第百二十八話 三度目の大岩。的なお話
さてと、そろそろ再開しますか。
お昼も食休みも終えた俺たちはダンジョン探索に戻り、五層に行く。
これまでの探索でもこの階層では大岩トラップが出現していた。
だから今回もあるのだろうと思って警戒しつつ進んでいく。
しかし、進んでも進んでも例の窪みが見当たらなかった。
これはアレか。
今まではたまたま連続して当たっただけで五層では必ずあれが出てくると決まっていないという事か?
そう思っていると魔物の集団と遭遇する。
これはあるのか。
今回はゴブリンナイト、ゴブリン、ラット、スライム、ラビットそしてトライデントボアという構成になっている。
ボアとは厄介な。
あいつは巨体で突っ込んで来るからこの集団と戦っている最中に来られると結構ヤバいかも。
あ、スライム轢かれた。
「俺がボアをやるからそっちは頼む。」
「…ん。」
「わ、分かったわ。」
先ずは注意をこちらに向けないとな。
そう思ってダガーを取り出して投げつけていく。
五本投げて二本刺さった。
お、こっち向いた。
蹄でザシュッザシュッって地面を蹴ってから突っ込んできた。
まだ、まだ、ここだ!
後ろにはリリン達がいるので下手に避けたら危ないので、タイミングを見計らって地面に向かってファイヤーボムを撃ち込む。
上手くタイミングが合って爆発した瞬間にボアが真上を通る形となり奴の身体がひっくり返る。
そして、そんな隙を見逃すはずもなく一気に近づいて足に斬りつけていく。
機動力は完全に奪ったので、起き上がることの出来ないボアの頭に向かって剣を振り下ろす。
ふぅ。
ステータスが上がっているお陰で一人で倒せたな。
ボアの魔石とドロップアイテムのメダルを回収してからリリン達の所に合流する。
……まだ残ってて良かった。
いつもだとこういう時すでに終わってたりするからな。
無事に全ての魔物を倒して一安心して、先に向かって歩いていく。
例の大岩トラップが無いのはボアで難易度が上がっているからなのかな?
そう思ったのがいけなかったのかアカネの足下からカチッという音が聞こえる。
「まさか…」
「むぅ…」
俺とリリンが呟く。
そして後ろの方からドンッ! ゴロゴロゴロという音が。
「のぉぉぉぉぉおおおおーー!!!」
「ごめーーーん!!!」
全力で走る。
今までは前からだったが今回は後ろからだ。
つまり最悪六層まで走らないといけないという事だ。
だからひたすらに走る。
叫びながら走る。
そうして走っていると階段前広間に出る。
そして後ろの方でドンッ! という音が聞こえた。
どうやら通路が大岩よりも小さくなっている所があるようでそこに引っかかっているみたいだ。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ほ、本当に、ごめん。」
「こ、これは、仕方ない。」
「俺も、油断、してたから、アカネのせいじゃ、ないよ。それに、みんな無事なんだし、気にしなくて、いいよ。」
「本当に、ごめん。それと、ありがと。」
全力疾走だったので三人とも息が上がっていて言葉も途切れ途切れだ。
しかし、こんなパターンもあるのかよ。
マジで油断してた。
それにしても、Cランク相当の実力があるっていうのは伊達じゃないんだな。
俺は三人(俺、セフィア、リリン)の中で一番遅いとはいえ、それでも加護……今は恩恵か。
ともかくそれのお陰で普通よりもステータス高くなっているのに追いついてくるんだからやっぱり強いんだな。
息を整えてしっかり休む。
糖分も忘れずに摂取してから六層に向かう。
次はもう少し安全だといいな。