番外編if アリシアさんと一緒のハロウィン
遅くなってすみません。
実を言うと、31日になるまで大まかな内容すらも決まらず、セフィア達を出そうかどうかで迷っていました。
その後話の大まかな内容が決まるも、色々と調べたりとかしてたら時間がかかりこんなに遅れてしまいました。
本当にすみません。
「そういえばそろそろハロウィンだけどみんなは準備してる?」
「もちろん。」
「今年もアリシアの家でやるんだろ?」
「ええ。ママも張り切ってるわ。」
毎年、ハロウィンになるとアリシアの家でハロウィンパーティーを行う。
最初は……確かアリシアママが誘ったのがきっかけだったっけ?
外人さんということもあってハロウィンには積極的というか、やって当然みたいな感じで誘ってきたんだよな。
「ママは去年を超えるハロウィンにするって燃えてるからね。」
「それ、いつも言ってないか?」
「言ってるね。でもそれだけ張り切ってるって事だから、期待しててよ。」
「了解。それじゃあ、帰るか。」
家に帰った俺と唯は制服から着替えると早速ハロウィンの準備を進めていく。
今からやるのはお菓子作りの試作。
ハロウィンといえばお菓子だからな。
まあ、ハロウィンといえばというのはまだ他にもあるけど、お菓子は大事な要素で欠かせない物だ。
小分け出来る物がいいからクッキーかな。
レシピ自体は簡単で、混ぜて、寝かせて、型抜いて、焼くだけだったんだけど……え、バターってこんなに入れるの?
なんか色々不安になってくる量なんだけど。
それに、卵黄って書いてあるけど、余った卵白はどうすればいいんだ?
捨てるのはもったいないし。
とりあえず取っておいて、後でグ◯グル先生しよう。
とまあ、そんな感じで知らない事に戸惑いながらもなんとか完成。
味はプレーンとココア、カボチャ、紅茶の4種類にした。
カボチャはまあ、一応ハロウィンだしあった方がいいよねという事で入れた。
我が家にマッシャーなる物がないと思い、潰すのには苦労した挙句にここにあると教えられたりと、色々あったが、無事に完成。
後は、衣装か。
今年もレンタルで。
そう思っていたんだけど……良さそうな衣装は大体予約済みになっていて、残っているのは微妙な奴やサイズが合わないのばかり。
毎年なんだかんだ選べてるからと油断してた。
むむ……どうしよう?
「お兄ちゃんどう? 準備進んでる?」
「あー、いや、衣装がな……大体予約済みになってるんだよ。」
「そうなの? うわー、本当だ。」
「だろ? というかだな……。」
「ん? 何?」
「近すぎないか?」
「近づかないと画面見れないじゃん。」
「だからって抱きつくのは流石におかしいだろ。」
「そっかなー?」
しかし困ったな。
レンタル出来ないとなるとどこかで購入するか自作するかしかないが、それだとお財布的にか時間的に厳しい事になる。
ド◯・キホーテとかだと安いけどクオリティーがなぁ……蒼井から手抜きすんなとか言われそうだし。
「とりあえずアリシアにリンクしておくか。『衣装レンタル出来ない。どうしよう?』と。」
ーーピロン♪
「もう返ってきた。」
「アリシアさんはなんて?」
「んー、アリシアも手作りするから一緒に作らないかって誘いが来た。」
「へー。なら私も作ろうかな?」
「唯も?」
「うん。まだ決めかねてたし丁度いいかなって。」
「じゃあそう返信しておくよ。」
◇
翌日となり、今日から衣装作りをするのでまずはその材料集めから。
ハロウィンまで残り1週間という事もあり頑張れば完成しそうではあるが、こういうのは経験が無いので不安が残る。
とはいえ、やらないという選択肢はもはや無い以上頑張るだけだ。
「蓮君は何を作るの?」
「んー、とりあえず素人でも簡単に作れそうなのかな。手持ちの服とかである程度代用出来そうなのがいいから吸血鬼あたりが無難かなと。少なくとも下に関しては学校のスラックスでなんとかなりそうだし。」
「でも去年も吸血鬼だったよね?」
「まあ、そうなんだけどさ……。」
「私も手伝うし別のにしない? キョンシーとかどう?」
「キョンシー!? いやいや、なんか難しそうだろあれ。」
「そうでもないよ。ほら、ネットでも『チャイナ服 男性 型紙』って探せば見つかるし意外となんとかなりそうでしょ?」
「でもキョンシーって中華圏のアンデッドだろ? ハロウィンにそれってどうなんだ?」
「それこそ今更でしょ? そもそもハロウィンとは関係ないのも多いんだし。」
「まあ、そうなんだけどな……。分かったよ。キョンシーにするよ。」
というわけでキョンシーに決定。
型紙があるらしいし、調べれば作り方も分かるだろう。
きっとなんとかなる。
なるはず。
なる……よね?
いや、なる!
というかなんとかする!
そんな感じで素材やらなんやらを買い集めて製作に取り掛かる。
結構な出費だったが、毎年の恒例行事という事もあって幾らかは母さんが出してくれる。
それが無かったら絶対にド◯キだったわ。
まずは型紙を書き起こして、それに合わせて裁断。
分からないところはネットで調べたりアリシアに聞いたりしながら少しずつ製作を進めていく。
いやー、にしてもまさか本当に手作りする日が来るなんて思いもしなかったよ。
エプロンくらいなら小学生の頃に授業で作った事あったけど、服を作るようになるとは……。
まあ、初めての事なんで出来はある程度お察しといった感じだが、それでも自分で作るというのは新鮮で存外楽しい。
どうしよう……このままコスプレに目覚めたりしないよね?
「あ、やべ。糸切ろうとしたら布まで切れちまった。」
「何やってるのよ……それで、生地の予備は?」
「ない。これが最後。」
「なら、また買いに行かないとね。」
途中でやらかして材料を買い足しに行ったりするなんていうハプニングがありつつも、どうにか前日に服が完成。
後は帽子だけど、それに関しては余裕のあったアリシアが作ってくれたので、お札を帽子や服なんかに貼って仕上げていく。
全体を見る。
素人が、少ない時間の中で、初めて作ったっていう条件を考えれば中々の出来と言えるんじゃないだろうか?
もちろん、粗は目立つし縫い付けが甘い所もあるだろうが、出来る限りのことはやった。
後は明日の本番のみだ。
◇
ハロウィン当日。
今年のハロウィンは日曜日なので朝からクッキーを作り、衣装を着込んでアリシアの家へ向かう。
といってもお隣だけど。
斜め前の家に住んでる蒼井とアリシアの家の前で合流した。
「へー、なかなか似合ってるじゃない。」
「そっちもな。」
蒼井はベターに魔女の仮装だ。
ただ、よく分からないけど何故か世界を旅してそうだと思った。
なんでだろ?
「あれ? 唯ちゃんは?」
「あぁ、唯ならお披露目は後にしたいから先行ってるって。作る所は見てたからお披露目も何もないだろうに……。」
「相変わらずのようね……。」
「唯だからな。」
そしてインターホンを押せば、中から現れるは、九尾の妖狐とセイレーンなりってか。
作ってるのを見てたから知ってたけど、すごいモフモフだな。
というか、なんで2人とも妖怪モチーフなんだ?
いや、セイレーンは西洋妖怪というよりも天使や神に近い存在だけどさ。
「2人も似合ってるな。」
「それだけ!? もっと他にないの!? 惚れたとか、愛してるとか、結婚してくれとか!」
「どんどん先に行ってんじゃねーか! つか、兄弟で結婚なんて出来ねーよ!」
「いきなり悪戯されてるね。」
「いや、どう見ても本気なんだけど……。」
幼馴染2人、のんびり見てないでなんとかしてくれ。
「ま、それはそれとして、トリックオアトリートってね。」
「どんなタイミングだよ!」
「ほら、遊んでないで早く入って。」
ったく……俺の幼馴染は相変わらず自由だなおい。