第1346話 そのまま意識を手放した。的なお話
ここしばらく寝付きが悪くて頭が働かなかったり、スマホの調子が悪くて書けなかったりで遅れました。
本当にすみません。
さっぱりして一息ついているとアリシアさんがやって来る。
今日は普段よりも少しだけ遅かったな。
何があったんだろう?
いや、向こうとこっちでは時間に差があるんだしこれくらいは誤差かな。
「じゃ、行ってくる。」
「うん。いってらっしゃい。」
「ふぁいと。」
「頑張ってください。」
「おう。」
嫁達に見送られて特訓空間へ。
嫁さん達と軽くいちゃついたので気力は十分。
後は頑張るだけだ。
まずは魔力を循環させて……ん?
なんか、循環にかかる時間が少しだけ短くなってるような……それに、魔力の流れが少し良くなってる気がする。
んー……気のせいかな?
いや、気のせいじゃないな。
全体的に少し良くなってる。
これを繰り返していけば魔力操作が苦手という欠点を克服できそうだ。
謎の板……そういえばこれって名前なんていうんだろう?
魔力感応板とかかな?
この色が変わる感じ、昔祭りかなんかのおもちゃで見た温度で変化するあれみたいだよね。
あれに名前が似てたりするのかもしれない。
あれの名前を知らないから推測出来ないからなんの意味もない閃きだけど。
「よっと。」
魔力を流していく。
これまでは集中する為に目を閉じていたけど、折角見た目で変化が分かる仕様になっているんだからそれを使わない手はない。
なんで目を閉じていたんだろう?
まあ、それはいい。
今はこっちに集中だ。
じっくりと魔力を注いでいくがやはりというか、中心部の色の変化が遅く、変化の度合いも低い。
これは魔力で覆おうとしても中心部までの魔力操作が不完全で行き届いていないという事なんだろう。
なら、もっとそれを意識して……。
「なんだこれ?」
「どうしました? って、あー……これはですね、魔力の過充填した際にこうなるんですよ。」
「過充填?」
「はい。これは魔力操作の練習ですからね。なのでこうしてやり過ぎた場合でもそれが分かりやすいようにしてあるんですよ。」
「なるほど……。」
この白くなる変化が過充填の証なのか。
つまり、色の変化は初期状態の黒から紫、そして青系統を経由しての緑、そこから更にオレンジ色へと向かっていき、最後に過充填の白になるのか。
時間をかけてとにかく中心部をと考えた結果、端の部分が魔力に晒され続けてオレンジを超えた白へと変化してしまったと。
「ちなみに、過充填状態だと実際に鍛治する際に何か影響ってあったりするんですか?」
「ありますね。魔法金属は魔力を込めて鍛える事で性能を引き上げるとともに魔力の伝導率を高める必要があるんですけど、過充填の場合だと金属自体が脆くなり、更に魔力の伝導率が下がってしまうんですよ。もちろん、浸透率や充填率が低ければその分性能も伝導率も落ちます。」
「多過ぎず、少な過ぎず、最適でないと駄目なんですね。」
「はい。」
「何その激ムズ仕様……。」
「まあ、仮にも魔法金属ですからねぇ……。それに、ただ適当に槌を振るえば最高性能の武器が出来ても興醒めでしょう?」
「それはそうかもしれませんけど……。」
例えるなら、チート装備で無双してもそこに感慨深さや達成感は得られないみたいな感じだろう。
最初は適当にやっても凄い性能の装備が出来るのだから楽しいかもしれない。
でも適当にやっても出来るのであれば単純な作業になって飽きるだろうし、達成感も何もないつまらないものになるだろうし。
というか、そんなだと伝説の金属(笑)になってしまう。
うん。
難しい方がいいな。
というわけで、改めて特訓再開。
この白くなってしまった板はどっかそこら辺に避けておいて、次の板へ。
そうして魔力がすっからかんになるまで特訓したものの、結局今回は端っこの方が白くなるか中心部まで魔力が浸透しないまま終わってしまった。
でも、ちょっとだけ前進した。
非才の身なれど、限界まで特訓すればちゃんと前進できる。
そう、グロッキーになりながら実感して、そのまま意識を手放した。




