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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第八章】真・アクリアでの話
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第1379話 きちんと理解してくれるだろう。的なお話

簡単なアドバイスの後、リットちゃんはその意味を反芻して活かそうとしているのかその場で素振りを行なっている。


「こうかな? いや、こうかも。」


そんな真面目な姿を見て思うのは、やはり俺の子供の頃と全然違うということ……。

いや、本当に俺の子供の頃はガキだったから。

それに比べてリットちゃんのこの真面目さよ。

なんかで、人格形成には環境が大きな影響を与えるとか見た気がするけど、まさにその通りだなと実感させられる。

王族という立場が、環境が、真面目な性格を形成したのだろう。

まあ、必ずしもそうなるとは限らないのは、駆け落ちした義母のことを考えれば分かるけど。

それでも生来の気質と合わさってそういう人格になったのだろう。

……って、なんの話だ?

俺は一体何を考えているのやら。

思考が変な方向に飛ぶのは悪い癖なんだけどなぁ……まあ、そう簡単に治らないから癖なんだよね。


「レントさん!」

「何かな?」

「もう一本、お願いします!」


もう一本と来たか。

素振りして、どのくらい出来るのかためしたくなっちゃったのかな?

まあ、1回も2回も変わらないか。


「いいよ。」


リットちゃんの願いに応じてもう一本取る事に。

一瞬、棒を使ってとも思ったが、どこで誰が見てるかも分からないし手の内を全部見せるべきじゃないと考え直す。

別にリットちゃんが敵になるとは思ってない。

会ったばかりとはいえこの子はリリンの従姉妹で今後は仲良くしていく間柄だ。

だから隠す必要はないのかもしれない。

でもそれはリットちゃんだけの話だ。

どこで誰が見てるか分からない状況で、来たばかりの場所で、手の内を晒すのは自殺行為だ。

例の馬鹿の件もある。

もしかしたら、万が一の可能性で密偵が潜んでる可能性もある。

……俺自身どの程度出来るようになってるのか分からないんだけどね。

魔力の操作技術がかなり上がってると思ってるし。

そんなわけで次も木剣を使おう。


「では、行きます!」


色々と試してみたいらしいリットちゃんは俺が構えてすぐに駆け出してくるが、全然対応出来る速度だ。

慌てる必要もない。

冷静に見て対処すればいいだけ。


リットちゃんは体勢を崩す為に微妙な位置を狙って打ち込んでくる。

防ごうとする時に力が入りにくいであろう場所、例えば右下から横薙ぎに、例えば中心からわざと横にずらした状態での唐竹等、普段あまり受けることのない場所だ。

しかし、それはつまりリットちゃんにとっても打ち込み慣れてない場所でもあり、力が乗り切っていない。

後は単純に肉体的、ステータス的にかなり力で上回っている関係で体勢を崩す程の攻撃にはなれていなかった。


「いい攻撃だ。だけど、子供である以上、力が足りな過ぎる。それでは軽々と防がれるぞ。それと、反撃が確実に来ない時以外は飛び跳ねるな。体重が軽いと簡単に弾き飛ばされるだけだぞ。」


冒険者志望なら、使えるものはなんでも使えと言うんだけどね。

リットちゃんは騎士志望だから。

砂掛けやら急所狙いやらは騎士道精神からは外れてると思うのでその辺はあえて指摘しない。

それに俺自身、流石に急所を狙われるのは怖すぎる。


「はい!」


なんか、つい助言してしまったが、それに対してまあいい返事だこと。

これ不敬罪にならないよね?

ね?


「そうだ! 今は子供であることを最大限活かせ! 体勢を低くして狙いにくくし、そうして不安定な体勢になった所を狙え。ただし、絶対に安全だと思うな! 油断してると蹴りが飛んでくるぞ!」

「はぁ、はぁ、はい!」


すばしっこく、走り回っているから息が少し上がっているが、しっかりと返事が返ってくる。

何も分かりやすい武器だけが攻撃手段じゃないからな。

金属パーツがある防具ならそれだけで凶器だし、子供相手ならそんなもんが無くても十分致命傷を与えられる。

だからこそ、その辺もしっかり伝えておく。

そして走り回って疲れた所に軽く剣を向けて試合終了。


「はぁ……はぁ……はぁ……んっ、はぁ……ありがとう、ございました……。」

「お疲れ様。」

「色々、勉強に、なりました……。」

「それはいいんだけど、今のは冒険者に近い騎士っぽくない戦い方だからね。子供の時だけ出来る自衛の為の戦い方程度に考えて、しっかりと騎士らしい戦い方も学ぼうね。」

「はい! 分かりました!」


うん。

いい返事だ。

リットちゃんは聡明だし、俺が言ったことをきちんと理解してくれるだろう。

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