第1373話 そりゃ補強もしますわ。的なお話
投稿遅れてすみません。
最近魔導師転生の方が難産だったり、ノクターンの方を書いていたり、数日首が痛かったり、頭痛があったりお腹の調子が悪かったりと色々ありまして、そういう理由があって遅れました。
さて、無事に絵本を読む幼児から退避出来てしまったわけだし、別の場所を見に行こう。
お城なんだし他にも見れる場所があるはずだ。
そう思って気の向くまま足の向くままに進んでいくとなにやら古臭いようなカビ臭いような部屋へと辿り着く。
その部屋にはたくさんの棚と、そこに並べられたたくさんの本。
つまりここは書庫とか資料室とかそういうところなんだろう。
なんだろうけど……これって入っていいの?
いや、メイドさんは何も言ってこないのだから入っていいんだろうけどさ……普通こういうところって他人には見せられない資料とかあったりするもんじゃないの?
「ま、いいか。何かあれば謝ろう。」
結局はそういうこと。
悪いことをしたのなら謝ればいい。
今回は知らなかったんだし情状酌量の余地はあるはず。
だからちゃんと反省して謝ればそこまで大きな問題にはならないだろう。
そもそも、本当に見られたくないのであれば完全に見られないようにすればいいわけだし。
それこそ、扉の前に人を立てておくとかしておけばいいのだから。
というわけで部屋の中に入っていくと外でも感じていた古い本の匂いがしてくる。
おー、凄いな。
日本の図書館だと管理されてるしそもそもこういう古い本達は一般の人が触れられるようになっていない。
だからこういうのはかなり新鮮。
本の鮮度はカビ生えるレベルだけど。
「ほー……色々あるなぁ……。流石に王城だけあって種類も数も多いな。」
王城の書庫ということもあって様々な本が並んでいて、お堅い感じの学術書っぽいのもあれば、薄い絵本のようなものまで数多く取り揃えている。
もしかしたらこの国で売られている本は一通り揃えていたりするのかもしれない。
「ん? これは……ここにもあったか。」
某忍者漫画が改悪されまくった、ユキノが忍者を志すに至った例のアレが。
よく見れば他にも色々と、本当に色々とある。
ジャ◯プ、サ◯デー、マ◯ジンの名作漫画がベースだろう作品が結構ある。
ここまであるといっそ清々しくなってくるな。
アッハッハッ!
「……他の棚見よ。」
様々なところで侵食している転移、転生者共の欲望の果てを尻目に面白い本はないかなと探していく。
いくつかの棚を見ていき、棚の裏側をと思ってなんの気なしに棚に手を掛けようとした所、目測が少し誤り本に手が触れた。
そして、その本に違和感を感じる。
なんだ?
なんか、背表紙の材質が違う?
随分と金属質な感じだ。
金属で補強しているのか?
そんな事をするくらいだからさぞ価値のある本なのでは?
そう思って本を取ってみて納得した。
この本、地図なんだ。
それも、地図を作ろうとした人達の地図作成にあたって当時書いたであろう資料や記録がまとめてある資料本。
今となってはもっと精巧な地図もあるだろうし、このくらいであれば知っている人なんて沢山いるだろう。
でも、これはその礎となるもので、一から地図を作ろうとした努力の結晶。
そういう、地図としては他の人に知られてもそれほど困らない、かといって捨ててはならない代物。
この人達の苦労があったからこそ今の地図があるのだと教える為の本。
そりゃ金属で補強もするだろう。
歴史書には載らない、されど偉業を成し遂げだ人達の記録だからな。
気になった俺は適当な場所に座ってこの本を読むことにした。
この本からは建国に際して地図を作る事を命じられた事から始まり、そこからの苦悩なんかと共にどういう風にして地図を作ったのかが窺える。
というか、当時の上からの無茶振りやら作った人達の愚痴やらも纏めてあるよ。
面白っ。
気付けば最後まで読んでしまっていた。
意外と面白くてつい……。
そして、最後にこれを本として纏めた人の後書きがあった。
そこには
『これは表に出ることはなくともこの国の為に人生を費やした者達の努力と苦悩を後世に知ってもらいたいがために本にした。これを読んで今の世が先人達の多くの苦労があって成り立つと少しでも感じ入ってもらえれば幸いである。そして、上に立つ者は下の者がどれほど悩み苦しみながらも命令を完遂しているのかを理解して欲しい。そういう意図の元、愚痴などを纏めさせてもらった。 初代国王 クロス・アクリア』
と、書かれていた。
おぉっふ。
まさか初代国王が纏めたとは……。
そりゃ補強もしますわ。