいわね……。」

「でも頼って正解だったろ?」

「それは……そうね。普段とは違った趣のある物で、新鮮でいいわね。でも、次はレント自身が選んでよね?」

「了解。喜んでもらえるよう頑張るよ。」


当たり前のように来年も一緒にいるという言い回しだ。

なんか、こういうの嬉しいね。

ちゃんと、みんなの中に俺がいるって分かるからさ。

来年はもっと喜んでもらえるように頑張るぞーっと。

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